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世界の線 作者:伊藤勇気
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序章 始まりのエンドロール

最近視野が狭い人が多いですね~、一畳の茶室くらい狭いっすね。千利休もびっくりです。迷惑かけないファンなんていませんよ。まぁ、ファンに限らずなんですが「~は」じゃなくて、「~達は」の方がいいんじゃないですか。僕はまぁそんな人達に視野を広く持って読んでほしいと思っています。
――何もない……

 誰ももうこの世界に残っちゃいない……

 全てが終わった オワッテシマッタ

 終焉を迎えた世界では、蝉の鳴き声だけが聞こえてくる
 青い空の上で揚々と浮かんでいる太陽は、まるで愚かな自分を見下しているようだ
 ぼくに見えるのは、窓がすべて割れた廃墟ビルと、鈍色の鉄骨だけ、世界が終わったような風景、
 ぼくが今いるこの建物も、もうすぐ消える
消滅する……

 まさに世界の終りと言う感じだ。
 この町には、もう誰もいない、
誰も残っちゃいない、
誰も、誰も生きちゃいない
 そして、じきに町はあの穴に落ちる
 あの大きな穴に……、
ぼくが生み出したあの大穴にすべてを飲まれる……
「ごめんね……、みんな」 
 誰かへの謝罪の言葉、その言葉を紡ぐようにどこからか声が聞こえた

『――そうやって、』

 脳に直接聞こえて来たそんな声、なんだか懐かしい声だ

『そうやって、また君は諦めるのかい?』

 仕方ないじゃないか……、もう何も残っちゃいないんだから……

『そうだね、同級生達も、愛想のいい後輩も、いつも元気を分けてくれた幼馴染も……』 

 そして、共に片親を親を亡くし、二人でこれからを歩もうと約束した可愛い義理の妹も……

『みんな、みんなみんなみんないなくなったね……』

 そう、みんないなくなった、そしてぼくは妹との約束は結局守れなかった 
 だからもうこんな世界……

『まだ諦めないで! 君はそんなやつじゃなかった筈だ……、だから!』

「うるさい!」

 ぼくだって嫌だよ、諦めたくないよ! 
 でもぼくは……、ぼくは……、
「結局、人間じゃなかった! ヒトじゃなかった! 人間じゃなけりゃ同級生でもない! ヒトでなければ家族でもなかった」
すべて僕が悪いんだ……

『やりなおしたい?』

 唐突に言われたそんな言葉

『やり直せるよ……、君がみんなとバカみたいに過ごせた日常にまた戻れる……』

『またみんなに会えるんだよ、ねえ』

「……またこれか」
 またこれだ、もう何回これを繰り返すのか

世界の線2

 ――蝉が鳴く、
 校舎の窓から見た外には、まだ六月だと言うのに地面から湧き出た陽炎が揺らめいていた。
 体育の授業中だろうか、グランドから下級生と思われる、意気揚々とした元気な声が聞こえてくる。
 その時、ガッ! と後頭部を誰かに殴られた
「――こら、白木彼方!」

 後頭部を辞書らしきもので叩かれたらしい
ジーンと、痛みの余韻が残る
 後ろには、このクラスの担任で国語の授業を受け持っている高雄マヤが立っていた
「先生をつけろ」
 ガッ!!
「いたっ」
今、ぼくを殴ったのはなんの変哲もないただの国語辞典……
この先生はいつも片手に何かの辞典を持っていて、ぼくみたいに時折ボーっとしている生徒の脳天に辞書を落とす
漫画によくある暴力教師だ
スタイルはいいのにこんな性格だからいまだに独身である
「あたしの国語の授業はそんなに退屈か? 白木彼方」
「いえ、そんなことは…… て言うかその辞書チョップはやめてくださいよ、脳細胞が何個死滅するか……」
「そのボケッとした癖だけ死滅しろよバーカ」
 先生とは思えぬ発言だ……
 しかしこの問題発言、ふつうなら問題だが
 この人はスタイルがいいだけあって、ファンクラブまで設立されるほどだ
 一部の生徒の間では、逆に罵ってほしいと申し出る輩がたくさんいるほどだ。
 いつも罵られるぼくはクラスメイトに羨ましがれることも…… ある。

