第3章 文月学園美少女コンテスト
第十一問 美少女コンテスト~男子女装の部~ ③
『それでは続きましては、先ほどの吉井明久君と同じく二年F組からの出番となります。我らが寡黙なる性識者こと土屋康太さん、どうぞ前へ!!』
毎度毎度のことながら、この司会者、実にノリノリである。
何というか……見ているこっちがウザいと感じる程に。
「…………土屋康太。よろしく」
『さて、今回のダークホースにも指定されてました土屋さんですが……これまた美人に変化しましたねぇ……スカートの中とかはどうなってるんですか?』
……この司会者、変態だ。
男が履いているスカートの中を覗こうとするなんて、最低にもほどがあるだろう。
「…………やめてください」
『おお!恥じらいを含めたその物言い……なんとも私の知的好奇心を揺さぶります!!』
貴方のそれは知的好奇心なんかでは決してありません。
それは単なる変態としての心が覚醒しただけです。
『それでは質問の方へ参りたいと思います……ずばり、男に興味は?』
「…………ない」
ですよね~。
ムッツリーニが男好きになったら、むっつりスケベじゃなくなるもの。
女性の尻を追いかけてこそのムッツリーニだもんね。
男物の写真しか売らなくなるムッツリーニなんて……想像もしたくない。
『そうですか……もし興味があったのだとしたら、私が恋人になって差し上げようと思いましたのに……』
「…………全力で断る」
本当に、この司会者は何がしたいのだろうか。
さっきから変態発言しかしてない気がするんだけど……本当に、こんな人を野放しにしておいていいのだろうか。
『これは大変残念です……私、貴女に一目惚れしてしまったというのに』
「…………あいにく、そっちの気はない」
『貴女になくても、私にはあるのです!!』
いや、誰かこの司会者をどこかに追放しようよ。
このままだと、完璧にこの人人として道踏み外すと思う。
……そんなの、駄目だろうに。
『それでは気を取り直して次の質問です……貴女は今、エンジョイしていますか?』
何を?
それに……また呼び方が変わってるし。
「…………してる」
『ほうほう。趣味に没頭しているとかですか?』
「…………その通り」
『その趣味というのは……?』
「…………写真撮影」
うん、間違ってはいない。
確かにムッツリーニの趣味は写真撮影だ。
被写体は……別として。
『ほう、写真撮影ですか……どのような物を撮ってらっしゃるのでしょうか?』
趣味が写真撮影となれば、誰だってそういう質問を返すことになるだろう。
だけど……ムッツリーニにしてみれば、今相当のピンチな状態に陥っていることになる。
なにせここで、『実は盗撮やってます』なんて公表したら、観客の人に警察を呼ばれて、人生お先真っ暗になってしまう。
それだけはなんとしても避けなくてはならない事態だろう。
「…………主に美しいものを撮っている」
うまい、流石はムッツリーニだ。
確かにムッツリーニが撮る写真の被写体は、どれも美しいものばかりだ。
……性別的な意味で、だけど。
『ほうほう、美しいものを撮るのが趣味ですか……きっと心も清らかなんでしょうね』
それはちょっと答えかねるところだ。
必ずしも、ムッツリーニの心が清らかであるとはとても思えない。
純情……ではあると思うけど。
『さてさて、名残惜しいですが、時間の方と、観客達からの冷たい視線の同時攻撃が一気に私に押し寄せてくるので、そろそろ最後の質問に参りたいと思います』
観客達からの冷たい視線を浴びることになるのは……当然のことだと思う。
だって、男相手に惚れたとか言ってるんだもの。
吐き気がするくらいだ。
「…………どうぞ」
『ではお尋ねします……貴女は私と付き合ってくれませんか?』
「…………断る」
こうして司会者が最後まで最悪な質問をした後、ムッツリーニの出番は無事に終了したのだった。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。