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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

ただ、好きだということ。

作者:乙 唯津
 好きな人。
 大好きな人。
 愛しい人。

 その死体をそっと、抱き寄せた。

 血の匂いは駆逐され、死を受け入れることのできない心が涙を塞き止める。

 愛しい人の千切れた腕も一緒に抱きしめた。
 背中に回していた手の平に血が纏わり付く。
 薄い膜のようなものが指先に変な感触を与える。
 だまのようなそれが大量にある。
 そんな私の手で愛しい人の千切れた腕を優しく持ち、手の甲に口をつける。

 愛しい。


 体からはみ出た臓物に指を入れる。
 手の感覚が無いようで、それでも小さな空気の粒が手を伝い、上へと上る感触がする。
 ゆっくりと、一繋ぎになっているようなそれを持ち上げる。
 血が、腕を伝い肌から零れ落ちた。
 片手では、手から滑り落ちてしまいそうなそれを両手で支え、接吻する。
 不意に、涙が頬を伝い流れ落ちた。
 そして、血を薄める。
 愛しい人の欠片であるような血と。  
 混ざり。
 交ざり。
 雑ざり。

 一緒になる。
 一緒になれた。
 好きな人と。
 一緒に。


 もっと、もっと。
 欲しい。
 愛しい人の欠片が。
 たとえ、それが醜い死体だとしても。
 それは、好きな人なのだから。

 好きで。
 大好きで。
 愛しい、

 ひと。

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