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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

悪役令嬢シルファリスの逆襲

作者:ヘソさん
 もし貴方が婚約破棄されると分かたらどうしますか? これはそんな話です。


 学園の昼休みや放課後を図書室で過ごす私ことシルファリス・バレーニアは今とても焦っています。
 なぜならば私が転生者ということが分かったからです。


 日課の読書をしていると突然頭が痛くなり私の前世のことを思い出しました。
 そして私は前世の記憶で休日20時間を費やしてプレイしたゲームの悪役令嬢になっていることが分かりました。


「……大丈夫よ、私なにも嫌がらせとかしてないからね!」


 ふと図書室の窓を覗くとゲームの攻略対象の私の婚約者が兵士を連れて何か命令しています。
 気になって窓を開けて聞いて見ると、


「シルファリスはどこだ!今すぐ見つけ出せ」


 いつもクールな婚約者が顔を鬼にして私を探しています。
 他の窓からも見るとゲームの攻略対象達が婚約者と同じようなことをしています。


「なるほど、今のところ逃げ道はゼロかぁ」


 絶望的な状況なので思わずため息が出てしまいます。
 よくあるネット小説みたいな婚約者達を論破したいのですが、
 私は普段あまり喋らず信頼できる友達ゼロ、先生ゼロなのです。
 えぇそうです、ぼっちですよ。泣きたくなってきました。


「よし、頑張って逃ましょう」
「……逃げ道ないのにどうやって逃げるのですか?お・嬢・様」


 さっきまで誰もいなかったはずの私の背後から専属メイドのコルファスの声がします。
 コルファスは昔屋敷に忍び込んだ下着泥棒で 殺すのはダメッ! と私が親に頼み込んだ結果、シルファリス専属メイドとして一生を過ごすことを条件に許してもらいました。


「貴方いつからいたの?」
「お嬢様の専属メイドとして呼ばれたら たとえ、火の中 水の中 草の中 森の中 土の中 雲の中 お嬢様のスカートの中へと駆けつけてまいります」
「……私読んでないけれど」
「呼んでる気がしました、愛のなせる技でーす」
「あっそう」
「あぁ、そのゴミをみるような眼差し、その淡々としたお言葉、最高ですお嬢様。ごちそうさまです」


 見た目は美人なのだがとても性格が残念なところがある。天は二物を与えずとはコルファスの為のことわざだ。しかもいつもどこかやる気ないように見える。


「結局どうやって逃げるんですかぁ、逃げ道は全部婚約者とその仲間がいますが?」
「……確かに逃げ道はありませんができることはあります」
「へぇぇどうするですかぁ?」


 私はコルファスと話している時に考えていた作戦を決行すべく質問に答えるとした。


 今、シルファリスの人生最大の作戦が決行される‼︎





「シルファリスはまだ見つからないのか?全く使えない連中め!」


 兵士に対して怒鳴り散らしているこの人の名はジルラート王子という。もともとジルラート一人で捕まえる予定だったが、王子が真実の愛を誓ったメイビスのことが好きな男性陣が、
 我こそはとシルファリスを捕まえようと動いたからだ。


