「で、どうだった?」
俺はアスナに尋ねた。
インシュヴァルツのことを彼女が知っているとは思いもしなかったが、俺の思い出をいらないとこまで知った今、どういうことを思っているのか知りたかった。
アスナはそうだなー、と首をひねる。
「なんで私のときはステータスを自分から見せてきたのに、キリト君と会ったときは見せるの渋ったんだろうね?」
それは分からないでもない。
俺が今、彼女の伴侶となったから自慢するわけではないが、彼女は本当に可愛い。
現実世界でも、ここまで可愛い女の子は見たことがなかった。
俺が当時異性というものに興味がなく、あまりその顔を見ていなかったからということもあるのだろう。
何回も連呼するようで恐縮なのだが、それでもやはり、彼女は可愛いのだ。
そんなアスナの顔を一目でも見て、平常心でいられる男なんているわけがない。 クールを気取っているようなあのインシュヴァルツでさえもそうだったということだろう。
「何でだろうな? 俺にも分からん」
だが俺は、真実を口にしなかった。
わざわざ言わないでやったんだ。インシュヴァルツには感謝してもらいたい。
そんな俺を見てふふ、と顔に笑みを浮かべたアスナは、再び首をかしげた。
「キリト君がインシュヴァルツさんと戦ったときって、≪二刀流≫が無かったわけでしょ? 今戦ったらどうなるかな?」
無かったわけではない。熟練度が少なすぎて使えなかっただけだ。
しかし、もし俺が二刀流をマスターしていたとして、インシュヴァルツに勝てただろうか。
正直なところ、難しいだろうと俺は思う。
奴の持つ剣、エクスキャリバーの攻撃力は規格外なほどに高い。
しかもあのエクストラスキル。
あれは反則だ。見ただけで判断できない分身を作り出せるなど。
いや、それを言うならば俺の二刀流も同じなのか。
あれをマスターした今なら……。
まあ、勝ち負けは別にしても、またインシュヴァルツとはデュエルしたい。
それは偽らざる本心である。
それから、とアスナは続けた。
「私も言われてたんだ、一度ならなんでもするって」
「アスナもか?」
「うん。でも結局今まで呼んでなかったけど」
と、いうことは。アスナと俺で計二回奴を呼べるわけだ。
一回をピンチのときのインシュヴァルツ頼みということで残すとして、残りの一回は色々と聞きたいことを聞いてもいいんじゃないか?
「アスナ、あいつに聞きたいこととかなかったか?」
「もちろんあるよ。その場で答えてくれなかったことがいっぱい」
やはりアスナもあるのだ。
俺にも聞きたいことは多くある。
その内容は様々だが、要約すると一つにまとまる。
お前は何者か、と。
「だったらさ、俺かアスナの一回分使って、全部本人に説明してもらわないか?」
俺がそう提案すると、アスナはその目を輝かせた。
どうやら俺の提案は彼女には意外だったのかもしれない。
それもそうである。俺がインシュヴァルツの知り合いだったことをアスナは知らなかったのだから。
そもそも、インシュヴァルツを呼べるのが二回だと思ったことすらなかっただろう。
「キリト君、それ名案!」
そんなこんなで俺たちは、二十二層の森の中のログハウスに、インシュヴァルツを招待することになったのだ。
さてさて、これで本編は一段落、ということで、次から2、3回ほど、
番外「リズベットのとある一日」
を連載いたします。
乞うご期待!
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