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異世界のとある風景

『皇帝』と呼ばれた奴隷

作者:ヒョードル
 静まり返った円形の広場に低くしゃがれた下劣な濁声が響いた。

「勝者、アウグストゥス!」

 両刃(もろは)の刀身が濃い朱色に輝いている中片手剣(グラディウス)を頭上に掲げた男は、肩で息をせずに、眼前で無様に事切れている男をじっと見ていた。

 横たわっている男の頭は巨大な体と切り離されており、忘れていたかのように命の息吹をどくどくと広場の砂に流している。

 男が頭上に掲げた剣を素早く体の横に振り下ろすと、小さな風切り音と共に飛んだ鮮血が砂に模様を作った。その瞬間、突如現れた割れんばかりの歓声に円形の広場は大きく響動(とよ)んだ。

 広場の中央で屹立する男に向けられた幾重もの歓声は、すぐさまその男の名前に変わり、砂場の周囲を丸々囲っている何段もの石造りの観客席を震わせている。

「アウグストゥス!アウグストゥス!アウグストゥス!」

 アウグストゥスと呼ばれた男が再び剣を頭上に掲げると、男を讃える歓声はより大きくなり、この建物の外にまで響かんばかりの振動になっていた。

 アウグストゥスはその歓声を全身に浴びながら、木で出来た簡易作りの格子門を潜り、暗闇に消えていった。

 控え所に戻ったアウグストゥスは、目と口の部分だけ開いた鉄兜(バルビュータ)を無造作に放り、備え付けの桶で顔を洗った。

「よう皇帝。今日も圧勝だったな」

 アウグストゥスが手拭いで顔を拭いていると、頭上から声が飛んできた。見上げると、頭二つ程高い所で空きっ歯を溢している無頼漢のような汚い顔があった。

「天空の斧か」

 睥睨したアウグストゥスはそのまま歩き出し、腰に据えた中片手剣(グラディウス)が納められている鞘を革帯ごと外した。控え所にいる様々な男が一様にその姿を見ているが、誰も話し掛けない。しかし一挙手一投足が気になるのか、剣を砥石で研いでいる男でさえ盗み見ている。そんな視線に辟易したアウグストゥスは空いている粗末な椅子に腰を落とした。

「そうつれない顔すんなよ皇帝。しかもここでは登録名はやめてくれ。バレンて名前もあるんだぜ」

「ならお前も皇帝はよせ。アウグストゥスって名前が俺にもある」

「お前は別格だ。血筋麗しゅうないお前を尊敬して呼んでるんだぜ?それにその名前。言いにくくて仕方ない」

 アウグストゥスの後を歩いてきていたバレンはそう唾を飛ばしながら笑った。

 好きにしろ、と言ったアウグストゥスは刀身を鞘から抜き、新しい手拭いでこびり付いた血糊を丁寧に拭き取った。毎回行う儀式のようなものであり、数回に一度は薄く植物油を塗るのも欠かさない。

「まあそのアウグ……お前の名前が本名かどうかは別にして、皇帝なら聞こえはいいだろう。何せ二年も無敗なんだからな」

「別にどうでもいい。俺は早くここからおさらばしたいだけだ。お前らと違って奴隷で剣闘士をやってるのは俺だけだ。全うな生活がしたい」

 バレンはため息を付き、ゆっくりと話し始めた。

「お前が何者かは正直どうでもいいし、お前がどこでどう生きようと勝手だが、お前に何ができる。人や獣を野兎のように殺っちまうその剣腕で算盤弾くか?それとも弓矢を射った鷲の羽根をもいで筆にするか?出自がでたらめなお前じゃ騎士なんて到底無理だ。卑しい傭兵か盗賊がいいところだな。下手打ちゃすぐ流刑の身だ。最悪死んじまう。一生遊べるだけここで稼いだら出てきゃいいさ」

