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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

Drops

作者:初哭零
 その日は良い事が一つもなかった。
 嫌いな教科のテストが返ってきて赤点だったし、他の教科は教科で明日までの宿題がごっそり出された。
 しかも、大好きな彼にも一緒に帰るのをやんわり断られてしまった。私、そろそろ振られちゃうかも…。
 とにかく嫌なことしか続いていない。おまけに雲が暗くて低い。雨が降ったら面倒。だって傘持ってないもん…。
 世の中はなんて理不尽なんだろう、って私は思う。ほうら、やっぱり雨が降ってきた。さいあく。
 雨は冷たい。きっと、私の心も身体もずぶ濡れになる。そう思うと悲しくなってくる。

 涙が零れて雨に混じる。私は一人声をあげて泣いた。雨が容赦なく身体にぶつかってくる。私はなんて惨めなんだろうか…。
 雨足が段々強くなってくる。私はもうどうでもよくなって、走り出した。
 そして、すぐに転ぶ。水溜まりの泥水が口に入って苦かった。膝も擦りむいて血が出でいるかもしれない。
 今日は本当にツイてないー。
 悔しくなって地面を叩く。痛かった。どうしようもなくなって、私はノロノロと立ち上がった。
 ふと、真っ暗な空を見上げると雨粒が口に入ってきた。それは味なんてしないのに何故か甘かった。
 ドロップス?だろうかー。丸くて優しい感じだった。もしかしてだが、雨は冷たくなんかないのかもしれない。だってほら、私の涙を隠してくれるし、流してもくれる。急に雨が温かい存在に感じた。

 何かイイコトありそう。私は空に向かって大きく口を開けながら雨の中をまた歩き始める。口の中に入ってくる雨粒はドロップスのように甘くて丸い。口の中が甘みで一杯になる。
 段々、私は早足になって、やがて、走り始める。顔も自然とほころぶ。最後の雨粒が優しく頬をつたって流れた。雨はいつの間にか止んで、空は青々としている。

 髪も服もずぶ濡れで重い。だけれども、明日からはイイコトが待っている、そう思えた。電線から水滴が零れて陽の光を受けてドロップスのように輝いて地面で跳ね返る。
 すぐ目の前に交差点。でも、構わず私は走り抜けた。




 トラックの運転手が慌てて救急車を呼んだのはそのすぐ後の事だった。
 道路脇に赤く染まった片腕がDropsしている。その脇に血痕がイチゴ味のドロップスのように何個も転がる。

 誰かが「イイコト」が起こるのは「明日」からだったのに…と、呟いた。
 だって、「今日は本当にツイてない」のだからー。

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