表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

理系夫と文系嫁のSF用語講座

理系夫と文系嫁のSF用語講座「ジェットとロケット」

作者: 寝る犬

嫁「飛行機嫌い。どうしてこんなに高く飛ぶの?」

夫「その方が燃料コスト的に有利だからだね」

嫁「コストのために私の耳が痛くなってもいいと思ってるの?」

夫「……いや、低い所を飛ぶのは危険も多いから、コストだけの問題じゃないんだけどね」

嫁「うー」


  ◇  ◇  ◇


夫「落ち着いた? 耳抜きも上手く行ったみたいだね」

嫁「うん。……あ、富士山! ところで飛行機ってどのくらいの高さを飛ぶの?」

夫「4千m弱ある富士山がかなり下の方に見えるでしょ? 大体1万mちょっとくらいだったはずだよ」

嫁「さっきも言ったけど、なんでこんな高い所を飛ぶの?」

夫「嫁はさ、さっき耳が痛くなったよね?」

嫁「うん」

夫「あれはまわりの気圧が急に下がって、耳の内側と外側の圧力に差ができてしまった事が原因で起こるんだ」

嫁「それは知ってる。台風来た時とかも痛くなるもん」

夫「そうだね。気圧って言うのは地上から上空に上がれば上がるほど低くなる。つまり、空気がどんどん薄くなる」

嫁「うん」

夫「空気が薄くなるってことは、飛行機と空気との摩擦が減って、飛行機が飛びやすくなるんだ。高度1万mでだいたい地表の5分の1になる。まぁ機内は気圧調整されてるけどね」

嫁「え~? 空気でしょ? 空気との摩擦ってそんなに重要なの?」

夫「時速90kmで走ってる車から手を出したと考えて。飛行機はその10倍の900km前後で飛んでるんだよ。しかも機体も比べ物にならないくらい大きいし。ものすごく重要」

嫁「ふ~ん。じゃあさ、もっとさ、2万mとか5万mとかの高い所飛べば、燃料サーチャージも安くなる?」

夫「2万mはともかく5万mは飛べないなぁ。成層圏超えちゃうし」

嫁「飛べないの? ロケットは宇宙まで行けるじゃん。あ、宇宙飛べば空気抵抗なくなるんじゃない?!」

夫「ロケットはね。でも今乗ってる飛行機はジェット機でしょ?」

嫁「うん」

夫「名前を見れば分かるだろうけど、ジェット機はジェットエンジンで飛んでる。だから宇宙には行けない」

嫁「え? ……どういうこと?」

夫「……ええと、あ、そうか。ジェットエンジンは酸素を外部から取り込んで燃料を反応……えっと、燃やして飛ぶわけ。ロケットエンジンは推進剤……燃料の中に自前で酸素も入ってて、燃料を自分で燃やす事ができる。だから周りに酸素がなくても飛べるんだ」

嫁「へぇそうなんだ。ロケットってジェットのすごいやつだと思ってたけど、違うものなんだ」

夫「そう。それで話は戻るけど、ジェット機がもっと高い所を飛ばないのは、空気抵抗は確かに減るんだけど、気圧が減るってことはつまり――」

嫁「そっか、空気が薄くなるから、燃えにくくなるんだ」

夫「そう! 抵抗と燃焼効率のバランスを考えると1万3千m以下くらいが良いみたいだね」

嫁「なるほどね。まぁこれ以上高く飛んだら私は絶対乗らないからいいけどね」

夫「そんなに嫌なら近場の温泉旅行とかにすればいいのに」

嫁「それとこれとは話は別!」

夫「そうですか……」


――了

嫁のように文系の方の中にはジェットエンジンとロケットエンジンを全く区別していない方も多いようです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
[一言] 先日このシリーズを全部読みました! その時は時間がなかったので、改めて伺った次第です( 'ω' ) SFの下地がない私にとって、何とも有り難いシリーズであります。何か用語をリクエストしたい…
[良い点] うろ覚えでなんだっけ?な事を嫁との漫才形式で面白く復習できました 今後もこのシリーズを楽しみにしてます [一言] 単発ではなく連載にしてくれると更新通知機能が使えていいんだけどなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