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第2章 長期休暇のお出かけ
第六問 二人きりのお出かけ ④
喫茶店を出た後も、僕達はしばらくの間会話をすることが出来なかった。
僕達の顔は、未だに赤いままだった。

「えっと、その……」
「な、何よ……」
「次は……何処に行く?」

あの後僕は、やはり財布の中から二人程英世が消える羽目になった。
今日の為にいれてきたお金が、早くも半分消え去ってしまった。
しまったなぁ……こんなことならもう少しだけ美波のパフェをもらっておくんだったなぁ。
……間接キスになっちゃうけど、それって仕方ないよね。
それよりも凄いことを僕達はしたことあるくらいだし……って、何を言ってるんだ僕は!
これじゃあまるで僕達が変態みたいじゃないか!

「……どうしたのアキ?いきなり自分の頬を叩いたりして」
「い、いや、なんでもないよ、美波……」

まさかさっきのことを思い出していたなんて言えるわけがない。
恥ずかしくて……僕の精神がどうにかなっちゃいそうだから。

「それで美波、次は何処に行くの?」

活を入れたお蔭で、僕は美波に普通に尋ねることが出来た。
美波が答える。

「そうね。次は……あのお店に行ってみようかな?」
「洋服屋か……お金足りるかなぁ」
「大丈夫よ。さすがに洋服は自分のお金で買うから」
「そ、そう?」

どうやらそこまでSでもなかったらしい。
よかった……洋服まで買わされると、僕の財政がとんでもないことになってたからな。

「とりあえず……その前にあの公園で休憩しない?さっきはなんだかんだで休憩出来なかったようなものだし」

歩きながら、僕は公園の方を指差す。
その公園はとてもシンプルな造りとなっていて、ブランコとか滑り台の他には、自動販売機一つと二人用ベンチが二つほど設置されているだけだった。
広さも、まあまあといったところだろうか?
人気もないし、とりあえず休憩するにはちょうどいいところではないだろうか?

「いいけど……それじゃあ何かジュースでも奢ってもらおうかな。なんだか喉が渇いちゃって」
「お安い御用だよ。なんでもいいよね?」
「冷たいのでお願いね」
「分かった」

美波にそう確認をとると、僕は自動販売機の方へと歩く。
ちょっとベンチより遠い位置にあるけど、別に問題があるわけじゃないしね。

「えっと……オレンジジュースでいいかな?」

甘い物を食べた後だし、コーヒーとかの方がいいかなとも考えたけど、冷たい飲み物というリクエストもあったわけだし、オレンジジュースにしよう。
僕はお金を入れて、オレンジジュースを一本購入する。
僕の分は……我慢しよう。
お金を少しでも使わないようにしないと。

『何よアンタ達?』
「……ん?」

美波の声が聞こえてくる。
なんだろう……誰かが美波のそばにいるのかな?

『いやぁ、なかなか可愛い女の子がベンチに一人で座ってるわけだし、声をかけないわけにはいかないっしょ』
『僕ちんもう我慢できへん……ハァハァ』
『……ウチ、連れがいるから、アンタ達とは一緒に行けないわよ』
『連れぇ?どこにもいないじゃないか』
『そんなことより、僕ちん達といいことしようよ……ハァハァ』

……偉く対称的な二人が、美波の周りに立っていた。
一人は僕と同じくらいの身長の男。
もう一人が……物凄く息が荒くて、太っている男だった。
美波の困惑している表情が目に写る。
……このまま放っておくことなんて、出来るわけがない。

『そんなわけで、これからいいことしに行こうぜ?』
『チョッ……痛い!』
「!!」

男が美波の腕を掴んだ時。
不思議と僕の体は、勝手に動き出していた。
そして、

「美波の腕を掴んでるんじゃねえ!!」

ゴキン!

あまり感じたくはない感触を、足で感じる。
コイツら……美波の腕を力任せに掴みやがって。
……許せない!

「な、なんだよお前は!?僕ちん達の邪魔をする気か?」
「邪魔なのはお前らの方だ!美波の腕をそんなに力強く引っ張りやがって……覚悟は出来てるんだろうな!?」
「「し……失礼しました!!」」

男達はそのまま、逃げるように去っていった。
そしてこの場には、美波と僕の二人だけが残った。

「あ、ありがとう……」
「……うん」

やっと僕が返せた言葉は、その一言だけだった。













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