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ふと、

作者: 綺羅鷺肇



 ふと、あるタイトルに目が止ったあなたは、そのタイトルをクリックした。


 クリックはしたが、その内容は特にホラーという感じではなく、ただ単に、文字が書き連ねてあるだけだ。


 なんだこれはと思いながら、あなたは読み進めようとするが、ふと、これが二人称形式の小説である事に思い至った。


 へぇ、こんなものもあるんだなと考えつつ、視線で更に文字列をなぞろうとするが……、一向にホラー的な記述は出てこない。



 ジャンル詐欺か?



 そんな思考が一瞬だけ、あなたの脳裏を過ぎるが、なんとなく引き返す気は起きず、そのまま惰性で文字を追って行く。




 ……。




 ……。




 ……。




 あなたが読み進めてもどこにも内容はない。



 何だ? いったい、これのどこがホラーなんだ?



 ただ単に三点リーダーを並べてあるだけの内容に、あなたは困惑する。



 脳裏に、これは釣りか、との思いが浮かんでくるが、僅かな逡巡の後、あなたは先を読む事にした。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 鬱陶しい程に、その先も三点リーダーが続いていただけであった。 



 しかも、まだ、先はあるようだ。



 蝋を噛むにも内容がなければ、どうしようもないなと考えつつも、あなたは先を読む。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 ……。




 忍耐力のテストだろうか?



 いい加減、もう限界だ。



 間違いなく、これを書いた作者は、ただ単に読者を釣って馬鹿にしたいが為に、投稿したに違いない。



 少し気分を害しつつ、このページから引き返す為に、あなたは手を動かそうとする。



 ……けれど、まだ、先はある。



 どうせまた、三点リーダーが続くだけだろうと、あなたは考えるのだが、ちょっとした好奇心が引き返す為の動作を止めてしまう。



 ここであなたは、ふと、人間の好奇心とは面白いものだと考える。



 人間がわからない事を知りたがり、様々な謎を探求するのも、今、こうやって怖いもの見たさでホラージャンルを漁るのも、大元の根は同じで、知らないものを知りたいという好奇心から来る行動である。


 そう、未だ、この世界において、人間が把握している物事は極一部に過ぎず、世の中は未だに不可思議な出来事で溢れているのだ。


 そんなことを考えたあなたは、人が五感で把握できる範囲は他の動物のそれよりも狭い事も思い出し、案外、人が鈍感なだけであって、世界は色々なモノで満ちているのかもしれないとの思いを抱いた。



 あなたの視線が周囲を彷徨う。



 当然、何の変哲もない空間があるだけである。







 だが、もしかしたら、そこに、なにかが、そんざいしているかも、しれない。







 そう、ホラースポットと呼ばれる場に限らず、また、暗色のベールに包まれた夜や陽光が当たらない所といった制限もなく、この世の中には、場所を選ばず、時間帯を選ばず、有人無人を問わず、我々が五感で感じる事ができない存在が存在していたとしてもおかしい事ではないし、あなたが、ふと、その存在に気付いても不思議な事ではないのだ。




 ……あなたは急に自分の周囲が気になり始め、周りを見渡す。




 当然、あなたの周りには、先程と特に変わりのない空間が広がっているだけである。




 その事実に、僅かばかり、ホッと息を付くと、あなたは画面に視線を戻す。


 そして、口元に笑みを浮かべて、再び思うのだ。


 なんだ、単に恐怖感を煽るだけの、ホラーならぬホラ話だったと……。





 しかし、まだ、先がある?


 なんだ、オチでもあるのか、と、あなたは先へ進む。
































 まだ、うしろをむいたら、だめですからね?





11/07/12 気になった所を修正。

=以下、後書き=

二人称なるものがどのようなものかと思って、気分転換も兼ねて、練習で書いてみましたが……、難しいですね、これ。

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― 新着の感想 ―
[一言] こういう作品はかなり好みです。 たまに、小説(世界)を読んでいると人生(世界)を読まれている錯覚に陥るのに近い感じが。。。 「深淵をのぞく時、(ry」
[一言] 後ろ向いたら壁に蛾がいた こわい
[良い点] 面白かったどすι [一言] つい、後ろを勢いよく振り向いてしまいましたι
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