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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

不思議な物語達

恋人はトリック☆スター

作者:小宮 海
今回は、何気に私の趣味に走った短編。タイトルとタグの意味は、分かる人には多分解ります。
 さて、皆様方私は、実は神様の恋人です。

 頭がおかしいと思われるのは仕方ないし、私も同じ立場ならきっと何を言っているの?と思いますが……


「やぁ、ミコト待たせたね」

 この、褐色に赤い髪をした、イケメンが私の恋人です。因みに目も赤くて、ちょっと怖いですが、そんな見た目よりも、

「アルラ、別に待ってないよ」

「ミコトなら、そう言うと思った」

 こんな、普通の恋人のように接してくれますが、この人自身は中身はかなり禄でもありません。

 恋人に酷い言いようだと思われますか?しかし、事実です。現に……

「それにしても、今日ミコトとデートに行く前に、凄く面白い物を見てさぁ!不良がね、一人の子に向かって絡んでたんだよ!その子、ちゃんと謝ってたのに、まだ、絡んでて…まぁ、それぐらいなら良くあることだし、対して気にしないしそれ以上にどうせその一人の子がボコボコになるだけだから、つまらなくなりそうだなって思ったんだ。」

 笑顔で、こんな事をのたまっている。そして、その表情は心から退屈そうに見えた。しかし、


「だけど、悲鳴が聞こえたから、ちょっと興味が出て、もう一度みたら、その子がね、不良を逆にボコボコにしてて、本っ当に面白かった!特に、不良のあの情けない声は、笑いをこらえるのに大変だったよ!でも、名残惜しかったけど、ミコトのデートが優先だからね」

 そう言って、イケメンに許されるウィンクをした。

 これで、分かってくれたと思うが、この人ははっきり言うなら性格がかなり歪んでいる。

「そ…そうなんだ…」

 そう、答えるだけで精一杯の私を知ってか知らずか、この人は本当に楽しそうに話した。

「じゃあ、そろそろ行こうか!楽しみにしてたホラー映画、早くみたいなー?」

 私の手を繋いで、アルラは映画館に向けて一緒に歩いた。


 そして、数時間後。

「あー!楽しかった!!けど、ちょっと物足りなかったな?僕としては、もっとエグく、グロく…そしてもう少し人間の醜さを表しても良いんじゃない?と思った。僕的には、アカデミー賞には足りないかな?」

 心底楽しんでいたこの神と、ホラー映画は特に怖いわけではないのに、私はあの映画は、かなり堪えた。

 はっきり言おう、あれ以上やったら間違いなくR18Gになっていた。間違いなく。

「それは、良かったね…」

 でも、楽しんでいたアルラにそんな事言う気はなかった。でも、少し休みたい。

「アルラ、ごめん…ちょっと休みたいんだけど」

 そう言ったら、アルラは私に振り向いた。

「あれ?もしかして、酔ったの?一応3Dだったし、えーっと…」

 確かに、多分3D酔いしたせいかもしれないけれど、間違いなくあの映画のせいもある。特に儀式の部屋で人が大量に、虐殺されるシーンのグロい事グロい事……お前等、なんであんなの呼んだ。

 後は、食べられたり、海に引きずり込まれたり……断言する、今日、絶対夢に見る。

とりあえず、休みたくて仕方ない私は、アルラと一緒に休むところを探した。

「あ、ベンチがあるよ?ミコト、歩ける?」

 その言葉に、頷いたけど、アルラは思い付いたように私を見ると…

「よし、それじゃあ僕がベンチまで、運んであげよう!」

 そう言って、私をあろう事か、姫抱きしてベンチまで運んだ。

 はっきり言うなら恥ずかしかったんだけど、やっぱり有り難かったから、特に何も言えず、そのままなされるままにした。

 そして、ベンチに着くと、アルラに膝枕された。どこのバカップルだ。

「ありがとう、アルラ」

 でも、文句は言えない立場だからツッコまない。

「どういたしまして、所で、具合が悪くなった理由、3D酔いだけじゃなくて……内容も理由でしょ?」

 心の底から愉しそう言う。大方、私が弱っているのが面白いんだろう。

 その、言葉になんか悔しくなり、私はツンッと言った。

「違うし…只の、3D酔いだから」

 私の言葉に、ふぅんと言った後、アルラはにっこり笑って…

 いやな予感が、した。コレは、アルラが完全に遊ぶための表情だ…そして、その予感が的中した。

「そっか、なら良かった!所で、僕が一番好きなシーンはね、あの、暗がりからいきなり人が食べられた……」

「ストップ!やめてやめて!!そうです!内容でも酔いました!!」

 このやろう!私が、一番堪えたシーンを!!