休み時間 
「大丈夫? 白木君また殴られちゃったね、」
 この子は久間紫音、ボブヘアで少しばかり背が小さい
 妹みたいなロリ体型だが、クラスの中ではみんなのお姉さんみたいな感じだ
「大丈夫、……じゃないよ。、ぼくがバカになったらあの先生訴えてやる」
「あはははは、それよりなにを見てたの?
白木君、いつも窓の外眺めてるよね。確かグランドで下級生が…… あ、」
 シオンは、そこで何かに気付いたみたいに言葉を止めた
「も、もしかして気になる子でも? ならお姉さんに相談してみなよ。」
 まるで、新しいおもちゃをもらった子供のように目を輝かしてシオンは言った
「でもだめだなぁ白木君、十五歳はロリータの中に入っちゃうじゃない、私はクラスメイトをロリコンにはさせたくないなぁ」
「あれ、じゃあなんでここにシオンちゃんがいるんだろ、グランドで体育をしなくていいのかい?」
「どこの骨を折られたいのかな? シラキクン」
 おお怖い怖い
「で、本当は何を見てたの? 彼方」
 こっちのストレートの髪型の女子は加賀華
ぼくの幼馴染で高校まで一緒になってしまった
「別に…… なにも見てないよ、ただぼーっとしてただけ……」
「昔からそのクセ治んないよね、小学校から一緒にいたけどあんたはいつも明後日の方向ばかり見てて危なっかしいたらありゃしないわよ」
 華は長い髪をたなびかせながらいった
「華さんは白木君とそんなに一緒なんですか」
「そうよ、このバカ昔から泣き虫でね六年生の頃も……」
「わー、わー、華それは言わないでよ!」
 ふー、危なかった、……まったく
「それよりも白木、今日もおばさんいないんでしょ? だから……、その……、今夜も作ってあげるからね……、ごはん……」
 なんでちょっと顔を赤らめてるのか知らないけど、華が言った通りだ
 父さんが死んでから十年、女で一人で育ててくれた母は研究員と言う風変わりな職業をしている、たまに論文が出来上がるとこうやって外国の方に行く
 母さんがいない間は自給自足しなくちゃいけない
 だから正直、華みたいに家庭的な料理を振る舞ってくれると嬉しい
「うん、いつもありがとう華」
「ば、ばか! 別にあんたのためにやってるんじゃないんだから」
「あれ華さん、それツンデレ……」
「べ、べつにツンデレじゃないよ! 久間さん」
「ああ、そうか、お姉さんわかっちゃた」
 シオンは二ヒヒヒと笑いながら言った
「え、なにがわかったの、ぼくにも教えてよ……」
「彼方にはまだ早いッ!」
 なぜか一喝されてしまった
 いったい何の話をしているんだろうか
 二人のやり取りをしばらく見ていると

 ――キーンコーンカーンコーン

「「「あ、」」」
 鐘が鳴った
「ほ、ほらシオンさんっ、席に戻ろ、ね?」
「ちぇっ、もうちょっと遊んでいたかったなー」
華はシオンを急かすように自分も席に戻っていった

 帰路、
 あんなに暑かった夏の温度は、太陽が山と山との間に半身を隠し始めてから、少しマシになったみたいだ
 そういえば昔は華と並んで帰っていたものだ
中学に上がってからは、お互い付き合ってるのと勘違いされるのが嫌で別々に帰るようになった
その名残だろうか、今でも別々に帰っている
正直、中学の頃はいい思いがない
華とは別々のクラスになってしまったり
ヒト付き合いがめんどくさいと感じたこともあり、親しい友達なんていないも当然だった
イジメこそなかったが、体育や学活の時間の「好きな人と組んでください」はある意味恐怖だった。
魔法の呪文にさえ聞こえたほどだ……
「魔法か……」
 何気に呟いてみた、
 もちろん意味などない

「あなた……、魔法を信じるの?」

「っ!」
 後ろから声が聞こえた
 驚いた……、と言うよりも恥ずかしさが込み上げてくる
 (今のを聞かれていたのか……)
 恥ずかしい感情が弁解の言葉を模索した
「い、いまのはひとり言で……、べつに深い意味は……」
 弁解をしようと後ろを振り返る
 後ろにいたのは、深くフードをかぶったぼくよりも少し背が小さい女の子だった
 だけど、それだけじゃない
 瞳の色は赤、いや紅色
 炎よりも赤く……、血よりも深い
 果てのない赤い瞳
 髪は光輝く黄金のような金髪
 おそらく今までみた金色よりも輝く色
 その子は、明らかに郊外の町には相応しくない容姿をしている
 目が赤い人種は全人類の1パーセントにも満たないと聞いたことがある。
 だったらその人と出会う確率はもっと低いだろうそう思ってた
 雑誌やテレビなどでコスプレをした人を見かけるが、どれもパッとしない似合っていない、
そんな風に思っていた、けどこの女の子は全て生まれつきのように似合いすぎている、
定着している、
 少女は「君、魔法を信じるの?」
 と、再び問いかけてきた
「ねえ……」
 少女は問いかける
「ご、ごめんなさい」
 なぜかあやまってしまった
 少女の容姿に恐れをなしたのか、
 いや、ちがう彼女は……

 彼女は、人間じゃない

 なぜかそう思った
 わからないけどなぜかそう思った
「そう……」
 恐ろしいことに少女の瞳の色は深くなる
 真紅よりも赤く、黒に近い赤に赤黒く……
 本能が「逃げろ」と叫ぶ
「だったら、」
 早く、はやく逃げなきゃいけないのに、ぼくの脚は棒にでもなったかのように動かない
「死になさい!」
 少女は、右手をあげて意味不明な言葉を唱え始めた
「Я плачу дьявол встряхнуть печь тьмы……(私は悪魔だ鎌を闇の中で振りかざし泣き叫ぶ。。。。。)」