 一頻り言い放ったバレンは満足げに片眉を吊り上げ、アウグストゥスの肩に手を置いた。

「だからここにいてくれ。お前が好きだから見てたいのさ。皆もそうだ。お前の闘いが見たいんだよ」

 空きっ歯を不気味に光らせ、バレンは闘技場である広場に向かった。出番なのか、その巨体に似合う重そうな斧槍棒(ハルバード)を軽々と持ち上げ、行ってくるわ、と方々に唾を飛ばしていた。

 その揚々さに些か気を緩めたアウグストゥスは、再び血糊を拭き始めた。

「あの人、いつもあんな感じなんですか」

 人と話すのがあまり好きではないアウグストゥスは、明らさまに不機嫌な表情を作り声の主を振り返った。

 そこには、まだうっすらと幼さが残る顔付きをした青年が、傷の無い白銀の重板金鎧(プレートアーマー)を着て立っていた。これに鉄覆兜(アーミットヘルム)を被り凧型盾(カイトシールド)でも添えれば立派な騎士様の様相である。

「お前は誰だ。新入りか?」

 青年は広場入り口からアウグストゥスに視線を戻し答えた。

「はい。先日、ようやく一兵卒から騎士になったばかりのひよっ子です。まだ騎士として実戦経験がないので、短い期間ではありますが、ここでお世話になります」

「本気か?ここは命を落とす事もあるんだ。俺もついさっき一人首を刎ねたばかりだ。相手は死刑囚か獣ばかりだが、登録剣闘士が死ぬ事もある。殺す覚悟も殺される覚悟もあるのか?」

 青年の目は力強く光っている。曲げない信念が宿る証拠だ。

「はい。そのために家を捨て兵に志願し、ここまで来ました。今は小康状態ですが、大規模な衝突があればすぐに剣を抜き盾を構えます。だから足手まといにならないように経験を積みたいのです」

「お前、結婚は?」

「いえ。しておりません」

「家族は?」

「はい。両親と妹がおります」

「分かった。ならばその者達のために必ず生きて戻れ。先輩からの忠告は以上だ」

 愚直な信念が浮かんでいる顔にようやく笑顔が戻った頃、アウグストゥスは最初の質問に答えた。

「ああ、すまない。天空の斧だね」

「ええ。やけにあの御仁と親しげに話されていたから。あなたは国内では最も有名な無敵の闘剣士ですが、誰とも話さないと噂されてましたので……」

「そんなことはない。ただ俺からは話さないし、話しかけにくいだけだ。あいつは同期だから何かと話しかけてくるみたいだが。それに、現にこうしてお前と話しているだろう」

 青年の顔が一瞬明るくなった。まだ何かを聞きたい表情であるのは伺えるが、聖人ではない。アウグストゥスは再び鏡面のように輝き出した刀身を鞘にしまい、わざと大袈裟に漆黒の革鎧(レザーアーマー)の革紐を解きながら言った。

「だが俺は奴隷出身だ。いや、厳密に言えば今も奴隷だろう。だから騎士様だったらあまり俺には関わるな。技は見て盗み相対して覚えろ。いいな」

「はい。ありがとうございます。しかしあなたは……なんと言うか、本当に皇帝のように……」

 アウグストゥスは苛立ちを覚え、蹴るように立ち上がると脱いだ革鎧を投げ捨て歩き出した。青年騎士はすぐに直立体制で頭を垂れたが、アウグストゥスは無視するかのように控え所を後にした。


 数日後、闘技場入り口の格子門前にアウグストゥスはいた。

 漆黒の革鎧(レザーアーマー)の革紐と、同じ素材で出来た籠手の革紐の結びを確認し、まだ抜かれていない中片手剣(グラディウス)の柄の位置を何度も確認していたアウグストゥスは、じっと地面を見つめながら小さく呟いていた。