「やっぱり、そうだよね~?ミコト、あのシーンだけ、目を背けてたし?」

 ニコニコ笑いながら、この人でなしは私を上から見た。違った、人じゃない、神でなしだ。人をおもちゃにして楽しみやがって…

 あ、ちょっと具合が悪くなった……

 あのシーン、暗がりだからどうなってたか分からなかったけど、悲鳴と、食べられる時の音が妙にリアルすぎて、割と今でも耳に残る…。その後の大量の血とか……他にもセットとか、モンスター的な何かとかリアルすぎだろ。何故ベストを尽くした、監督と制作者。

「…叫んだら、余計に具合が…」

「ほら、叫ぶからそうなるんだよ?」

 元凶が、素知らぬ顔して何か言ってる…しかし、具合が悪くなったのも事実。

「ごめん…なんか、眠くなった…」

 暫くそうしてたからか、段々眠くなってきた。アルラがいつの間にか頭を撫でてくれていたからか、目蓋が重くなる。

「ミコト?眠いの?寝ていいよ?」

 アルラの優しい声に、私は甘えることにした。

「じゃあ、そうする…アルラ、ありがとう…アルラが辛くなったら、起こしてね?」

 そう言って、私は眠りについた。


……………………………………………………………………………………………


 眠っている、恋人を見る。彼女と出逢ったのは、夢の中。

 気が付かないように、僕は、霧のようなモノになり、気紛れに入った夢をちょっと悪夢にしようか考えた時、彼女が気が付いた。

「あれ?貴方、誰?」

 正直、驚いた。なんせ、気が付かれないようにしたから。興味がわいて、僕は話しかけた。

「初めまして、僕はЙΛψАΓЯΔTРДTЩшΡ」

「え?ごめんね、もう一度言って貰って良いかな?」

 どうやら、彼女には分からなかった。でも、仕方ない。なんせ、本来なら、彼女達人間には、発音できない言葉なのだから。

 だから、今度は僕が人間達に呼ばれている名前を言った。

「僕の名は、ナイアルラトホテップと人間達から呼ばれているよ。因みに、ナイアーラソテップとか、ニャルラトテップとか他にも色々言われてるよ」

「どれも長いね!?後、なんか最後の名前可愛い!!」

 話してみると、コロコロと表情を変える彼女。

 この、僕の名前を出しても怯えないで、寧ろ、楽しそうに話すこの少女に僕は、一層興味がでた。

 まぁ、あの反応からしてみても僕のことを知らなかった可能性の方が高いな。だからか、彼女、ミコトを存外気に入った僕は、彼女に叡智を授けようと思った。

「ねぇ、ミコト?君に予言とか、なんでも出来る、技術とかあげようか?」

「どうして?別に、いらないよ?」

 ミコトのこの言葉に、僕は驚いた。

 今までの人間達は、必ず欲しがったのに、ミコトだけはまるでなんでもないように言ったのだ。

「どうしてだい?それがあれば、君は誰よりも優れた人間になれるのに?」

 そういったら、ミコトは、

「だって、予言って先のこと知るんでしょ?なら私、自分のこの先の未来を知るのとか怖いし、それにこの先の未来の楽しみが無くなるからいらないよ?後、技術も私じゃなくてもっとそれを活用するのに必要な人にあげてよ?私が持ってても、意味ないと思うし。だから、申し訳ないけど、いらないかな?ごめんね」

