第2章 長期休暇のお出かけ
第十問 ショッピングモール ②
なんとか三人の脅威から解放させてもらえた僕は、みんなと一緒に、ショッピングモールの中に入ることが出来た。
それにしても、よく僕は生きてるよな……自分の生命力にはつくづく驚かされる一方だ。
「ねぇアキ、この洋服なんてどうかしら?」
「明久君、こっちのワンピースなんかどうでしょう?」
色々あって、僕は今、美波と姫路さんと、そして亜美の計四人で行動している。
他の人達は他の人達で見たいお店があるとかで、とりあえず時間だけを設定して、後でその場所に集合するということにしたのだ。
「この服は……どうだと思う?」
「う~ん……可愛い服だとは思うけど、亜美らしくはないかな」
亜美が見せてきたのは、黒いシャツだった。
確かにデザインは可愛いとは思うけど、ちょっと亜美の雰囲気とは離れている気がする。
亜美はどっちかというと、純白なイメージがあるからなぁ……小悪魔とはちょっと遠い感じがするんだよねぇ。
「そう?ならこっちの白いシャツはどうかな?」
「うん、まさしく亜美にぴったりだと思うよ。可愛いしね」
「そ、そうかな?それなら……この服にしようかな」
亜美達がこの洋服屋に来ているのには、ちょっとした理由がある。
それは、今度の日曜日に行われる文月学園美少女コンテストと関係があるのだ。
第二審査辺りで、自らの私服を着て前に出るという種目があり、その為に姫路さん達は服を買いにこの店に来ている……というわけ。
それで僕は、三人に指名されて、服を選ぶ係となったわけだ。
もっとも、無言の圧力があったことは……ここでは敢えて伏せておこう。
「さて、そろそろアキの服も選んであげないとね……」
何故か美波が、僕のほうを見ながらニヤニヤと笑顔を見せてくる。
……何でだろう。
普通の男ならノックアウトになるだろう笑顔も、今の僕にはこれから訪れる死刑宣告を迫られたような感じになってしまうのは。
「な、何のことかな美波?僕は別に服なんか買わなくても……」
「大丈夫ですよ?明久君……明久君に似合う服が、きっとこの洋服屋にありますから」
「ここ婦人服売り場だよね!?僕は男だから、ここの服は着ないよ!」
「けど、明久君も出るんだよね?美少女コンテストの女装の部」
「う……それはそうだけど……って、審査内容はうちの制服を着るだけだから、ここの服を買う必要はないよ!」
大体、服を買ったところでどうすればいいんだ。
家に持って帰れば、姉さんにその服を見つかって、いよいよ目覚めたのではないかと疑われること間違いなしだ。
それだけは、何とか避けないといけない。
僕が変な趣味を持った変態だなんて変な誤解を招くのだけは……どうにか避けたい。
「それじゃあ……着てみるだけいいんじゃないかな?」
「き、着てみるだけっていうのも、なかなかに危ない気が……」
「着て、くれますよね?」
「……はい」
どうやら僕には、反論することすら許してもらえないらしい。
結局、僕は亜美と美波が持ってきた服を試着室で着る羽目になったのだった。
「……ハァ。どうして僕は、いつもこんな感じで言いくるめられることが多いんだろう」
試着室の中で、僕は一人呟いてみる。
いつもそうだけど、どうも僕はあの三人に勝てる気がしない。
どうすればいいのかは……僕が分かることではない。
「とりあえず……これは着替えなければならないわけか」
手にしているのは、白いフリフリのついたミニスカートに、何やら可愛らしいロゴが入ったシャツ、そして何故かリボンまでご丁寧に備え付けられてあった。
……これを僕に着ろと?
「……正直、勘弁してもらいたいんだけどなぁ」
けど、拒否すれば何をされるか分かったものじゃない。
仕方ないけど、僕は用意された服を着て、なるべく早めに恥を終わらすことにした。
程なくして、僕の着替えは終わる。
鏡で見てみたけど……正直、似合っているとはあまり思わない。
それにしても、このスカートは短すぎる……下着が見えてしまいそうだ。
「もう開けてもいいかな?」
亜美からの言葉が耳に入る。
本当なら開けて欲しくないところだけど、仕方ない。
「……いいよ」
覚悟を決めて、僕はそう返事を返した。
「じゃあ……開けますね?」
姫路さんが確認をとるように尋ねると、僕の返事も待たず、試着室のカーテンを捲ってきた。
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