時間が過ぎること、昼休み。
僕はみんなに適当なことを言って、何とか昼休みを空けておいた。
現在、屋上にいるのは僕一人。
他に人が来る様子は……今のところはなさそうだ。
「……それにしても、一体誰が」
こんな果たし状を送って来たのだろう。
そんなことを呟こうとした、その時であった。
突然屋上に続く扉が勢いよく開かれる。
そこからやってきたのは……。
「……女の子?」
「ゼェハァゼェハァ……」
髪は薄紫色でツインテール。
瞳はパッチリとしていて、色は黒。
息を荒がせていることから……。
「もしかして、君が……僕にあの手紙を?」
「ええそうよ!私の亜美様に彼処まで破廉恥な行動をするなんて……なんてケダモノなの!」
「……私の、亜美様?」
少し意味が分からない。
この子は一体、何者なのだろう。
「えっと……君の名前は?」
「私は2―C綾瀬由菜!亜美様を何処までも愛してる乙女よ!!」
……うん、大体分かった。
この子は多分、清水さんと同種族の人間だ。
「それで、君はどうやって僕に戦いを挑むの?一応、素手でってわけじゃなさそうだし……」
「もちろん、召喚獣を使って戦うわ!」
そんなことだろうとは思っていたが、先生の許可がない限り、召喚獣を出すことは出来ない。
まぁ、一つだけ例外がないこともないんだけど……。
「なら、俺がこの場で立会人となってやろうか?」
「え……」
この声、聞き覚えがある。
いつも僕と同じクラスにいる、さっきまで一緒に話していた僕の悪友……。
「雄二!なんで屋上に来てるのさ?」
「……まぁ、色々事情があってな。今、脅威から逃れてきたところだったんだよ」
「脅威……?」
何だろう、雄二の言う脅威って言うのは……。
ちょっと気になるけど、深く突っ込んではいけないんだろうなぁ……。
「とにかく、立会人になるっていうのはどういうことよ?」
「ああ。それについては説明しなければならなかったな」
そう呟くと、雄二は自分の腕を見せる。
……右腕には、黒い腕輪のようなものがついていた。
「何よそれ?」
「白金の腕輪だ。コイツがあれば、先生じゃなくとも、召喚許可を降ろすことが可能ってことだ」
「雄二……君は僕のことを嫌いなのかい?」
「お前だけ幸せな気分を味わうのが憎いだけだ。これは昨日の延長線上とでも思ってもらえればいい」
雄二が来たことで、召喚獣の戦いは避けられなくなった。
……今からでも霧島さんを……。
「呼ばせないぞ?翔子を呼んだら……島田と姫路、そして全クラスメイトでお前に地獄を見せてやるぞ?」
「お前は僕の友達じゃなかったのかよ!」
「友達だからこそだ。いいからお前はソイツと決闘しろ!」
どうやら僕は、綾瀬さんと決闘するのが絶対条件となってしまったらしい。
すると綾瀬さんは、僕のことを不敵な笑みを浮かべながら見て、
「そう……貴方、そこのバカと一緒に清涼祭で行われた試験召喚大会で勝ったペアの片割れ……坂本雄二だったのね」
「ああ。名前が広まってるみたいで光栄だな」
「元々Fクラスの代表ってことで有名だけどね……まっ、バカの中でもマシってだけだけど」
「本当、その通りだよね」
「……底辺のお前が言うか」
失礼な!
僕だって本気を出せば……多分行けると思う。
「ハァ……とりあえず、さっさと始めるぞ」
「ええ、分かってるわ!」
「やるしかないのか……どうにか逃げる方法は!?」
「ねぇよ。だからとっとと覚悟を決めろ」
ここまで来たら、雄二に従うしかない。
別に何十人もの人を相手にするわけじゃない。
これは一騎討ちなのだ……ひょっとしたら僕にも勝ち目があるかもしれない。
「それじゃあ行くぞ……起動!!」
雄二が右腕を空に突き上げて、そう叫ぶ。
すると、雄二を中心として召喚フィールドが広がっていく。
……これで準備はほぼ完了。
後は僕達が召喚獣を出すのみだ。
「それじゃあ……」
「行くぞ!」
「「試獣召喚!!」」
そう叫び、僕達は自分達の召喚獣を出した。
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