 と、其処には本当に思った事を僕に言った彼女が、申し訳なさそうに微笑みながら僕に言った。僕は、

ー…面白い…ー

 と思った。この時、僕の中では彼女は興味のある人間達の一人から気に入った人間になった。だから、ミコトに少し食い下がった。


「そっか、なら何か欲しいモノはあるかい?」

 ミコトも、人間だ。人間なら欲の一つや二つあるだろう。そしたら、思った通りミコトは言った。 

「あるよ?あのね、私彼氏が欲しい!」

 その言葉に僕は耳を傾けた。

「彼氏?恋人の事だね。」

「そう!私ね、友達が彼氏いるんだけど、それが羨ましくて…あのね、私、遊びに行ったり、学校帰りにデートしたり、家でのんびり一緒にいたりしたいなって思ってたの!だから、彼氏が欲しいなぁ…出来れば、イケメンな!」

 真剣に、だけど、最後はちょっとおどけたように言った彼女は僕に楽しそうに言った。

 そこで、少し話して彼女との初めての出逢いは終わった。


 想い出しながら、僕は彼女の頭を撫でる手を頬に付けた。

 よく眠る彼女を見て、僕はほくそ笑む。

 他の旧支配者達は、人間には興味がないようだけれど僕としては、人間達は大好きだ。

 愚かで、学習しているようでしない、生物。

 同じ種族を差別し、貶め時にはおぞましいほどの狂気で虐殺や殺戮をしたり、欺き、騙し、そしてそんな人間を復讐しようとする人間。

 なのに、大切なモノのためなら自己犠牲を厭わず、自分が苦しいはずなのに、与え、優しくし、今度はその恩を返そうとする人間。


 どちらも同じ造りをしたモノなのに、千差万別違う人間達の破滅、営み、絶望、希望は見ていて飽きない。だから、僕はこんなに面白くて愉しい人間達が好きなんだ。複雑怪奇な人間を、どうして興味がないと言えるのだろう?

