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第1章 アイドルとの出会い
第五問 その男、かなり危険 ④
「みんなでお昼を食べるのって、何だかいいよねぇ」
「そうですね。外も晴れてますし、気分がいいです」

亜美の言葉に、姫路さんが頷く。
屋上に来る途中で、僕達は亜美と霧島さんの二人に会い、二人とも一緒に弁当を食べていた。
それにしても……亜美の弁当、美味しそうだなぁ。

「ところで明久君。明久君って料理とか出来るの?」
「え?うん、出来るよ」
「それじゃあ、お弁当も明久君が?」
「そうだね……それがどうしたの?亜美」
「あ、ううん!何でもないの、何でも!」
「……?」

亜美が不思議と動揺するような素振りを見せる。
僕が料理出来ることがそんなにも驚くことなのだろうか……?

「亜美……気をつけた方がいいわよ。アキの料理を食べたら……自信なくすわよ」
「そんなに料理がうまいの?……一度食べてみたいなぁ、明久君の料理」
「なら、今度家に来て食べてみる?」
「「!!」」

僕が亜美にそう提案すると、何故か姫路さんと美波の二人の顔が一気に驚愕の色に染まる。
……どこか僕はおかしなことを言ったかな?

「この無自覚男が」
「…………さすがとしか言いようがない」
「……雄二?ムッツリーニ?」

この二人は何かを理解したようだけど……僕にはさっぱりだ。
一体僕の言葉のどこがいけなかったというのだろうか?

「……雄二、これ、食べて」
「……玉子焼きか。確かにうまそうだな……うまそうなんだけどな、元々玉子焼きは緑色はしてないぞ?」
「……じゃあ、この唐揚げを」
「……唐揚げは普通みたいだな。どれ……うん、うまい」

雄二と霧島さんも、二人で仲良くご飯を食べているようだ。
途中で聞こえてきた、緑色の玉子焼きが少し気になったけど……深く突っ込まないことにしよう。

「ところで姫路さん。今日は弁当じゃなくてパンなんだね?」
「実は今朝は少し寝坊してしまいまして……お弁当を作ってくる暇がなかったんです」
「「「「(……ほっ)」」」」

僕らは一斉に胸をなでおろした……気がする。
少なくとも、僕と雄二は間違いなくホッとため息をついていた。

「その玉子焼きと私のウインナー、交換しない?」
「別にいいよ……はい」

箸で玉子焼きを掴んで、亜美の弁当箱の中に入れようとするけど……受け取ろうとしない。
亜美からは、タコ型のウインナーを受け取ろうとした……んだけど。

「あの……ウインナーは?」

何だか一向に渡してくれる気配が見受けられない。
亜美は自分の箸で間違いなくウインナーを掴んでいる。
なのに、渡してくれる様子は少しも見受けられないでいた。

「明久君、口を開けて?」
「こう?……むぐっ!」
「「!!」」

亜美は、掴んでいたウインナーを僕の口の中に直接放り込む。
こ、これって所謂……。

「う、羨ましいです……」
「というか亜美!それは卑怯者よ!」

姫路さんがどこか羨ましそうに眺めて、美波がどこか怒っている様子だった。
何でだろう……僕には二人がそんな反応をとる理由を理解することが出来ない。

「今度は明久君の番だよ?明久君の玉子焼きを食べたいな」
「……えっと」

亜美が口を開けて待っている。
……これって、さっき亜美がやったことを、僕もやらなくてはいけないということなのか?

「もうやっちまえよ、明久。牧野が待ってるぞ」
「坂本!アキに変なこと言わないでよ!……アキも普通に渡せばいいじゃない!」
「そうです!そんな……あ、ア~ンなんて羨ま……いいえ、そうじゃなくて、その……」

……僕は一体、どうするべきなのだろう?
少し頭の中で考えた結果、

「……玉子焼きを、この中から取ってくれないかな?」

僕の弁当箱を、亜美に差し出す。
けど亜美は、やはり自分の箸で僕の弁当箱の中から玉子焼きを取ろうとはしない。
どころか、悲しそうな表情で、

「そんな……明久君は、私には食べさせてくれないの?」
「!!」

……これは良心が痛む。
何でだろう、なんかこう、胸が……痛いんだ。

「……じゃあ亜美、口を開けて」
「うん!」

すると亜美は途端に笑顔になる。
……その笑顔を見た僕は、可愛いなって考えていた。
そんなことを考えつつ、僕は弁当箱の中から玉子焼きを取り出す。
周りでは姫路さんや美波からの制止の声が聞こえるけど……状況打破の為だ、仕方がない。

「あ、ア~ン……」
「ア~ン♪」

そして僕は、玉子焼きを亜美の口の中に入れてあげたのだった。

「……なんと恐ろしい演技力。流石に本業の者は格が違うようじゃのう」

秀吉のそんな呟きの声が聞こえたけど、気にしないことにしよう。
















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