第2章 長期休暇のお出かけ
第十問 ショッピングモール ③
「「「……///」」」
「……え?何?三人共、どうしたの?」
何でだろう。
三人が僕の顔を呆然と眺めたまま、動こうとしない。
しかも顔を赤くして、僕から目を逸らす。
……え?
怒られる程似合わないって言うの?
「ぼ、僕がこんな服を着たって似合わないに決まってるじゃないか!」
「え、えっと……その……」
「なんというか、アキ……似合ってるわよ」
「うん……可愛いと思うよ」
三人がそれぞれ僕に対して感想を述べる。
……なんだろう、素直に喜んでいいものなのだろうか。
「土屋!カメラの準備を!」
「…………了解した」
え?
とりあえず、ムッツリーニは工藤さんと一緒に行動しているはずだから、ここにはいないはずではないのか。
なら、この声はムッツリーニのものではないはずなのだ。
なのに……。
パシャパシャパシャ!
「……なんでムッツリーニがここにいるのさ!?」
「…………俺の聴覚を侮るな」
……なんだろう。
格好いいセリフのはずなのに、行動と発言が重なりあってない。
「こんなことに、自慢の聴覚を使わないでよムッツリーニ……それに美波!僕の女装写真なんか撮らせて何に使うつもりなのさ!」
美波……君はひょっとして脅迫用にその写真を撮らせているんじゃないだろうか?
もしそうなんだとしたら……美波はかなり鬼だ。
「あ、土屋君……私にも写真を下さいね」
「あ、土屋君!私もいいかな?」
「ちょっと待って二人共!何で二人まで僕の写真を確保しようとしてるのさ!僕をそんなに地獄に突き落としたいの!?」
……鬼だ。
この三人はかなり鬼だ。
僕の弱みを握って、それをネタにして何かをやらせようとするなんて……僕のことがそんなに嫌いなのか!?
……いや、少なくとも亜美はそうではないはずだ。
何せ亜美は今まで僕のことを『好き』だって言ってくれていたのだ。
そんな人が、いきなり僕のことを嫌いだって言うわけがない。
……今はそうなのか分からないけど。
「…………明久は鈍感。もう少し周りに気を配った方がいい」
「……ムッツリーニ?それってどういうこと?」
「…………自分で考えろ」
いきなりムッツリーニが僕にそう言ってきた。
……鈍感というのは、どういう意味なのだろうか?
僕はそこまで鈍感じゃないような気がするんだけどなぁ……。
それに、僕はこれでも周りには気を配ってる方だと思う。
自分で言うのも難だけど。
「……ねぇ明久君。上目遣いのポーズもやってみてよ」
「な、何を言ってるの……亜美?」
「いやぁ……明久君が可愛いが可愛いから、つい……」
どうしよう。
亜美まである意味危険な状況に陥ってるんだけど。
「あ、あのね亜美……それはちょっと、恥ずかしいから、その……」
パシャパシャパシャ!
「……ムッツリーニ。どうしてさ?」
「…………手が反応した。ついカメラを構えていた」
……君に一体何が起きたと言うんだい?
君はお金の為なら友人すらも売ってしまうような人だったのかい?
「…………しばらくはこの写真、生きていると思う」
「いや、すぐに処分してよ!このままじゃ僕が本物の女装マニアとして認定されちゃうよ!」
「おう、明久。こんな所にいた……のか……」
その時。
僕達を探していたらしい雄二が、本当に偶然に僕の姿を発見した。
……というか、この状況はかなりヤバい。
このままだと、誤解されてしまう。
「いや……違うよ、雄二。これは……」
「……分かってる。分かってるとも明久。お前はとうとう、目覚めてしまったんだよな?」
「誤解だよぉおおおおおおおおおおお!」
結局、誤解を解くのにかなりの時間がかかったのだった。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。