第2章 長期休暇のお出かけ
第九問 昼休み逃走記 ①
第九問 【日本史】
以下の問いに答えなさい。
「江戸幕府八代将軍徳川吉宗が、法に基づく合理的な政治を進める為に整備した書物の名を答えなさい」
姫路瑞希の答え
「公事方御定書」
教師のコメント
正解です。吉宗は他にも上げ米の制や相対済まし令を出すなどの政策をとっています。また、彼の行った改革のことを享保の改革とも呼びます。
木下秀吉の答え
「六法全書」
教師のコメント
吉宗は何歳なんですか。
吉井明久の答え
「ルールブック」
教師のコメント
それは反則でしょう。
連休も終わり、ついに僕達は普通に学校に通うこととなった。
ただ、教室の中で話題になっていたのは……この前のテレビのことだった。
「吉井。この前のテレビの生放送……あれはどういうことだ?」
「へ?どういうことって言われても……」
教室に来るなり、僕はいきなり須川君達に囲まれた。
……もしや、亜美と一緒にテレビ番組に出たことが異端審問会の規則を破ったことになったのだろうか?
「貴様……テレビ番組に一緒に出ただけじゃ飽き足らず、その後MARNOちゃんとデートするなんて……」
「なんて羨ましい……いや、けしからん!!」
……今、本音がダダ漏れだったよ。
「それに、MARNOちゃんだけじゃ物足りず、この連休は我がFクラスを代表する女子である島田美波と姫路瑞希ともデートをしていたとの報告が!」
「何!?それは本当か!!」
「ハッ!確かなことであります!!」
「よし、ただちに吉井明久処刑計画を立てる。各人準備につけ!!」
……やばい。
このままだと僕、死の運命を辿ることになる。
急速に命の危険が……こういう時、僕ならどうする?
『戦う 逃げる 手持ち 道具』
「何かコマンドがポケモン形式になってるんですけど!?」
「錯乱している今だ!行けぇ者共!!裏切り者をとっ捕まえろ!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」
まずい……このままだといつぞやみたいに張り付けの刑……もしくは火あぶりの刑……もしくは紐なしバンジージャンプの刑に処されてしまう。
何としてもここは生き延びなければ……ていうか、僕が女の子と一緒にいるのがそんなに駄目なのか。
「てか、そんな場合じゃなかった……うわっと!」
Fクラスのみんなが、縄を持ってこっちにやってくる。
……よし、ここは身代わり作戦といこう!
「みんな!昨日映画館で霧島さんと雄二がデートしてたよ!!」
「「「「何ぃ!?」」」」
「お、おい明久!翔子はお前が呼んで……」
「「「「裏切り者には死を!!」」」」
「ち、畜生ううううううううううう!!」
よし、みんなの目線が雄二に行っている間に、僕はさっさとこの教室から退散することにしよう。
制限時間は午後の授業が始まるまで。
それまでに僕が逃げ伸びることが出来れば、僕の勝ちだ。
この際……雄二は放っておいても構わないだろう。
「野郎……明久!!お前は島田にパフェを食べさせてもらってたじゃねえか!しかも間接キスで!!」
「なっ……雄二、どうしてそれを!?……って、しまった!!」
「「「「何だと……吉井!!」」」」
くそっ!
雄二の奴め……なかなかやるな。
こうなった以上、奥の手を使うしかない。
僕の所に群がってくるFクラスのみんなを撒くには、雄二の方に注目をいかせるしかない。
「そういえばこの前、霧島さんと一緒に遊園地でデートしたよね!しかもウエディング体験までさせてもらっちゃって」
「お前それはいつの話だと思って……」
「何ぃ!?ウエディング体験までしただと!?」
「そのまま本番も済ませたとか!?」
「許せん……許せんぞ、坂本雄二!!」
「どうしてお前らの思考回路は、体験=本番まで繋がるんだよ!!」
よし、これで雄二の方に集中した。
後は全速力で……ダッシュ!!
「吉井が逃げたぞ!!ムッツリーニ、頼む!!」
「…………了解した。裏切り者には、死を」
「くっそぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
運悪く僕の方にはムッツリーニがやってきてしまった。
ムッツリーニが相手だと、さすがに僕も武が悪い。
……とりあえず教室から脱出することが出来たけど、その間際に姫路さんと美波の顔を見てみたら、美波は顔を赤くしていて、姫路さんは怖い程の笑顔で僕を見返してきた。
……敵はもう一人現れたようだ。
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