 その中でも、僕が一番気に入ったのが、ミコトだということ。

 他の僕も、僕と同じ思考をしているか分からないけれど、人間に興味があるのはどの僕も同じ。そこだけは、多分一緒だ。


「ん……」


 完全に寝入っているのか、ミコトは身じろいだ。その様子に僕は、彼女の唇に自分の唇を重ねる。

 いつだったから、彼女は僕とずっと一緒にいたいと言った。なら、

「その願い、叶えるよ…ずっと、ずっと…君が死ぬまで、君の魂が擦り切れて消え去り、その残骸も跡形もなく無くなるまで。なんせ、僕は君の恋人だからね」

 僕が興味を持った、一番気に入った人間、ミコト。その願いは叶えるけれど…

「だから、君が成人するまでは、自由にしてあげる。だけど、成人したら、僕の住処の何処かに連れて行こうかな」

 優しく、ゆっくりと頬を撫でながら続ける。成人まで待つのは、僕の気紛れ。

「君を、僕の一番気に入った君を早く連れて帰りたいな」



………………………………………………………………………………………


「アルラ、ごめんね?なんか、結局寝てたみたいで…」

 あの後、私はあまりの気持ちよさにすっかり寝入ってしまった。そして、気付けば夕方…こればかりは申し訳なかった。だけど、

「気にしてないよ?それに、ミコトの寝顔を見れて楽しかったし」

 なんて事のないように、そう言った。

 アルラと会ったのは、夢の中。最初は喋る霧なんて変わってるなぁ…でも、夢だしと思ってたくさん話をした。

 夢にも入ったのも、私にちょっとイタズラしようとしたらしい。

 その後、願いを聞かれた。だから、夢だから良いかと思って、言ったら、

 その数日後、彼が私の所に来た。

 最初は、多分勘違いかなとか、遊ばれてるのかな?とか思ったんだけど、どうやら彼は、夢の出来事を鮮明に覚えてくれたみたいだった。そして、自分が神様だと教えてくれた。

 私は、アルラがこうして夢の中での会話やこうして人になって会いに来てくれたことが、そして、私の願いを叶えに来てくれたということがあって、疑いもしなかった。

 その後は、アルラと恋人になって、こうして私といてくれる。

「ミコト、君が成人したら、一緒にいよう?約束だよ?」

 そう言った、彼に私は赤くなりながら、隠すために俯いて

「分かった…だけど、浮気とかやだよ?」

「勿論、そんな事はしないよ?」

 笑って、そう言ってくれるアルラの手を繋いだ。

 なんだか、神様が恋人になって、その後はずっと傍にいるなんて、漫画や小説みたい。

 そこで、ふと思った。 

「ねぇ、アルラ、アルラって仲間がいるんでしょ?神様の仲間」

「いるけど、どうしたんだい?」

 不思議そうに首をかがけるアルラに私は言った。

「いつか、その神様達の封印、解かれると良いね。やっぱり、同じ神様達と会いたいもんね」

 アルラには、私がいるから寂しくないと思いたいけど、それでもやっぱり同じ神様と会いたいと思う。

 前にアルラに聞いた。アルラ以外の神様は、自分達とは別の神様に追放されて、封印されたと。アルラは、その神様達を封印から解くために、頑張っているって。

 アルラは、なんとか逃げ出したらしくて、こうしていろんな所に行ったりしているらしい。

 きっと、口には出さないけれど心細かったり、寂しかったりしたかもしれない。一人にされて、悲しかったかもしれない。

 だから、少し目を細めたアルラの手を優しく握る。


「アルラ、私がいる限り、ずっと一緒だからね。いつか、アルラを置いていくけれど、その間にアルラが寂しくないように、たくさん、たくさん思い出を作ろうね」

 私は人間だから、神様のアルラを残して死んでしまう。だけど、私が生きている限り、彼の傍にいたい。


 そう言って、アルラの手を握り、アルラは、


「そうだね、君がいつか本当にいなくなるまで、君の傍にいるよ。」


 手を握ってくれた。


 その、温もりが嬉しくて、私は家に帰るまで彼の手を話さず、彼も優しく笑いながら家まで、送ってくれた。

 家について、アルラとまた、次いつ遊ぶのかと約束をした私は、

「アルラ、またね。お休みなさい」

「お休みなさい、ミコト、良い夢を」

 そんな、会話が心なしか寂しかったけれど、それも、成人するまで。成人したら一緒にいられるのだから、私は今は、それで良い。

 そう言って、アルラに微笑みかけて、私は扉を閉めた。











「お休み、僕の優しくて暖かな心優しい、愚かでどうしようもないくらい、お人好しの可愛い人。君は、君という存在が消え去るまで、永遠に、僕だけのモノ……だから、僕の傍にいるということを覚悟してね?」





他の神1「ミコトちゃん逃げて超逃げて」
他の神2「やはり自重しない邪神」
他の神3「とりあえず、誰か呼んでこい」

アルラ「僕に勝てる相手なんて、そうそういないんじゃないかな?」


というわけで、パッと思いついた話でした。前書きに書いたトリックスターは、クトゥルフ神話の邪神です。

ミコト
ごく普通の女の子。女子高生。優しくて気遣いのできる子。夢の中で出会い、いろいろあって恋人に。なんだかんだで好きなので許してしまう。アルラの事は神様だと知っているけれど、彼がクトゥルフ神話の邪神とは知らない。

アルラ(ナイアルラトホテップ)
分かる方には分かる、クトゥルフ神話のトリックスター。関わると大抵悲惨な目に遭う。「無貌の神」、「千の貌を持つもの」、「這い寄る混沌」など言われている。色々な作品に使われることが多い御方。ミコトの事が好きかどうかは本人しか知らないけれど、誰よりも彼女を気に入っている。それこそ、人間の中では一番好きなくらい。気に入りすぎてミコトそのものを手に入れようとしている。自重しない邪神。

因みに、作中の映画はクトゥルフをモチーフとした映画。制作者と監督がクトゥルフ大好きなので意気投合して作ったらしい。

ミコトが会話していた他の神。
旧神とよばれています。アルラ側の神様、旧支配者と敵対しています。

旧支配者
アルラ側の神様。(しかし、アルラは外なる神側だったりもする)とりあえず、傍迷惑な神様が多いです。

外なる神
アルラの一番偉い神様がいます。色々とスケールが大きい方々。普段は地球に干渉しないけれど、干渉すると凄い影響を及ぼします。とりあえず、ヤバい神々。

一応、私なりに解釈しましたので、間違っているかもしれません…。すみません…。興味がある方は、是非、調べてみて下さい。個人的には、面白いです。

それでは

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