第1章 アイドルとの出会い
第一問 転入生はアイドル!? ④
「いいか、明久。転入生が来たのは、どこのクラスだ?」
「どこって……間違いなくここ、Aクラスだよね?」
「それで、翔子は今、どこのクラスに転入生は向かったって言った?」
「Fクラス……だね」
「おかしいと思わないのか?」
「え?何が?」
何処かおかしいところでもあっただろうか?
別にFクラスに行くくらい、普通に……普通に……。
「……あれ?」
「ようやく気付いたのか、明久」
「さすがはアキ。ここまで気づかないとは……」
うん、遠まわしにバカにしてるよね、これ。
みんなして……僕のことを。
「それじゃあ、また入れ違いにならないように、今度はFクラスに行こうよ」
「だな……何だか人だかりもそっちに出来てるみたいだし」
何故Fクラスに来ているのかは知らないけど、とりあえず僕達は方向を変え、自分達の教室であるFクラスに戻る。
その前に、
「……雄二。お昼、一緒に食べよう」
「何だ、まだ食べてなかったのか。俺はさっき、明久達と食べてきたばっかりなんだ。すまないな」
「……お弁当、作ってきてる。だから、一緒に食べよう?」
「いや、だから俺はもう腹いっぱいで……」
「食べよう?」
「……はい」
あ、とうとう折れた。
雄二の心をここまで折らせるなんて、さすがは霧島さん……恐るべし。
「それじゃあ坂本はAクラスに置いてくとして」
「まて、島田。俺も連れてってくれ。コイツと二人きりというのは、何だか居ずらいんだ」
「雄二……お昼ご飯」
「……分かった、食べるから。その左手に持っているスタンガンのスイッチを入れないでくれ」
いつの間にか霧島さんの右手には、スタンガンが握られていた。
……うん、危険だね、霧島さん。
「それでは坂本君。また後で迎えに来ますから」
「行かなくていいでしょ。どうせ時間になったら戻ってくるんだし」
というか姫路さん。
迎えに行くという表現は……正直どうかと思うけど。
「…………早く行こう」
「ムッツリーニの言うとおりじゃな。早くしないと、昼休みが終わってしまう」
「だね。それじゃあ、行ってみよう」
雄二と霧島さんをAクラスに置いていき、僕達は引き続いてアイドルのMARNOに会いに、Fクラスに戻る。
……にしても。
「凄い人だかりですね……中に入れなさそうです」
「本当ね……」
Fクラスに続く人の塊を見て、姫路さんと美波はそう呟いていた。
……この人だかりを見たら、あのセリフを言うしかない!
「見ろ!人がごみのようだ!!」
「……どうしたのじゃ明久?悩み事があるなら、相談に乗るが?」
「そうじゃないでしょ、秀吉!心配してくれるのは嬉しいけど、その心配が逆に心に響くよ!!」
通じなかった!
まさか秀吉がこのネタに突っ込んでくれないとは……恐るべし、ムスカ!
「うん、この際言うけど、アキ、結構痛いわよ?」
「くっ!目が!目がああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「だ、大丈夫ですか!?明久君!?」
ああ、まただ!
今度は姫路さんが心配して僕の顔に手を当ててきた!
……って、この体勢はかなりやばくない!?
「……アキ。最初からそれが狙いだったの?」
「え、ええ?」
そんな僕達の姿を見て、美波が凄い形相でこっちを睨んできていた。
……すごく怒ってる、けど、何で?
僕はただ、ボケていただけなのに、どうしてここまで言われなくてはならないんだ?
ていうか今日の僕、かなり扱いひどくない?
「ち、違うよ美波!これは偶然で……」
「偶然で、瑞希が手をアキの顔に当てるなんてことはないわよねぇ?」
「ま、待って、美波!」
くっ……このままだと、僕は四の地固め(廊下で公開処刑バージョン)を喰らってしまう!
それだけは避けないと……僕の名誉にも関わる問題だから!!
「み、美波……」
「何よ?遺言があるというの?」
「え?何?僕……死ぬの?」
「運が悪ければね」
今回はそっちバージョンでしたか!
もしや、首の骨を折るとか、そういうパターンですか!?
や、ヤバい……美波の目がマジだ。
このままだと、本当に僕は殺される!!
「お……」
「お?」
「女の子は胸がなくてもいきが出来ない程に首が締まってるぅうううううううううううううう!!」
「余計なお世話よ!アキに胸のことをどうこう言われる筋合いはない!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
……何でこういう時にこんなセリフが出るんだよ。
どうなってるんだ、僕の判断力。
と、本日二回目の三途の川を眺めていると、
チリン。
「……あ」
「そろそろ解放してやったらどうじゃ?このままじゃ本当に明久が死んでしまうぞ?」
「……そうね。今日はこのくらいで勘弁したげる」
そう言って、美波が僕の首を解放してくれた。
……今、また鈴の音が聞こえたような気がしたんだけど。
「どうかしましたか?明久君」
「……うん、鈴の音が、聞こえたんだ」
「鈴?」
「…………そう言えば、転入生も鈴の髪飾りをつけてた」
なるほど……転入生も鈴の髪飾りをつけているのか。
つまり、さっき教室を出る前に聞こえたのも、その鈴が鳴ったからか……。
「ということは、近くに転入生……が?」
「……」
僕の言葉が最後まで言い終える前に、僕達の目の前に、女の子が歩み寄ってきた。
……黒くて、後ろの方がお団子みたいになっている髪型。
背は、僕と同じか少し小さいくらい。
……お団子みたいになっている所には、鈴の形をした髪飾りがあった。
……多分あの鈴から音を発しているんだと、僕は思った。
そして次の瞬間、そんな女の子から、こんな驚きの言葉が出てきたのだった。
「……明久君、だよね?」
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