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餌付けにご用心

作者:ぺぺ
名前を出さずにどれだけやれるか無駄な努力をした作品です♪( ´▽`)
私の幼馴染は小さな頃はガキ大将で、中学になる頃には立派な不良になっていた。

そんな不良の幼馴染なんかやってるせいか、小学校高学年あたりから友達がいなくなった。

幼馴染と仲が悪いわけではないのが、原因らしい。

普通の友達は、下手に私と付き合って目をつけられたくないらしく遠ざかっていった。
たまに幼馴染の友達や不良仲間に声をかけられたりしたが、私は不良は苦手で顔見知り程度にしかなれなかった。

中学3年の時に、幼馴染と志望校が被ったことに絶望したのは、今ではいい思い出だ。

高校一年になった今、馬鹿だと思った幼馴染は志望校に無事に受かり、元気に番長やっているらしい。
反対に私は志望校を落ちて、二次募集で入った不良が多いと有名な高校で、今日も気配を消している。

志望校に落ちて、最初は落ち込んでいたが、ここは幼馴染の呪縛から逃れて、高校デビューが果たせるのでは!?と意気込んだ。

受かった高校は、半数以上が不良だったが、その他の人と仲良くなろうと決意した入学式前。

入学式当日になって発覚したのは、私の対人スキルの低さだった。

隣の席になった子から、挨拶されただけなのに、まともに返すことが出来なかった。

幼馴染と幼馴染だったばっかりに、出てきた弊害。かれこれ六年近く友達がまともにいなかった私は、人と接することが上手く出来なくなっていたのだ。

虚しく破れた高校デビューの夢。

私は今日も幼馴染と不良どもを呪いながら、気配を消して一日を過ごすのだった。







高校で気配を消して過ごすのに慣れてきたゴールデンウイークに入ろうかという日。放課後、本屋に行こうと寄り道をした私は、ばったり会いたくもない奴にあってしまう。

高校に入ってから、若干だが生活のリズムが変わり、会うこともなくなっていた幼馴染に。

幼馴染はブリーチし過ぎて痛んだ髪の毛をツンツンさせながら、私の憧れだった志望校の制服を着崩して、後ろにぞろぞろ仲間を引き連れていた。

気づくなと思ったのがいけなかったのか、ばっちり私に気づいた幼馴染は、そこで待てとジェスチャーするとわざわざ信号を渡って私の前に立った。

ビビり過ぎて震える足は役に立たず、俯いて突っ立っているしかなかった私は、幼馴染を前にして、その他諸々に囲まれていた。

「よぉ!元気してたか?」

二カッと笑って話しかけてくる幼馴染を心の中でボコりながら、

「ぅ…、うん」

と、か細く答えるしかない私。そんな、私に気づきもせずに、幼馴染は親し気に言葉を続ける。

「そっか!なんか困ったことがあったら言えよ?」

困っても絶対に頼りたくないと言えるはずもなく、

「大丈夫だよ…」

としか言えない私はただのヘタレだ。幼馴染だから、不良でも怖くない…なんて死んでもない。不良は怖いし、幼馴染でも不良なら怖いに決まってる。

なのに、この幼馴染はなんとも空気を読まずに、余計なお節介まで焼こうとしていた。

「いやいや、お前んとこ物騒だし!そう言えば、おばさんがお前に携帯買ってやったって聞いたけど?」

「うん」

携帯の有無を聞かれて、ちょっぴり母を恨んだのは悪くないと思う。
そして、それに素直に答えてしまった私は、大いに後悔する羽目になる。

「じゃ、貸して。俺の番号入れとくから」

何を言われたか、最初はわからなかった。

「ぇっ?」

「ほら、早く!」

戸惑う私を余所に、携帯を差し出せと要求する幼馴染。
周りを囲んでいる人たちからも、早くしなよと囃し立てられては、私に逃げ場はない。

戸惑いつつも差し出した携帯は、あっさり幼馴染に奪われアドレス交換がなされてしまう。

「ぁ…っ!…ああ…ぁ」

「よし!これで完了。何かあったらすぐ掛けろよ?まぁ、何もなくても俺からメールしたりするから。返事はちゃんと返せよ」

幼馴染はアドレス交換のすんだ携帯を返しながら、とんでもないことを吐かしてくれた。
だからと言って嫌だとも言えない私は、

「…わかった」

そう言って受け取るしかなかった。

「じゃぁな!」

用がすんだのか、気がすんだのか…。幼馴染は片手を上げて私の頭をわしわし撫でると、ぞろぞろと仲間を引き連れて去っていった。

その日はもう、本屋に行く気分にもなれず、家に帰り、ベッドの上に撃沈した。

その夜、早速来た幼馴染のメールは、他愛もないものでわざわざメールしなくてもいいじゃんっ!と密かに腹を立てる。でも、返信しないと何が起こるかわからないので、律儀に返したのだった。








ゴールデンウイークが明けて、再び憂鬱な高校生活が始まった日、私は今まで以上に幼馴染を恨むことになった。

その日は登校して、教室にはいるまでの間、自校の不良たちが誰かを探し回っているのをあちこちで見かけた。よもや、私を探しているなんて思いもせずに、いつものように席に着く。

そしてHRが終わり、一時間目も半ばに差し掛かった時、

「あぁ~~~っ!!見ぃ~っけっ!!」

と言う叫び声が教室の外からしたかと思うと、ガンッ!!と乱暴に扉が開き、教室内に侵入してきた不良。

そう、彼らは授業そっちのけで、朝から学校中ある人物を探して駆け回っていたのだ。

私と言う人物を!!

