表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/117

プロローグ

プロローグ


全世界中を巻き込んだ第2次世界大戦から、70年以上経た西暦2014年。

日本国は有人宇宙飛行、独力による宇宙遊泳を成功させた。

これによって、日本は世界で、アメリカ、ロシア、中国、インド、EUに次いで有人宇宙技術を有することができた。

だが、その翌年、宇宙ステーションの経営からアメリカが撤退し、残りの国々が次々とアメリカに追随する中で、日本とカナダのみが残り、共同統治という形で使用を続けた。


西暦2020年、日本国政府は、憲法改正を視野に入れて総選挙に打って出た。

当時、世界情勢は非常に不安定化し、北朝鮮による韓国侵攻、中国西部の自治運動の過激化、中東地域やアフリカ、南米地域の紛争の激化、そして何より痛手だったのは、アメリカから始まった国際経済の崩壊だった。

この年の前年、大手企業が次々と身売りを始めた。

金融業界から始まった企業再編の波は、そのほかの産業にも著しい悪影響を与えた。

次々と倒産の情報が飛び交う中で、緊急G7会合が開かれて、今後の在り方を話し合った。

だが、その間にも、中小企業は次々と倒産。大企業といわれる企業も、さまざまな業種と結びつくしかなかった。


アメリカFRBは、経済成長率が、名目・実質ともにマイナス成長になったと発表。

この年以降、アメリカの予算は引き締め予算となった。

ほかの先進各国も、すべてにおいてスタグフレーションの兆候があることを確認。

経済は、一気に危機になった。


それは、先進国以外のすべての地域も共通していた。

経済がだめになると、各国は同盟を組み始め、他国の侵入を阻害した。

軍備が増強され、疑心暗鬼が広がり、紛争が激化した。

その中で、日本国は憲法を改正し、軍備を有すると宣言したのだ。


当時の首相である、北原幸之助は、衆議院、参議院ともに第1党である政党の党首だった。

2020年3月3日。

北朝鮮が、韓国に軍事進攻を始めた。

瞬く間に韓国は北朝鮮の管理下に置かれ、先進国と言われた韓国はあっさりと消滅した。


翌週、定例閣議にて。

「次は、この国だろう」

北原首相は閣議にいる全員に伝えた。

「しかし首相。軍備をするためには、憲法を改正しなければなりません。過去の首相が成し遂げられなかったことですよ?」

総務省大臣が言った。

「その通りだ。だが、私は断行する。今通常国会で、憲法改正案を国会に提出する。現状を理解している人たちならば、必ずや賛成してくれるだろう」

「どのようになるのですか」

「第2章は全面改定だ。軍備の保有を宣言し、前文の理想を実現すべく邁進する」

「…国民の理解が得られますか?」

「それは、わからない。だが、私は必ず理解をしてくれると思う」

首相は、自信に満ちた目で言った。


翌日、本国会にて。

日本国憲法改正案が衆議院に提出された。

「現在の外国諸国の現状を鑑みて、現行憲法を改正し、軍備を保有することが最も妥当と判断し、新憲法草案を国会に提出するものであります」

首相はそう言い切った。

この日から、国会は日本国憲法改正草案審議委員会が設立され、2ヵ月後に賛同され、参議院に送られた。

参議院でも、喧々囂々さまざまな議論が巻き起こされたが、結局、原案通り可決された。

翌日、今上天皇の名前で、全日本国民にそのことが公式に発表され、安倍首相が成立させた国民投票法をもとにして、国民投票が行われることになった。


半年後、国民投票により憲法は新たに成立した。

日本皇国憲法と名付けれらているこの憲法は、新たに軍事力を保有し、日本国憲法の考えを引き継いだものになっていた。

「これで、我々も公式に自衛隊を組織することができる…」

憲法改正が決定した翌日の臨時閣議にて、首相が言った。

「強大な軍事力を持ったことにより、世界からも一目置かれる存在になるでしょう」

総務大臣が言った。

「新たに組閣をし直す必要性がありますが…どうするのですか?」

官房長官が首相に聞いた。

「軍務総省、そのもとにおかれる陸海空軍。現在の防衛省は発展的改組は決定だ。その後、軍務総省、そのもとにおかれる陸軍省、空軍省、海軍省、その他の機関。さて、これから法律の審議に入らないとな…」


翌年、日本はアメリカとの軍事同盟を解消し、独自の道を歩み始めた。

アメリカは、極東地域での軍事的地位を失い、徐々に世界の表舞台から忘れられ、歴史にのみ名を残すような状態になりつつあった。

アメリカの代わりは誰がするのか。それが、これからの地球に残された国々の課題だった。


日本国では、参議院の総選挙が待ち構えていた。

「もうそろそろ総選挙か…」

「このような時期に総選挙ですが、おそらく、我々の党が第一党の地位を保ち続けるでしょう」

「そうだといいのだが…」

首相は、雨が降り始めた空を見上げていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