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仮面の下の僕の声が聞こえますか?

作者:皐月涼夜
読む人が自殺を思いとどまり、
生きることに希望を持てますように。



「君はいつも笑顔だね」
何回……そう、言われたことだろう。

「なんで君は泣かないの?」
何度……そう、聞かれたことだろう。

「なんで君は平気でいられるの?」
何回……そう、非難されただろう。

















「君は、どうしてだと思ったんだい?」






俺がそう、聞き返したとき……


君たちは、なんて答えた?




……そのときの俺の顔を覚えていますか?



















「僕は、笑っていたでしょう?」
















「気持ちわるい」と誰かは言った。

「おかしい」と誰かが言った。

「狂っている」と誰かが囁いた。

「人間じゃない」と誰かが呟いた。

「最低!!」と誰かが叫んだ。

「ゴミだ」と誰かが俺を捨てた。

「ただのカスだ」と誰かは俺を無視した。

「死ね」と誰かは俺に囁く。

「消えろ」と誰かは声を荒らげた。

「近寄らないで」と誰かは俺を拒否した。

「あんたなんか産まれなければよかった」と誰かは言った。

「あなたに会いたくなんてなかった」と言われた。

「あんたの友達だと思われたくなかった」と裏切られた。






「……あんたの味方に誰がなると思うの?」







たくさんの言葉を僕は笑って受け止めた。

















例え、そのとき……腸が煮えくりかえろうとも、


信じてた人に裏切られようとも、


家族に殺されかけようとも、


親友がいじめの犯人だったとしても、


死んでしまうくらい身体を痛めようとも、


俺だけハイタッチされなくても、


ぶっ倒れる度に叱られようとも、


靴に画鋲を入れられようとも、


文房具を盗まれようとも、


せっかく描いた絵を台無しにされても、


自分の書いた物語を嘲笑されようとも、


家を追い出されても、


ずっと孤独でも、



……僕は、耐えたんだ。






















なあ……もういいかな?












何度、死にたいと思っただろう?

何回、助けを求めただろう。

何度、人に裏切られただろう?

何回、信じることをやめたいと思ったんだろう。

何度、独りで泣いただろう?

何回、右手を痛めたんだろう。

何度、眠れない夜を過ごしてきただろう?

何回、人を殺そうと思ったんだろう。

何度、世界を呪っただろう?

何回、僕を殺してきたんだろう。

何度、憎悪を抱いただろう?

何回、全てを壊そうとしたんだろう。

何度、幸せを夢見ただろう?

何回、人に傷付けられたんだろう。



何回……神様に願っただろう?

僕の産まれてきた意味を、僕が生きている意味を、教えてほしいと。
















もう、いいよな?


僕は今日、西暦2017年8月7日 月曜日 午前2時17分 に 永眠します。




















「さようなら。もう、会うことはないでしょう」







「僕を産んでくれたお母さん、
育ててくれたお父さん、
勉強を教えてくれたお姉ちゃん、
いつも一緒に遊んだ妹、
友人、
声をかけてくれた先生、
先輩、
後輩……
……みんな、ありがとう。
さようなら。

僕は、みんなのことが…………
……大好きだったよ」















その日、少年は最期だけは本当の笑顔で息を引き取った。







彼が再び……人々に笑いかけることはなかった。


































「りょうやーーーー!!」


俺の名前を叫ぶ女の子の声が耳に入る。
状況から言って、誰がここに向かっているかなど既にわかっている。
なぜ、彼女がそんなに焦ってこちらにやってくるのかだって……大方の予想は出来ている。
それでも、俺は……何食わぬ表情で君を迎えよう。




「どうかしたか?」

「『どうかしたか?』…じゃないよ!?今朝、Twitterを見たら……作品を更新したって言ってるから読んだんだよ!!『仮面の下の僕の声が聞こえますか?』っていうやつを!!」