「天にましますわれらの父よ、我が剣に力を与えよ。我の罪を赦し、我が魂を救い給え」

 呪文のような呟きが終わると同時に格子門が上がり、視線を上げたアウグストゥスはゆっくり中に歩き出した。

 その姿が広場に現れると、待ちわびたかのように怒涛の歓声が闘技場を埋め尽くし、アウグストゥスが広場の中央に着く頃には「アウグストゥス」の合唱に変わっていた。

 最早闘技場の風物詩になっていた大喝采に向け、アウグストゥスが目映いばかりに光らせた中片手剣(グラディウス)を腰から抜き頭上天高く掲げると、それは最高潮に達した。

 飾り気のないゆったりとした白い長衣(ローブ)を身を纏い、下品とも言える程の数の宝飾品を着飾った浅黒い男が観客席から一区画飛び出た舞台に躍り出た。そうすると大合唱は徐々に小さくなっていった。頷きながら周りを見渡した男が片手をかざすとそれは無くなり、いよいよ静寂が闘技場を支配した。

「紳士淑女の皆々様。本日も素敵な催しものをご覧差し上げましょう。手にした小剣一つだけ。小柄な体が宙を舞い、(つるぎ)も槍もひらりと躱し、鋭い牙も突き通さん。お待ちかねの偉大なる勇者!闘技場の英雄!無敵の大闘剣士!皇帝、アウグストゥス!」

 過剰なまでの形容文句を、その独特な低い濁声で高らかと謳いあげた男は悦に浸っているのか、両手を天に仰ぎ目を瞑っていた。その男を一瞥したアウグストゥスが再び剣を頭上に掲げると、先程と同様の大歓声が闘技場に甦った。

 一間置き、男が両掌を閉じると、またしても静寂の出番になった。

「本日そんな大英雄アウグストゥスに挑むのは、この地の果てに生まれた悪魔。地獄からやってきた狂暴な獣。人を喰うこと数百人。森林の覇者、縦縞の獅子!」

 男がそう言うと、アウグストゥスから見て左手にある重厚な鉄格子が音を軋ませ開き、中から唸り声を響かせながら巨大な獣がゆっくりと姿を表した。

 獣は喉の奥から低い唸り声を出し、閉じられない口からは大粒の涎を滴らせている。体高はアウグストゥスより多少低いだろうが、尾の先まで入れた体長はおそらくアウグストゥスの倍はゆうに超えるだろう。

 しきりにアウグストゥスを舐めるように見ていた縦縞の獅子は、円を描くようにしかし確実にアウグストゥスとの距離を縮めていた。

「開始!」

 男の声と同時に銅鑼が鳴らされ、アウグストゥス含めその場に居合わせた人間の誰もがその巨大な獅子を見ていた。今回は分が悪いと思ったのか、観客席からはいつもの嬉々とした野次はなく、静寂が続いていた。

 アウグストゥスも獅子と正対したまま摺り足で距離を取る。近付いてきたら一歩二歩と後退し、決して目を反らさない。獅子も不用意には飛び掛かってこず、ひたすら喉を震わせながらその鋭い爪を振るう機会を伺っているようだった。

 どれぐらい経っただろうか、暫くは牽制もなくただ円を描いていたが、業を煮やしたのは獅子だった。喉から発していた唸り声を一際大きくし、突如アウグストゥスに向かって跳躍をした。

 虚を衝かれたアウグストゥスだったが、冷静に爪と腕、そして牙の位置を見定め、獅子の爪が届く直前に低めに前転した。

 素早く立ち上がり獅子に体を向けると、獅子もまた体勢を反転させており、再び正対する格好になった。アウグストゥスは、前転と同時に剣を獅子の腹部に差し出し、回転の勢いを使って切るのを試みていた。思惑通り、獅子は腹部周辺から赤い血を地面に垂らせているが、量が少ない。致命傷には程遠い一撃だった。

 再び剣を握り締めたアウグストゥスは背中に熱を覚えた。当然見えないのだが、裂傷なのだろう。前足か後ろ足かは分からないが、見切ったと思う動きよりも確実に速い動きをする獣であると悟った。

