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フェアリィ・ダンス
新たな執政部の発足2

「で、何? 話って」
 男共が和気藹々に出ていった後、三人だけになった部屋で、ティリスはインシュヴァルツに問いかけた。フィーランも同じ疑問を抱いているのか、インシュヴァルツを見つめている。
 ティリスの質問に、ああ、と相槌をうったインシュヴァルツは、二人の顔を交互に見た。
 その目がフィーランの顔で止まり、インシュヴァルツの口が開く。
「リアルで会ってくれるって言ったよな?」
 フィーランの顔が、瞬く間に赤くなった。今更になって、自分の発言がかなり恥ずかしくなったのだろうか。しかし否定はせず、インシュヴァルツの目から顔を背けて、言いましたけど、と小さい声で呟く。
 それを聞いてティリスは、あろうことかフィーランに抱きついた。
 インシュヴァルツがほんのわずかに目を見開く。
「な、何するんですか!」
 ティリスと体をくっつけたまま、フィーランが抗議の声を上げる。だが、ティリスはその体を離さない。彼女はあまつさえフィーランの頬ずりまでしている。
「いやー、あんたがそんなことを言っているなんて思わなかったわー。可愛くなったもんだね、あんたも」
 ティリスの言葉に、少し不快そうな顔をするフィーラン。
「今までは可愛くなかったってことですか?」
 その冷たい言葉を聞いて、ティリスはやっと体を離した。だが、別に傷ついたという訳ではないらしい。
 ティリスは人差し指を唇にあてると、というかね、と呟く。
「最初に会ったときは、もっと尖がってたよ。誰とも協調しない、というかね。丸くなったのはいいことだと思うけど」
 今の言葉で、フィーランはティリスと戦ったときのことを思い出したのだろう。彼女が、ティリスのことを語っていたときの顔をになったのに気付いて、インシュヴァルツはフィーランの肩を叩き、首を振った。
 その話をするべき時と場所は、今ではないし、ここでもないと思ったからだ。
 話を戻そう、インシュヴァルツは仕切り直す。
「リアルで会う以上、個人情報を全く聞かないという訳にはいかないだろう。俺は、キミたちのメアドと年齢を教えてもらいたい」
 どうしてですか! と叫んだのはフィーランだ。
 彼女はティリスを指差して言う。
「あなたが会うのは私でしょう!? どうしてこの人のまで聞く必要があるんですか!」
 激昂したフィーランの声を浴びても、インシュヴァルツはさっきと全く変わらない口調で応じた。
「ティリスにも同席してもらいたいからだ」
 尚更反論を続けようとするフィーランの耳元に、インシュヴァルツは顔を近づけると囁いた。
「一度、ティリスと話をしてみろ、と言っただろう?」
 インシュヴァルツにそう言われて、やっとフィーランは口を閉じた。
「大丈夫。ティリスはキミが思っているほど悪い奴じゃないよ」
 フィーランはインシュヴァルツの体を押し返しながら、分かりました、と頷いた。
 彼女は大きく息を吐いて呼吸を整える。
「この人と一緒にあなたに会いましょう。メアドはメッセで送ります。でも、どうして年齢を聞くんですか?」
 そこで、それまで黙って話を聞いていたティリスがねえ、と話に割り込んできた。
 何だ? と聞いたインシュヴァルツに対して、彼女はあのさー、と言いながら指を突きつけた。
「誰も行くって言ってないんだけど」
「行かないのか?」
「いや、行くけど」
 インシュヴァルツの質問に即答するティリスである。
「で、私も聞くけど、何で年なんか聞くわけ?」
 そりゃあ、と当たり前の様にインシュヴァルツが言う。
「お酒は二十歳になってから、だろ?」
 大学生なら許容だが、とあからさまに法律を破る話をしているインシュヴァルツだが、私たちと飲む気なんですか? とフィーランにじと目で見られる。
 彼はもちろん、と堂々と頷いたが。
「そもそも、俺が夜以外に時間が取れないんでな」
「まあ、それなら」
「仕方ないですね」
 フィーランとティリスはそれぞれ頷くと、自分たちの年齢を告白した。
「私は二十四です」
 とフィーラン。
「私は十九だよー」
 とティリス。
 え!? と三人の声が同時に上がった。




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