「……それで?」

読んだ感想を聴きたくて……そう尋ねる。
普通の人に聞かれたら、冷たいともとれる反応。
でも、そんなことなど微塵も感じないで彼女は素直に感想を述べる。

そのことが……それだけのことが、
どんなに俺を喜ばせるのか……香織は知らない。
いつものことだと、それが皐月涼夜という人間なのだと彼女は受けとめるのだ。
それがどんなに難しいことなのか……など、
全く思いつきもしないのだ。

彼女はそういう人間なのだ。





「何ていうか……
いや、うまく言葉にできないんだけど……
涼夜の過去とか、考えとか知ってるから……
こういう話も書けるんだー……と、
最初は思ったんだよ?
でもさ、読み進めていくうちに、
どんどん闇が深くなって……
濃霧が小さな男の子を消してしまうような……
そんな淡く儚い感じが出てきて……
でも、いつかは助けが来ると思っていたらーー……」


言い淀む彼女の代わりに俺が言の葉を紡ごうーー……
……憐れな最期を迎えた少年の僕が。


「自殺しちゃった?」

「っ!!そういうこと言うなよおーー……!!」

半泣き状態で彼女が言うーー……いや、もう既に泣いてる。

それを見て、タオルとティッシュを渡してやる。
……一向に泣き止む気配がないのでそのタオルのことについては忘れてやろう。


香織ーー……因みに……それ、俺のお気に入りのやつだからな?









「泣き止んだか?」
頃合いを見て香織に冷えたハンカチとスポーツ飲料を渡す。本当は茶の方が安いんだが……あまりに泣いているので、高い方にしてやった。
まあ、泣かせたのは俺の発言と小説が原因だから……自業自得だ。



「うーー……ありがとう。ごめんね?」

「いや、悪かったな。ほとんど俺の所為だし、仕方ねぇよ。気にすんな?」

「うーん……」

納得のいかないような表情をしながら、渋々頷く。
まあ、事実だから否定出来なかったけれど
釈然としないのだろうーー……わかりやすい。



彼女の様子などお構いなしに、俺は彼女がここにきたであろう理由を聞いてやる。

「で?なんで来たんだ?」

「あ!……涼夜は、なんであの小説を書いたの?」




分かってた。



知っていた。

君は、僕に尋ねに来るだろうことを。

君は、僕のことをあまりにも……知りすぎているから。

僕はーー……俺は、お前に教え過ぎたから。




ここからは、立ち入り禁止だ。


例え、


きみが


ぼくのーー……

おれのーー……


たったひとりのともだちでも。





これだけはーー……君に真実を話すことは、ない。








「たまには、いいんじゃないか?
こういう終わり方も。そう……思ってな」


騙されてくれるんだろう。



俺がいつもと違う作品を書いた違和感も、

俺が笑顔の仮面を被っていることも、

素顔は決して笑っていないことも……




そう、


君はこの世で1番、俺を知っているから……


君は生まれたときから、僕と一緒だったから。


君は俺と
同類であり
同族であり
同士で
同志だから。



騙されてあげるんだろう。


もう、どこにもいない僕のために。


たった独りで息を引き取った哀れな僕のために。





きみは笑顔の仮面の下でも

わらいながら、

こころのなかで

泣いてくれるんだ。




















ありがとう。





俺は君にであえて





今、





幸せだ。
















「そっか。また新しい作品をかいたら、一番に見せてね」


「了解」












願わくはーー……



この僕ではない




俺の小説を読んだ君が、





仮面の下にいる僕の声にきづいて






きみの仮面の下で





きみが






悲しみの海を作りませんように。








ぼくは、





君にあえたから……



この世から姿を消しました。









でも、




君にあえたから……




俺が生まれて



僕と



俺は……




今日も、






生きています。






きみにあえてよかった。






ぼくと



オレに



生きる場所をくれて





ほんとうにーー……ありがとう。











-Fin-
読んでくれる人が笑顔でありますように。

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