 汗ではないものが背中から流れる感触を覚えながら、アウグストゥスは右手を体後方に伸ばした。その腕の肘から先は獣に向け、左手を顔の前に据えた。腰は低くする。片手剣は切るには余りにも軽く脆弱な得物であり、相手は分厚い皮下脂肪と筋肉を蓄えた巨大な獣である。一撃必殺の突きを見舞おうと考えたアウグストゥスは、その姿勢のまま好機を伺った。

 獅子は先程の一撃を警戒しているのか、同じく低い唸り声を響かせるだけで飛び込んではこない。

 三つ目の円が描かれようとした時、獅子が跳んだ。空腹の苛立ちだろうか、涎が糸を曳いて滴っている。それをアウグストゥスが目視すると到達する直前までを待った。小剣(タガー)程はあるだろう獅子の鋭い爪が振り下ろされる直前でアウグストゥスは更に身を屈ませ、その反動で跳躍し、力の限り剣を獅子の腹部に突き刺した。

 手応え充分、剣が柄まで体内に入り、獅子の臓腑を突き破った感触は確かにあったのだが、膂力に勝る獅子の勢いをそのまま全身に食らった格好になったアウグストゥスは、巨体の下敷きになっていた。

 眼前は斑な体毛で覆われ視界は全く無いが、腕に伝う生温い液体と充満する不快な臭いが獣に対して致命傷を負わせた確信になり、アウグストゥスは必死に剣を前後左右に動かした。既に柄も体内にめり込んでおり、不快極まりない感触が右手を襲ったが、それでもアウグストゥスは剣を一心不乱に動かし続けた。

 頭上から聞こえる響く唸り声が徐々に小さくなり、やがてそれが消えた時、アウグストゥスは左手に初めて激痛を感じた。這い出すように獅子の体から自身を捻り出し、数度回転させる。充分な距離を取ったと感じた場所から獅子を見ると、そこには動かなくなった巨体と、巨大な血溜まりが見えた。

 アウグストゥスは立ち上がろうとしたが、左腕が動かずに地面に突っ伏してしまった。どうやら左肩が外れたようだ。それでも剣を杖に立ち上がると、確かに絶命したであろう獅子が横たわっている。

 巨体は上下していない。縦縞の獅子が呼吸をしていないことを確認するため、アウグストゥスは恐る恐る獅子に近付いてみた。獅子の瞳は完全に閉じられ、鼻と耳は微動だにしていない。垂れ流しだった涎の代わりに口からも血溜まりと同じ色をした液体を流していた。ふと右腕を見ると、自慢の中片手剣(グラディウス)が柄の先まで血溜まりと同じ色に染まっていたが、ようやくこの激闘を制したのが自分であると確信したアウグストゥスは、肘まで紅蓮に染まった右腕を高々と掲げた。

「勝者、アウグストゥス!」

 真っ赤な刀身が天を突いたと同時に、先刻聞いた低く下品な淀声が闘技場に響き渡り、大喝采が闘技場に吹き荒れた。

 猛け狂う歓声の嵐に身を委ねていたアウグストゥスが今一度剣を頭上に掲げると、定番である「アウグストゥス」の大合唱に変わった。

 今回ばかりはこの余韻に浸ろう、そう思ったアウグストゥスは、腕を伝い流れ落ちてくる獣の血そのままに、暫く剣を掲げていた。

 一頻り歓声を堪能したアウグストゥスは、掲げた剣を体の横に素早く振り下ろし、今まで数百と作った血の模様を砂に作った。

 疲れが全身を襲い、激痛が波打つ左肩を庇いながらアウグストゥスは広場を後にした。


 数日後、左肩を包帯で固定されて療養しているアウグストゥスの元に、身元買い主の男がやってきた。

 男は白い長衣(ローブ)に趣味の悪い宝石を幾つも付け、今日は額冠まで着けていた。

「よう皇帝。腕は痛むかい」

 男は低い濁声を部屋に響かせ笑っている。どんな顔も下劣に見えるのだな、とアウグストゥスは視線を外した。

「ああ。当然だ。だが脱臼は慣れている。心配ない」

「さすがは不死身の皇帝様だ」

 ひっひっひっ、と卑しく笑った男は、アウグストゥスに革袋を投げた。はち切れんばかりの革袋の中身をアウグストゥスが確かめると、いつもの金貨ではなく、物珍しい宝石がびっしりと詰まっていた。

