第2章 長期休暇のお出かけ
第十問 ショッピングモール ④
「はぁ……疲れた」
「何だよ、そんなに疲れた顔して……アキちゃん」
「それだよ、それ!まさしく今の雄二の反応だよ!!」
さっきから僕の傷心を抉るような真似をする雄二。
それを楽しそうに見守る、工藤さん達。
……せめて笑ってないで、誰でもいいから僕のフォローをしてくれればいいのに。
「葉月もバカなお兄ちゃんの女装姿、見たかったです……」
「葉月ちゃん、その道に進むのはまだ早いから」
葉月ちゃん、君は一体どうしてしまったというんだ。
僕の女装姿をみたいなんて……まさか葉月ちゃんまで、それをネタに僕に何かをさせようとしているのかい!?
「…………後で一枚、特別にあげる」
「本当ですか!?ありがとです、エッチなお兄ちゃん!」
「…………これくらい、どうってことない」
ムッツリーニ。
照れ隠しにそう言ってるんだろうけど、顔を赤くしているところを見ると、隠しきれてないよ。
しかも、しきりに首を振っているのは……多分『エッチ』という部分を訂正したいからなんだよね。
分かるよ、その気持ちは。
「ところで、これからどうするの?坂本」
「そうだなぁ……ここらで昼食を食べるってのでどうだ?」
雄二がそう提案してきたので、僕は思わず時間を確かめる。
午後12時24分。
うん、昼食を食べるのにはちょうどいいくらいの時間だ。
「それじゃあ昼食でも食べに行こっか……」
「だね。確かフードコートは二階にあったと思うよ」
僕達は昼食をとる為に二階へと向かう。
途中で変な人に目をつけられた気がしたけど……この際気にしないことにした。
「さて、どんな食事が食べられるのかのぅ」
「本当だよね。ここにはどんな食事があるのか分からないからね……お金ないからあまり贅沢は出来ないけど」
先週の連休で、僕の財布の中身はほとんど空っぽだ。
だから今月はこれ以上の出費を重ねることは出来ない。
つまり、僕はここに来たとしてもあまり高いものは食べることが出来ないのだ。
せいぜい300円が限度だろう。
「明久君って、日頃本当にどんな生活をしてるの?」
亜美が僕にそう尋ねてくる。
……何だろう、今僕の私生活を言うのがものすごく辛い気がする。
「……雄二、これ買ってみた」
「ん?さっき何か買ったのか……って、これは何だよ」
「……私と雄二の……ポッ」
「……没収な、これは」
「な、何で?」
「何でもだ。俺の命の保身でもある」
何だろう。
さっきから雄二と霧島さんが、凄く気になる会話を繰り広げている気がするんだけど。
霧島さんは一体何を買ったのだろうか。
それも含めて、雄二がどうしてそれを取り上げたのかが気になる。
「あ、そう言えば葉月ちゃん、葉月ちゃんは来週の日曜日に文月学園で美少女コンテストをやるって話、聞いてる?」
「美少女コンテスト、ですか?……そんな話は一度も聞いたことないです」
「ちょ、ちょっと!?」
あ、葉月ちゃんに工藤さんが美少女コンテストのことを話してる。
しかも、美波はそのことで動揺してるようだ……ということは、内緒にしておきたかったということか。
「その美少女コンテストにね、お姉ちゃんも明久君も参加するみたいだよ?」
「本当ですか!?絶対見に行きますからね!」
「で、出来れば見に来てほしくないんだけどなぁ……」
葉月ちゃんの前で、思い切り恥をかきたくない。
それは美波も同じらしく、だから葉月ちゃんに言わなかったのか。
「もちろん、ムッツリーニ君も出るんだよね?」
「!!……(ブンブン)」
思い切り否定してるけど、多分この状態の工藤さんはムッツリーニでも勝てないと思う。
「いいのかなぁ?そんなこと言って……ほらっ(チラッ)」
「!!……(ブシャアアアアアアアアアアアアア!)」
……いくら何でも、それは卑怯だと思うよ、工藤さん。
スカートのチラッと見せるのは、ムッツリーニには破壊力抜群だから。
それに……周りの男子も被害に遭ってるし。
「あ、アハハ……」
「愉快な仲間だね」
「まぁ……ね」
亜美の言葉に、僕は同意せざる負えなかった。
ちなみに、その後食べた昼食は、意外にも普通においしかった。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。