第3章 文月学園美少女コンテスト
第十一問 美少女コンテスト~男子女装の部~ ②
『それではこれより、第一回文月学園美少女コンテスト、男子女装の部を始めたいと思います!……ところで、何で女装の部なんて出来たんですか?』
司会者の言葉により、コンテストは始まりを告げたわけだけど。
どうにも司会者も、何でこの男子の部が設立されたのか分からないらしい。
一体どんな経路があってこの女装の部なんかが出来あがったのだろうか……。
『それは……企画立案者の趣味です』
『趣味ですか!?……なるほど、その立案者はよほどのマニアとお見受けします。いやぁ、アンタは最高の天才だ!』
アンタは最低のバカだ。
『さてそれでは一番、一年A組……』
さて、僕達の出番が来るまでの秒読みに入った。
すなわち……早く離脱する為にはどうしたらいいかについて考えなければならない。
それにしても……文月学園の制服って、やっぱりスカートが短いな……。
何というか、足がスースーしてちょっぴり涼しいんだけど……。
「…………屈辱」
「うん、分かるよその気持ち」
カツラまでつけさせられて、少しの化粧も施されて、制服を着せられて……。
これじゃあまるで等身大のリカちゃん人形なんじゃないかと思わせる程のおめかしっぷりだ。
まったく、コンテスト実行委員会に選ばれた女子生徒と言ったら、好き勝手いろいろやってくれる。
鏡を見た時……男として何かを失った気がしたのも、そのせいだろう。
「けど、化粧とかは完璧だよね……あの子達、相当の化粧の実力は持ってるってこどだよね」
「…………それは認める。けど、今はそんなの発揮して欲しくない」
ムッツリーニの言うとおりだ。
化粧がうまいのは認めるけど、さすがにこの場においてその実力を発揮してもらいたくはなかった。
『……それでは続きまして、二年F組、吉井明久君、壇上へ!!』
つ、ついに僕の番が来てしまった……。
まずい、何の策も考えてないのに……。
「…………明久、頑張れ」
「うん、頑張るよ!」
ムッツリーニは右手を上げて僕にエールを出してくれた。
僕はムッツリーニのエールに答えるように、右手拳を固め、ムッツリーニのそれと軽く当てる。
そして僕は、舞台裏からついに出て、壇上へと向かったのだった。
『おお!これまた華麗に変身しましたねぇ~!まずはお名前をどうぞ!』
「よ、吉井明久です……」
さっきもろに僕の名前を言った気もするけど、形式的に名前を尋ねたのかな。
答えた後で、僕は辺りを見回す。
……人は女装の部というだけあってまだ少ない。
一般客なんてほとんどと言っていいほどいなくて、いるのは学園内の女子が数名と、男子が数名。
男子と女子の割合は同じくらいで……ある一団の中に、美波達を見つけることが出来た。
何でかは知らないけど、美波や姫路さん、亜美の顔は赤くなっているようにも見える。
「か、可愛い……」
「明久君、その可愛さは反則です……お持ち帰りしたくなっちゃいます」
「さすがは明久君だね。こんなにも可愛く変身できるなんて」
……うん、僕は何も聞いてないよ。
美波達が暴走したのではないかと思われる発言をしたけど、僕は何も聞いていないよ。
『ではまず一つ目の質問です……貴方は女子に生まれたいと思ったことはありますか?』
「あるわけないじゃないですか」
何なんだこの質問は……。
いきなりハードルが高すぎるでしょ。
『そうですか……それは残念です』
何が残念なのか、僕にはさっぱり分からない。
『それでは二つ目の質問です。貴女の特技を教えてください』
「特技といいますか、一応料理はすることは出来ます……というか、呼び方が若干変わってませんか?」
質問自体はえらくまともなくせに、司会者の言葉が引っかかる部分がある。
何だか、漢字変換をミスってしまったような、そんな感じだ。
『いえ、気のせいでしょう』
司会者は、何事もなかったかのようにそう言葉を返す。
……本当に何事もなかったと思いたい。
その後も数個質問された後に、最後にこんなことを聞かれた。
『それでは最後に……貴女は好きな人とかいますか?』
「「「!?」」」
な、何だろう……。
一気に美波達の目線が、こっちに向いたような気がする。
というか……観客席にいる男子達の目線が、何故この一瞬だけ僕に注がれているのだろう。
「え、えっと……そのぉ……今は、ちょっといないというか、なんというか……」
『はい、ありがとうございました!それでは次の方……』
「……って、もういいんですか?」
何だか発言の途中で区切られた気がするけど、これってもしかして、見限られたってことでOKなのかな?
それじゃあつまり……僕は落選決定!?
よっしゃ!
作戦は成功した!!
そんな感じで意気揚々と壇上から降りた僕が最初に見たのは、何だかとてつもなく寂しそうな表情を浮かべる美波達の姿だった。
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