教室に乱入してきた不良は先生の制止も聞かず、私を担ぎあげると、屋上に拉致した。

何がなんだかわからない私は、気づけば、屋上で自校の不良たちに囲まれて、半泣き状態だった。

不良に囲まれ、ガクブルしていると、フッと頭から影が差す。恐る恐る顔を上げると、そこにいたのは自校の番長サマだった。

男らしい野性味たっぷりの肉食系の顔の番長の顔は、入学当初からチェック済みで絶対に近寄らないようにしていたのに、目の前には射抜くように私を見下ろす彼がいた。
その恐怖に慌ててうつむき直しす。

「なぁ、あんた、あいつとどんな知り合いなワケ?」

低くて怖くなければ美声だなと思わせる声で、見下すように話しかけてきた番長。

怖くて頭は回らないのに、さらに主語が抜けている質問をされてパニックになる。

そんな私に番長は苛立たしげに溜息を吐くと、懇切丁寧にゴールデンウイーク前の幼馴染との一件を語り出した。

なんでも元から自校と幼馴染のいる高校の不良はソリが合わないらしい。
そんなソリ合わない高校の不良のトップが、今年に入って突然の代替わり。それに探りをいれるために、私は拉致られたらしいが、恐怖に震える私は満足に口も開けない状態になっていた。

そして、恐怖しながも、心の中で幼馴染に罵声を浴びせ吊るしあげてやる。

いつまでたっても、俯いたままの私に、ついに番長がキレた。

「テメェッ!聞いてんのかっ!?オラッ!!」

空気を震わすほどの怒声に吃驚して、堪えていたものが一気に溢れ出してきた。

視界が歪み、地面をぼたぼたと涙が濡らしていく。

どうしよう、どうしたら、とそんなまとまらない考えだけがぐるぐると頭を巡る。
うざいと思われて殴られるのはもってのほかだが、だからと言ってせっかく逃れた幼馴染の呪縛を暴露したくもなかった。

ぎゅっとスカートの裾を掴んで耐えていると、徐々に周りが騒がしくなる。

「あーあっ、番長、女の子泣かせてかっこ悪っ」

「サイテー」

「鬼畜ぅっ」

よく聞けばそんな言葉が私を囲んでいる不良たちから出ていた。ぶっちゃけ囃し立てる不良どもも同罪だと思うが、これで番長が私を解放してくれるのなら恩の字なので、もっとやれ!と密かに応援してやる。

「だぁあああぁっ!!テメェらっ、ぶっ飛ばすぞっ!?」

囃し立てられた番長は、頭をぐしゃぐしゃとかき乱すと、怒鳴る。
それにビクリと体を震わせてしまった私に、舌打ちすると、スボンのポケットから小さな袋を取り出し差し出してきた。

