第1章 アイドルとの出会い
第二問 少女との出会い ①
【第二問】 日本史
以下の問いに答えなさい。
「紫式部が著者である、光源氏を主人公とした平安時代の長編小説を答えなさい」
姫路瑞希の答え
「源氏物語」
教師のコメント
正解です。他にも、『紫式部日記』などを紫式部は書いていますね。合わせて覚えてしまいましょう
吉井明久の答え
「Tales of the Genzi」
教師のコメント
格好いいですが、英語でごまかしても無駄です。
島田美波の答え
「ガラスの十代」
教師のコメント
それは光GENJIです。というか、どこからその知識を得たのですか?
「……で、どういうことなのよ、アキ?」
「それは僕に聞かれても……一体何が何やらよくわからないし」
僕達は今、屋上に来ている。
そして、何故か僕を取り囲むように、雄二・秀吉・美波・姫路さん・ムッツリーニは並んでいた。
端っこの方には、須川君達が何やら準備をしている。
……僕、これからどうなるんだろう?
「あの……明久君とはどこで会ったのですか?」
姫路さんが牧野さんに尋ねる。
すると、牧野さんは、
「道端だよ。私が泣いてる所に、偶然ながら明久君が通りかかってくれたんだ」
道端で泣いていた?
……あれ、何だか少しずつ思い出してきたような気もするぞ。
「どうして泣いてたりしたんだ?それに、それはいつの話だ?」
次から次へと、雄二は質問を繰り出す。
雄二め……牧野さんを困らせてそんなに楽しいか。
けど、当の本人である牧野さんは、ちっとも困ったような雰囲気を見せていない。
どころか、その質問が来ることが分かっていたかのように、答えた。
「小学校の時、この鈴の髪飾りを何処かに落としちゃった時があって、途方に暮れて道端で泣いてたら、明久君が一緒に探してくれるって言ってくれたんだよ」
小学校の時……鈴の髪飾り……道端……。
ああ!
「思い出した!あの時、お母さんからもらった大事な髪飾りを探していた『あみちゃん』か!まさか牧野さんが『あみちゃん』だったなんて……」
「ようやっと思い出してくれたんだね?明久君……」
すると、牧野さんは突然目から涙をこぼしていた。
「え、ええ?どうしたの?牧野さん……って、うわっ!」
ドンッ!
一瞬そんな衝突音が聞こえたかと思うと、次の瞬間には、牧野さんが僕に抱きついてきていた。
……って、牧野さん!?
その格好はヤバいって!
その……ぼ、僕の体に当たる、謎の柔らかい感触、が……。
「…………羨ましい」
ムッツリーニ、君はこの状況でもそんなこと言ってるんだね。
あ、鼻血を出してムッツリーニが倒れた!?
「……亜美って呼んで、明久君」
「う、うん……ま、じゃなかった……亜美」
「……嬉しい、明久君。完全に忘れてなくて、よかった……」
感動の再会。
……うん、僕はこの時、ものすごく幸せだなぁって思っていた。
なんて言ったって、アイドルに抱きつかれて、しかもそのアイドルが僕と面識があったのだ。
このことを幸せだと思わないで、いつ幸せを感じる?
……けど、その幸せも、
「……アキ?」
「……明久君?」
「……え?」
わずか3秒で崩れ去ることとなったのだった。
「さっきウチが言ったこと……覚えてるわよね?」
「え、えっと……何でしょう?記憶にございません、が……」
危険を察知した僕は、とりあえず亜美を一旦どかして、安全な場所に行かせる。
その時亜美が残念そうな表情を見せていたのはなぜだろうか?
「もし『MARNO』と知り合いだったら……殺すって言ったわよね?」
「そ、そうでしたっけ?僕の記憶にはそんなこと言われたことなんて残されていないのですが……」
「それで……明久君は、牧野さんに抱きつかれて、そんなに嬉しそうに笑っているのは何故ですか?」
「それは単純に再会を嬉しく思っているだけで関節が妙な方向に曲がって悲鳴をあげているぅううううううううううううううううううううううう!!」
痛い痛い痛い!
関節はそんな方向には曲がらないよ、美波!
さり気に人類の限界に挑戦中だよ、僕の体!!
「……相変わらず明久は、明久だのう」
「だな」
「…………(コクリ)」
「納得しないで助けてよ、三人ともぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
結局僕は、昼休みが終わるまで、美波と姫路さんから解放されることなかったのだった。
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