第1章 アイドルとの出会い
第一問 転入生はアイドル!? ③
「ふ、ふぅ……」
「大丈夫か?明久」
「う、うん、何とか生きてる……と思う」
結局僕は、姫路さんの料理型兵器をすべて食べつくしたのであった。
……胃がイカれてると思う。
と言うか、食べる度に体が震えていたような気がするけど……気のせいだよね。
一瞬意識が飛んだのも、気のせいだよね♪
「ど、どうしたのよアキ?凄い顔してるわよ?」
「え?そう?……ああ、これが三途の川って奴か」
「あ、明久!?それを渡っては駄目じゃ!その川を渡ると、お主は死んでしまうぞ!」
ああ……天使の姿をした秀吉が、僕のことを引きとめてくれてるような気がするよ。
秀吉のその姿を見れるだけで、僕は幸せだ……。
「バカは放っておいて、さっさとMARNO見に行くぞ~」
「え?ちょ……ひどいよ雄二!」
「あ、戻ってきた」
さすがに放っておかれたら、僕だって気づくって!
いくら僕でも、そこまではバカじゃないから!
「いや、バカだな」
「バカね」
「バカだのう」
「…………バカ」
「みんな……ひどくない?」
しかも、僕は今心の中で呟いた気がするんだけど。
何で僕の心の声が聞こえてるんだ!?
「……お前の言いたいことなんて大体分かるっての」
「……あれ、また?」
「だ、大丈夫ですよ明久君!明久君にもいいところは沢山ありますから」
「……ありがとう、姫路さん」
手を握って、姫路さんは僕にそう言ってくれた。
ああ……なんて嬉しい一言なんだろう。
それに、この笑顔さえあれば、僕はもうどうでもよくなりそうだ……さっきの弁当がなければ、尚この笑顔が素敵なものに感じるはずなのに。
「それにしても、あのMARNOがウチの学校に来るなんて……一体どんな事情があるのかしら?」
「フム……それについてはワシも気になるところじゃ。今では日本を代表するアイドルである彼女が、どうしてこの文月学園に来たのか」
「学費が安いから……というわけでもないよな。アイドルなんだから、一応報酬は貰えているわけだし」
「…………この学校に来たのは、勉強の為だと思う」
「勉強の為、か……」
やはりアイドルも勉強する必要があるんだな。
歌が旨かったり、可愛かったりするだけじゃ駄目なのかもしれない……あれ?
なんだか、姫路さんにぴったりじゃないか?
「あ、明久君……そんなに顔をジロジロと見られると、その……照れてしまいます」
「……あ、ゴメンゴメン」
顔を赤くして、姫路さんがそう言ってきた。
慌てて目線を外すと、そこには般若がいた。
「……美波?どうしてそんな表情を浮かべているの?」
「……なんでもないわよ、バカ」
あ、またバカって言われた。
本当に僕って、一体何なのだろう……?
「と、話をしている内にAクラスに来たが、何だかもう周りに人がいないんだが」
「……だね」
さっきまでいた人だかりが、今ではもう散らばっていた。
と言うより、すでに空っぽになってるような気がする。
「あれ、雄二?」
「あ、霧島さん」
その時。
ちょうど教室から出てきた霧島さんに会った。
あからさまに、雄二が嫌そうな顔をしてる。
霧島さん、こんなに美人なのに、どうして雄二は嫌がるのだろうか?
そりゃあ時々ヤバそうな感じもしなくもないけど。
「なぁ翔子、転入生はここにいないのか?」
「……雄二も、興味あるの?」
「まぁ……アイドルの転入生だしな。少しは興味あるな」
「……」
雄二も男だしね。
さすがにそういうことにも興味あるだろうな……と思ったその時だった。
何だか、霧島さんの様子がおかしい……。
「雄二……浮気は、許さない」
「ちょっと待て。これは浮気でもなんでもないからな」
あ、霧島さんのスイッチが入ってしまったようだ。
このままだと……雄二は多分生きて帰ってこれないだろうな。
「……あの、今度の日曜日に雄二を好きなようにしていいから、良かったら転入生の子がどこに行ったのか教えてくれないかな?」
「分かった。吉井君、優しい人」
「おい明久!なんで俺を交換条件として差し出すんだよ!」
雄二に恨みがあるとかそういうものではなくて、これも霧島さんの為だ!
決していつもの恨みを晴らそうとかそういうことを考えているわけではない、絶対に!
「……その人なら、教室を出て行って、さっきFクラスに行った」
「あっちゃ~入れ違いか……」
「……ん?どこかおかしくないですか?」
「何が?姫路さん」
姫路さんは、何かがおかしいと言った。
別に入れ違いなんておかしいことでもなんでもないのに、どこが変だと言うのだろうか?
「さすがは明久……この程度のことも理解出来ないとは」
「…………まさしく、バカの結晶」
「あのさ、僕のことをバカって言うの、そろそろやめない?」
今日だけで僕は何回バカって言われたのだろうか?
数えてたわけじゃないけど、もうそろそろ嫌になってきた……。
「何よ、バカにバカって言って、何が悪いの?」
「……すみません。もう何もいいません」
当たり前みたいな表情をされては、もはや僕は何も言い返すことが出来なかった。
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