「ほらっ!食えよ…。ビビらせて悪かったから、泣きやめって」

私は子供かっ!?と内心突っ込みをいれつつ、差し出された袋を見て、ちょっと引いた。

別に不良が甘いものを食べてはいけないと言う法律はないし、偏見もないつもりだ。実際、幼馴染は私より甘いものを好んでいたし。

その時何がいけなかったかといえば、差し出された小さな袋がチョコの入っている袋で、いかにも溶けてますと言わんばかり潰れていたのが嫌だった。

他人の体温で溶けた多分ドロドロのチョコを不良に囲まれながら食べる勇気は私にはない。

多分、私も周りを囲む不良たちも「ないわ~、ソレ」という顔をしていたんだろう。

番長は引くに引けず、顔を真っ赤にしながら、その袋を開け、私の口に押し付けてきた。

案の定、ドロドロと溶けていたそれを食べたくなくて、咄嗟に顔を背けるとべちゃっと頬に溶けたチョコの感触がした。

「「「「「あ……っ」」」」」

重なる不良たちの声。呆然とする私と番長。
そして…、


ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ



空気を読まない携帯の呼び出し音が鳴り響いた。

スカートのポケットから太腿に振動が伝わり、鳴っている携帯が私のだと気づき、今の出来事で空っぽになった頭は携帯に出なければと言うことでいっぱいになった。

ぎこちなくポケットを探り、取り出した携帯の通話ボタンを押す私を、固唾を飲んで見守る番長と不良たち。

「はい…」

携帯を耳に近づけて声を出す。

「おぉっ!俺、俺。お前さぁ、今日暇?放課後デートしようぜ!待ち合わせは…いいやっ。迎えに行くから待っといて。じゃあなっ」

ちょっと待て。私は誰とも付き合ってないし、暇とも言っていない。私の発言を全く聞くことなく、ブチッと切れたその電話。

呆然として携帯を見ればチョコのついてしまった頬に押し当ててしまったのか、携帯の画面は茶色くなっている。
何処からともなく無言で差し出されたぐしゃぐしゃのティッシュをありがたく受け取り、画面を拭き履歴を確かめると、そこには幼馴染の名前があった。

ハッと顔をあげると、ともに携帯を覗き込んでいたのか番長の目と目が合う。

無言で必死に頭を振ると、番長はにやりと嗤って私のチョコのついた頬を舐めると、

「放課後デート、楽しみだな」

とほざいてくれた。

頬を舐められたのに、恥ずかしいとか、気持ち悪いとか思う前に、私の身体から血の気が引き、恐怖がせり上がってくる。

私が何をしたのだろう?友達一人ろくに作れない私に救いはないのか!?

私は今日の放課後が永遠にこないことを心から願うしか出来なかった…。

しかし、時間とは非情なものできて欲しくないと思えば思うほどあっという間に過ぎていく。あの後あっさり番長から解放された私は、不良二人に見張られながら無事に放課後を迎えてしまったのだ。

なんだかんだと理由をつけて帰宅したかったのは山々だが、無理矢理約束予定を押し付けてきた幼馴染も怖ければ、ニヤニヤしながら見張っていた不良たちも怖かった。

帰り支度を終えると待ってましたとばかりに、見張りの不良たちを引き連れて、私は俯きながら校門に向かうしかなかった。

校舎の玄関を出た辺りから、やけに周りが騒がしくなり、ふっと顔をあげると校門のところにズラッと並ぶ憧れの志望校の制服を着崩した一団が、生徒たちを威嚇しているではないか!

そして、その中心にいるのは言うまでもなく幼馴染。

流石にあそこにいく勇気は私にはない。

幼馴染に気づかれる前に逃げ出そうと後ずされば、後ろからがしっと肩を掴まれてそれ以上下がることは出来なかった。

「随分派手な出迎えだなぁ、オイ」

頭上から影が差し、耳元で聞こえた声。

ギシギシと壊れたブリキのようなぎこちなさで、声の聞こえた方へ振り向けば、そこにはニヤリと嗤う番長がいた。

いつの間に!?と思う時間もなく、番長は私の体を後ろから掬い上げ、抱き上げると幼馴染の方へ向かってスタスタと歩き出した。

重たいのにとか自分で歩けるしとか言いたいことはたくさんあるのに、これから起きるであろうことが頭を占拠してなに一つ音を紡ぐことはない。

「ンだ?テメェ」

図上から、幼馴染のドスの聞いた声がする。

「ァア?彼氏だよ、カ・レ・シ!」

今度は番長の声。

私は番長の腕の中でかたく目を瞑り、恐怖に震えていたため、聞こえてきた声の意味を理解することは出来ないでいた。

「…っざけんなよ。そいつは俺のモンだ」

幼馴染が怒っている。ビリビリと空気が震えた気がして、私の限界はあっさりと越えた。

「う…っ、ぅう〜ぅっ」

かたく瞑っていた目から涙が溢れる。本日二回目のマジ泣き。

すると、真上から番長の焦った声がして、私は番長の腕の中から解放される。

(もう嫌だっ!不良なんて、大っ嫌いだぁ〜っ!!)

どんなに心の中で罵っても、彼らに通じはしないがやめられない。

降ろされた地点に突っ立って拳を握り締める。

「おい、泣き止めって!ホラ、お前の好きな飴やるから」

俯いていた顔の前に幼馴染がイチゴミルク味の飴を差し出しながら、私の頭を撫でる。

「おい、ほらっ、今度は溶けてないから!」

今度は番長が肩を抱き寄せながら、今朝と同じチョコを差し出す。

(いらないしっ!子供じゃないしっ!!)

泣き止んで欲しければ、みんなどっかに行って欲しい。

そして、気づけば私は不良に囲まれ、幼馴染と番長を筆頭に慰められまくっていた。






その日から私の平和は、再び崩壊する。

何故か私を挟んで喧嘩をする幼馴染と番長とそれを観戦しながら交流する彼らの仲間たち。

そして、私は不良たちにお菓子を貢がれまくるという意味のわからない日々が始まるのだった…。
余談?ですが、幼馴染は小さい頃から、番長は泣き顔に惚れたという感じ。

ついでに、幼馴染は女のコのために、番長は甘党ということで常におやつを携帯しています。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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