第2章 長期休暇のお出かけ
第九問 昼休み逃走記 ③
「ハァハァ……死ぬかと思った」
どうにか生き延びられたらしい。
僕は今、屋上に来ている。
さすがにここには誰もいないけど……さっきみたくいきなり誰かがやってくるなんてことは、ここでは起きないと思うけど。
「……ふぅ」
とりあえず、一旦休憩にしよう。
時間はまだまだある……つまり、僕はまだ逃げ続けないといけないみたいだ。
その為にも、今はここで体力を回復しなければならない。
だから……今は休もう。
けど、見つかったらこの場所は逃げ場がなくて困る。
移動した方がいいかもしれないな……。
「……ん?」
ふと、何かのチラシが落ちているのが見えた。
何のチラシだろう……少し気になるな。
「どれどれ……」
落ちているチラシを、僕は拾い上げる。
そして、それを読んでみる。
「第一回文月学園美少女コンテスト?」
いつの間にかこんな行事が開かれることになっていたのか。
日にちは……二週間後の日曜日か。
「僕達がショッピングモールに行った次の週か……」
面白そうな行事だけど、美少女コンテストということは僕達の出る幕はない。
姫路さんとか美波、霧島さんに亜美……そして秀吉とかが出るべき行事だろう。
けど、こんな行事をやるなんてこと、先生も言ってたかな……。
「……そっか、その時僕は、居眠りしてたんだっけ」
忘れてた。
確か眠気に耐えきれずにノックダウンしていたんだっけか。
だからこの行事について知らなかったのか。
多分この紙は僕ももらってると思うけど……紙飛行機にでもして何処かに飛ばしたのだろう。
「けど、どんな行事なんだろうな……」
文月学園だし、普通の美少女コンテストをやるわけがないだろう。
多分召喚獣とかも関連してくるんだろうなぁ……美しい女性は強くて、頭がよくなければならない、なんて理事長の意向で。
「にしても……よくこんな行事をやる気になったなぁ」
何か裏でもあるのだろうか。
……けど、それなら全校生徒が参加出来るような奴にした方が楽だと思うけどなぁ。
例えば前のオリエンテーリング大会とか。
「あれは今思えば結構楽しかったよなぁ……」
納涼祭もよかったけど、純粋に楽しめたという点ではオリエンテーリングの方かもしれない。
納涼祭は妨害とかが酷くてそれどころじゃなかったし。
「……でも、面白そうだなぁ。見てる分には」
今回男子である僕達は見学しているのみ。
つまりは、ゆっくりと美少女コンテストを見ることが出来るということだ。
「…………それ、美少女コンテストのチラシ」
「うわぁ!……ってムッツリーニか……驚かさないでよ」
背後からいきなり声をかけられたものだから、かなり驚いた。
けど、相手がムッツリーニでよかった……。
「ところでムッツリーニ。このチラシに見覚えある?」
「…………前に先生から聞いた」
やっぱりそうだったのか……居眠りしてて損したなぁ。
「けど、無料でうちの学校の美少女達が見れるなんて……こんな美味しい話はないよね」
「…………確かに。けど、注意するべき点がある」
「うん?何?」
美少女コンテストなんだから、僕達男子は何の関係もないはずだ。
だから僕達が気を付けることなんて、ないはず……。
「…………このコンテスト、男子の部もある」
「なぬっ!?それって一体……?!」
ムッツリーニに言われて、僕はよ~くチラシを確認する。
えっと、紙に書かれているのは……『高校一年の部』『高校二年の部』『高校三年の部』そして……『男子女装の部』。
「な……なんだよこれ!?」
「…………諦めろ、明久」
「なんでいきなりそんなこと言われなくちゃならないのさ!」
まさか本当に女装の部があるとは思ってなかったけど……なんで僕がそんなこと言われなくてはならないのさ!
「…………それに、忘れてることがある」
「ん?何を?」
まだ他に、僕が忘れてることなんて……、
「…………今、明久は追われているということを」
あった。
「……んじゃ、そういうことで!」
爽やかにムッツリーニに挨拶を残して、僕は屋上から立ち去る。
だけどやっぱり、ムッツリーニは僕のことを追いかけて来たのだった。
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