※печь=серп

 何もないはずの少女の手の平の空間が歪にねじれ始めた
「……в ладони наша страдает вечная развязывает крик твоего!(私たちの永遠の苦しみや叫びをあなたの手のひらに解き放ちます!」
 少女が詠唱を唱え終わった次の瞬間、
 捻じれた空間に穴が開き、そこから真っ黒な無数の腕が出てきた
 そのうちの一つがぼくを目がけて向かってきた
「っっ!」
 脚は先ほどからまったく動かないままだ
 もちろん逃げることはできない
 ……ああ、ぼく死ぬなこれ結局なにもできず死ぬのか、最後に華や母さんに言いたかったな……、「ありがとう」って、
 そう思った矢先、「彼方ッ!」
 少女よりも後ろの方、つまりぼくが来た道から華が叫ぶ声が聞こえた、
 間違いなくそこにいたのは華だった
「なにこれ……、どう言うこと……」
 ……華、逃げろ
 思うも儚く、ぼくの方を向かっていた真っ黒な腕は方向を変え、
華の方向目がけて向かった
「華!」

 ――ブシャッ

 真っ黒な腕は華の胸部を貫いた

世界の線3

華から噴水のように赤い鮮血が飛び出す
「悪く思うなよ女子」
 少女は悪びれもなく華を一瞥した
 その時、なにかが胸の中で蠢いた

 ――コロシテヤル……

「うっ!」
 なんだこれ……
「邪魔が入ったが……、悪く思うなよ少年、私は待ち人がいるのでな……」
「――コロシテヤル……」
 ふと、口から出た言葉
 そしてなぜか居心地がいい、華が殺されたと言うのに……
 何かが心を満たす……

『やっと目覚めてくれたか』

 誰だ? 
 頭に直接、誰かが喋りかけてくる

『まったく……、まさか愛する者の死が我を呼び覚ますとは……、つくづく人間とは興味深い生き物だ』

 男とも女とも区別つかない声は、ぼくに問いかける

『汝、復讐を誓うか?』

 復讐? フクシュウ?
 できるものならやってやる!

『契約成立だな……』

「うっ……!」
 何かが込み上げてくる……
 車酔いをしたときと同じ感覚だ
「少ね……、お前……、その姿……!」
 なんだ? 目の前の赤い少女は驚愕の表情を浮かべている
「そうか……、こんなにも早く見つかるとはな……、私もついてる……」
 そう言う少女はまた、手を前に向けて
「……Я дух света по Богу, чтобы поймать монстров в соответствии с нашей святой цепи!(神に仕えし精霊の鎖よあの者を捕らえなさい!)」
 今度は対象的に光の渦が現れた
 その渦から、鎖のような物が飛び出す
「コロシテヤル……」
 鎖はぼくの体に巻きつき締め上げる
 抵抗しようにも強固な鎖は外れない……、
 筈だったが、右腕を振り上げただけで鎖は蜘蛛の糸のように簡単に契れた
「バカな! 神に仕える精霊の鎖だぞ……、
日本にがいかに神国だろうとこんなのは聞いたことがない!」
 少女も驚いているが、一番驚いているのはぼくの方だ……
 ためしに少女目がけて、体当たりを食らわせようと地面をけった
「っ!」
 地面は抉れ、いっきに少女の体が近くなる
 一瞬、少女の方がいっきに近づいてきたのかと思ったが、どうやら違うみたいだった
 近づいたのはぼくの方だった
「きゃっ」
 少女は防御の姿勢をとるが無駄だった
 華奢な体は簡単に飛ばされる
「や、やるじゃない……、だけど今度はこうはいかっ……」
「そこら辺でやめておきなさいユリア……」
 ユリアと呼ばれた少女は、声のした方を向いて驚きに表情を浮かべた
「ガサイ! なぜ止める、あいつは目標の」
「あなたに課せられた使命は違うはずですよユリア」
 塀の上に座るガサイと呼ばれたフードを深くかぶった(声からして)女性は、静かな声で言う、
 それに対してユリアは納得がいってないみたいだった
「くそ……、覚えていろよ、少年!」

「ユリア!」
「はいはい」
 ユリアと呼ばれた少女とガサイと呼ばれた女性(?)は、自分の倍はあるだろう壁をなんなく飛び越えていつの間にか見えなくなっていた
 二人のやり取りを見ていたら、いつのまにか戦意損失してしまったようだった
 今はとにかく家に帰って何か食べたい、華が家の前で待ってるか……、も……
「――そうだ! 華は?!」
 華が倒れてるほうを向く……、向いてのはいいがそこには何もなかった
 あるのは、すっかり暗くなった道を照らす街灯の灯りだけ……
「そんな……、どこに……?」
 夢でも見たのか……? きっとそうだ、そうに違いない
 白昼夢でも見ていたんだ
 ……なら、もう家に帰ろう

――そのとき、ぼくはまだ気づいていなかった
 自分の中にいる魔物もこれから起こる悲劇も…
間違っていたら謝る、という風潮は嫌いですね。
誤るということは負けを認めることになりますから。

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