「なるほどな。それで俺達に相談しに来たってことか……その判断は決して間違ってないぞ」
「……ありがとう、雄二」
おおまかなことを雄二に説明した僕と亜美。
雄二達は、その説明だけである程度のことを理解してくれたみたいだ。
……僕の話は伏せておいたけど。
雄二達だけなら話していたかもしれないけど、何せ姫路さんや美波も一緒にいるのだ。
こんな話をして、無意味に心配させるわけにもいかないだろう。
「……まぁ、その話がすべてと言うわけじゃないんだろうが、後でその話の中の足りない部分に関してはこっそりでもいいから俺に教えてくれよ」
「……うん」
僕にしか聞こえないような小さな声で、雄二は僕にそう言った。
僕はその言葉に小さく頷いた。
「さて、話をまとめるぞ。牧野は変な男達からの過度のストーカー行為に悩まされている。だからそんなストーカーを撃退する為には一体どうしたらいいのかを考えてほしいということで合ってるな?」
「……うん」
亜美は雄二の言葉に頷く。
……それが今回の話の本筋であり、亜美の悩みであった。
「亜美ちゃん……ストーカーに悩まされていたんですね」
「亜美……何でもっと早くに私達に言ってくれなかったのよ。それなら私が殴りに行ってたのに」
「やめろ島田。そんなことをしても無駄だ。むしろ理由もなく殴られたとか言われて、停学処分喰らうぞ」
「う……それは嫌かも」
確かにその通りだと思う。
連中もそこまでバカじゃない。
だから、意味もなく鉄拳制裁を加えれば、先生に報告して、それこそ停学処分にさせられる可能性がある。
最悪の場合、退学だ。
そんなことになったら……ますます相手にとっては都合がいい事態になってしまうだろう。
「難しいな……さすがに今回に限っては、そう簡単に事が運べるわけじゃない」
「じゃのう……確かにここまで来てはおるが、決定的な証拠があるわけではないしのう」
確かにその通りだ。
亜美の話からして……この話はかなり信憑性が高い話となっている。
けど、それまでだ。
その誰かが一体誰なのかを掴んだわけでもないし、ましてや決定的な証拠も持っていない。
つまり、今は動くだけ無駄だということなのだ。
「だから牧野……お前には悪いが、ここはしばらく待って欲しい。俺達も決定的な証拠をつかむ為に努力しながら、これからどうするかを考える。こういうのは、みんなでやった方が絶対に効率はよくなるはずだからな」
「……ありがとう、坂本君」
軽く頭を下げる亜美。
それにしても、これから僕達は具体的に何をすればいいのだろうか?
「……さて、これからのことなのだが、とりあえず明久。お前は牧野の身辺を注意してろ。この中で一番牧野に近い人物は明久だからな。相手がどう動くか分からない以上、誰かが牧野のそばにいてあげていた方がいい。だから明久、ここは一番近くにいるお前に、牧野の護衛役を命ずる」
「え……僕が?」
「少なくとも、俺や木下がいるよりかは、牧野も頼りになるだろうしな」
そう、なのかな?
僕は雄二と違ってそんなに力があるわけでもないのに……。
けど、頼まれた以上は引き受ける他ない。
「分かったよ、雄二」
「気を付けてくださいね……明久君」
「何か起きそうになったら、いつでもウチらを頼るのよ?」
「……ありがとう、姫路さん、美波」
何としても、僕達の手で亜美を助ける。
その為には……みんなの協力が必要だ。
だから、僕も出来る限り力を尽くす。
……亜美を守る為に、僕も出来る限りのことはしようと思う。
「よし……今日のところはとりあえず解散だ。それとムッツリーニ、お前には別に仕事を頼もうと思う」
「…………御意」
そして今日は、これでお別れとなった。
……だけど、僕はこの時、知らなかった。
あんなことに、なるなんて……。
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