「おい、これは」

「今回はお前のお陰でぼろ儲けだ。胴元のやろう、お前が勝てないと見込んだ獣を高額で買って連れてきやがったんだ。だがお前は勝っちまった。配当が狂ってたからよ、たんまり頂いたって訳だ」

 男は指にある一等大きい緑色の宝石が付いた指輪をしきりに撫でている。儲けですぐに買ったのか、担保に奪ったのか、真実は知らないが、余程儲けたのだろう。卑しい笑いが止まっていない。

「なあ。聞いてもいいか。俺は自由になるのか。いくら稼げばお前から離れる事ができるんだ。興行者(プロモータ)さんよ」

 アウグストゥスは興行者と呼ばれた男に尋ねた。

「なんだ。拾ってやった俺から逃げたいのか」

 まだ興行者は笑っているが、下劣を潜め答えた。

「もういいぜ。アウグストゥス。充分稼がせてもらったよ。お前はもう自由だ」

「本当か?自由になっていいのか?」

「ああ。本当さ。元奴隷の皇帝よ。本音はまだ稼がせてもらいてえんだけどな」

 興行者は下劣を取り戻した笑いを部屋に響かせ、指輪を撫でていた。

「今回のあの獅子、大物の商会が絡んでるらしくてな。どうやら俺は敵を作ったらしい。それにこの闘いでお前の噂はもっと拡がるだろう。だからここらでおさらばしようって魂胆だ」

「そうか。俺は自由になるのか……」

「どうした。嬉しくないのか」

 アウグストゥスは返答に困った。確かに焦がれるほど望んだ自由なのだ。この瞬間を夢見て何十人と切り何百匹と倒した。だが、明日から自由だ、と言われ、何をすると聞かれればかぶりを振ってしまう。

「分からない。お前に拾われるまでの記憶がないから、俺は何をしていいのか分からない。自由と言われてもおそらく何も出来ないだろう」

 興行者は珍しく困った様子で浅黒い顔を掻いていた。

「なあアウグストゥスよ」

「なんだ」

「お前、珍しい得物使ってるだろう。中片手剣(グラディウス)っつったか」

「ああ。お前に拾われる時も持っていた。こいつの振り方も知っていた」

 アウグストゥスは、寝台の横に立て掛けてある相棒を見た。何度も死線を潜り抜けてきた友である。刃こぼれは一つもない銘刀だ。

「世界を知らないお前には分からないだろうが、この剣を使うお前を讃え、剣闘士の事を今じゃグラディエーターと呼ぶらしい」

 アウグストゥスは笑った。大層な名前だ、と思ったからである。

「いい名前だが……あまり美化されたくはないな」

「何故だ。名誉じゃないか」

 アウグストゥスは、以前出会った騎士見習いの青年を思い出した。ただ日銭のために殺す日々は誰にとってもいい気はしないだろう。例え極悪人や狂暴な獣が相手であってもだ。

「分からない。だが、俺のような奴隷がいる限りなくならないだろうな」

「哲学だね。俺には金貨と宝石だけが全てだが、お前はどうやらそうじゃないらしい」

「ああ。そうだな」

「じゃあ決裂って事でお別れだ。俺は幌馬車で逃げるが、お前はどうする」

「俺は……とりあえず残る。やりたい事が見付かるまで、その剣闘士(グラディエーター)ってやつをやるよ」

 たまには天空の斧と酒でも飲もう。まだいるならあの青い騎士見習いも連れていってやるか、とアウグストゥスは思った。

 窓から射し込む太陽の光が、鞘に納まっている中片手剣(グラディウス)を光らせていた。

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