 確実に一番早く捕まえるためにわざわざ騎士団を連れてきたがシルファリスがなかなか見つからない。

「奴はどこに行った。早くしないと、他の男に取られてしまうかもしれないのに!?」


 ジルラート王子は普段冷静に作戦を立て失敗する可能性を潰し確実に勝利を手に入れることで成績はとても優秀だった。


 しかし今のジルラート王子はゲームの主人公であるメイビスに唆された為、いつもの調子を取り戻せず一種のバクのような状態に陥っていた。


 そのような状態の時に、


「みんなぁー私はここよぉ〜、捕まえてみなさーい」


 学園の屋根、つまり周りから丸見えの場所でシルファリスその人が堂々と立っていた。


「いたぞ、すぐに行って捕まえろ! 」


 王子や探しに来ていた男達が一斉に動き出す。


 王子達はシルファリスを捕まえようとするが女とは思えないぐらいの速さで屋根から屋根へと移っていく。
 そのスピードは騎士団すら凌駕していた。


「バカな! 速すぎする。一体彼女は何者なんだ⁉︎ 」


 騎士団の一人が呟くがその答えを知るものはその場にいなかった。
 しかしいくら速くても屋根の数にも限界がある。


「よし、追い詰めたぞ」


 先には屋根はなく、下には騎士団の一部が待機している。最低限の兵士も下で警備している。
 誰もが追いかけっこは終わりだと確信した時、


 シルファリスは跳んだ。
 そして塔の壁にしがみつき何と登り出した。
その光景に思わず騎士団長は王子に質問した。


「あの王子。最近の令嬢は壁を登るのですか?」
「ああ、分からん」


 塔を登ると懐からロープを取り出し王子達とは反対側の屋根へと投げ追いかけっこは再開した。





 〜〜〜3時間後〜〜〜


 塔を登り天井へと移るを繰り返していたシルファリスは突然止まると地図を懐から取り出し何かを確認すると次は屋根から降り通路の追いかけっこに変わった。


「はぁはぁはぁはぁ、奴は化け物か。さっきからあいつが疲れている様子をみせてないぞ」


 しかし追わなければいけない。王子達の追いかけっこが再び始まろうとした時突然騎士団の一部が消えた。消えた地面の下には大きな穴があり底が見えない。

 
「王子。最近な令嬢は落とし穴を作るのですか?」
「知らん」


 追いかけていると


「王子!上から大量の水が!」
「知らん!! 」

「王子?何かのガスです。決して吸わないでください」
「知らん!!! 」

「王子。上から食べ残しの魚が降って来ました」
「もう知らないよ」

「王子⁉︎ 沢山のネコがこっちにやって来ます。逃げましょギャアアアア」
「助けてくれーーーー」



数々の試練を乗り越えて王子は遂にシルファリスを追い詰めました。しかしそれまでにあったことで騎士団は全滅、王子の体と心はボロボロ、もうメイビスのことなど忘れています。


「遂に追い詰めたぞ。観念しろ」


 探していた時とは比べものにならないぐらい言葉に覇気がない王子にシルファリスが近づきます。
追いかける理由はもう忘れてしまうぐらい疲弊しているのにそれでも捕まえなければならないという王子の精神が体を支えていました。


「流石です、王子。ここまで追ってくるとは予想外でした。最後にとっておきのサプライズがあります。あちらをご覧ください」


 シルファリスが指を指した場所を見るとそこには


 シルファリスがもう一人いました。


「シルファリスが二人だとッ」
「「さぁ王子!追いかけっこを再開しましょう!! 」」


 最後まで頑張った王子は白目をむいて気絶してしまいました。




「ふふっ気絶してしまいましたよ王子がぁ」
「そうね。って王子の顔に落書きするのはやめなさい」


 シルファリスの一人がカツラやメイク落とすとあっという間に専属メイドのコルファスに戻りました。


「流石コルファス。こんなこと王子相手に平気するのは貴方ぐらいよ」
「生まれてからメイドになるまで盗みで生きてきたから相手なんて関係ないですよぉ。それより学園長には話をしてきましたか?」
「終わった終わった。別に私一人が消えようが関係ないだってさ」


 もともと計画ではコルファスが変装して王子達を引きつけその間にシルファリスが学園長に話をする予定だったが
 思ったよりスムーズに終わったので最後に悪役令嬢らしく王子達に嫌がらせをすることで思い出作りをしようとおもったのだが
 やりすぎてしまった。


「これからどうしますお嬢様?」
「両親はもう他界しているし、何となく学園に残っていただけだからどこか遠いところで静かに過ごそうかしら」


 シルファリスはジルラート王子の後ろポケットから鍵を取り出す。


「なんですかそれ?」
「学園の門の鍵よ。王子が持って行ってしまったから出れなくて困っていたのよ」


 こうしてシルファリスとコルファスは学園の外に出て誰にも見つからないようにひっそりと消えました。


ちなみに王子達はメイビスの誘いをすべて断り二度と関わらないことを誓いました。

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