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死にたくても死ねない!?
作:夷 神酒



SUICIDE14〜繰り返す輪廻と黄泉での焦り〜









人とは時に、同じことを繰り返す滑稽なものである






―――――――――――――――





しかし困った。
あぁ、困った。


前回、体育祭実行委員の役職を半強制…いや、強制的に受けた俺は、ただ今生徒会室にいる。

麻依子から『裁判所みたいな所だよ』と言われたが、みたいじゃなくて、そのまんまだと思う。

そこで俺が何してるかというと…



「…真慈、もっといい作戦はないのか?」


会長と一緒に作戦会議してます、はい。
それも俺が弁護士側、会長が検察官で対峙している。

てか、目の前の会長がやり手の検察に見える。









――なぜ、会長と作戦会議してるのかというと、体育祭二大種目(てか、二つしかない)中の一つ、騎馬戦のルールにある。


何人かで騎馬を作り、相手の騎馬を崩し、崩されたら自分の陣地に戻る。
制限時間内に相手軍の騎馬を多く潰した方の勝ち。

基本的ルールはこれだけ。


しかしこの騎馬戦は、クラスによって分けられる。
その『クラス』というのは、学年の枠を越える。
例えば、A組なら『1‐A』『2‐A』『3‐A』が同じチームとして戦う。

会長曰く、これは学年によっての体格差やら経験差をなくすためらしい。

そして、各学年8クラスある中で俺は『1‐D』の実行委員であり、奇遇にも会長は『2‐D』の実行委員だったのだ。

会長職でありながら、実行委員までやるとは……将来はキャリアウーマンになるな。



そして今、俺達は会長の権限で生徒会室を使っている。
てか、作戦会議のためとかで放課後呼び出された。

ついでに、『3‐D』の代表は、無理矢理押しつけられたモヤシのような人だったから、可哀相ってことで会長が会議から外した。
てか、俺も無理矢理なんだけど会長に捕まったんですよ、ハイ――



それにしても作戦ねぇ……

「…突貫は?」
「そんな単純な手では二回戦進出が限界だ。優勝の為には最低でも三パターンは欲しい」

俺の案は会長に速答で跳ね除けられた。


「そういう会長はどうなんだ? なんかいい案はないのか?」
「…突撃」
「それはほぼ一緒だ」

『突貫』と『突撃』の差が分かる奴は教えてくれ。
てか、そんなことを真剣な顔で言われても困るぞ会長。





「それより真慈、『会長』という呼び方はやめてくれないか?」
「…会長は会長でしょ?」

なにを今頃…
確か、俺の周り(麻依子とか)も会長って呼んでたと思う。


「…君とは会長という役職に関係なく交流したいのだ」
「マジ?」
「あぁ、MAGIと書いても読んでも想像してもマジだ」

そういいながら真っすぐな目線で俺を貫きそうな会長。
…確かにマジだな。


「んじゃあ、戸野先輩」
「先輩なんて必要ない」
「戸野さん」
「他人行儀だ」
「戸野様」
「その前にバカをつけたらドリフになってしまう」
「戸野妹」
「それでは私が姉のオマケのようで好かん」

彩華のオマケか…それはさすがに可哀相だな。


「でも、それ以外なら名前で呼ぶしかないだろ」
「…な、なら、名前で呼べばいい」

会長はそういいながら、顔をほんの少し朱に染めてる。
風邪でも引いたか?


「そ、そういえば名前を教えてなかったな。麗花、戸野麗花だ」
「分かった。…麗花先輩」
「先輩などつける必要はない」
「いや、先輩は先輩だ。先輩を校内で呼び捨ては気が引ける」

いちよう、俺は学校内では上下関係をつけてるつもりだ。
担任の浅尾を先生と呼ぶのがいい例になる。


「…では、せめて二人だけの時や校外の時は呼び捨てにしてくれ」
「…そこまでして名前で呼ばれたいですか?」
「……呼ばれたい」


そこまで言って会長はうつむいた。

てか、何で名前で呼ばれたい人多いかなぁ。
名前で呼ばないと麻依子は泣きそうになるし、彩華は悪戯(拷問)するし、小夜はシカトしてくるし…


…でもまあ、そこまで言うなら仕方ねぇか。


「分かった、麗花って呼べばいいんだな? まだ慣れないけど呼ぶように気をつける」

気をつけないと会長って呼ぶよ絶対。
だって、読者の皆さんの知らない所で麻依子を何度も泣かせそうにしてますから、ハイ。


「あ、ありがとう……で、戦略の方はどうする?」

さっきまでの微妙な行動はどこへやら、麗花は一瞬喜びの表情を浮かべた後、キャリアウーマンモードに戻っていた。


騎馬戦の戦略ねぇ…
…あまり気が向かないが、頼んでみるか。
俺は、ポケットの中から携帯を取り出し、電話帳から目的の番号を探す。

「誰かに電話でもするのか?」
「あぁ、俺が知る中では最高の参謀で最低の女好きだ」


俺の電話帳は五、六名しか登録してないため、目的の番号は簡単に見つかった。

俺が電話した相手は…





〔なんだよ真慈。僕にレディ達を紹介してくれるのかい?〕
「んなわけあるかボケェ。五股かけてるような野郎に女は必要ねぇだろ」
〔なっ!? なんで分かってるんだよ!?〕
「この時期は、インド洋が五股する確率が高いという統計が出てる」
〔どんな統計だよ!? てか、インド洋ってなんだよ! 僕の名字は大西だ!!〕



…なんか、会…麗花から微妙な目線が注がれてる。
まぁ、会話が聞こえないだろうから仕方ない。


「とにかく、今度の体育祭の騎馬戦の戦略を考えてくれ」
〔…嫌だね。昔じゃないんだから、僕はもうそんなことしないよ〕

やっぱりダメか…
こうなったら最終手段だ。



「…生徒会長様もお前の助けを待ってるぞ」
〔なにぃぃぃいいい!! それは本当か?〕


やっぱり食いついてきた。
女が絡んでくると、洋のヒット率異様に高くなるからな。

俺は麗花に近づいて、携帯の通話口を塞ぎながら話し掛ける。

「んじゃ、こいつに『君の助けが必要だ』と言ってくれ」
「あ、あぁ、そのまま言えばいいんだな」


ちょっと緊張気味のか…麗花に携帯を渡す。



「…君の助けが必要なんだ」

割とスラスラ言えた麗花。
さすが生徒会長、プレッシャーには強いらしい。
その一言だけで会長から携帯を返してもらう。
これ以上話させると、洋が口説きに始めるからな。


「つうわけだ。頼まれてくれるよなぁ?」
〔僕がレディの頼みを聞かないわけないだろ。明日までに完璧な戦略を立ててやるよ〕
「頑張れよ女たらし」
〔真慈ぃ! なに言っ…〕


戦略さえ立てればすべてようなしだから、俺は洋が話してる途中で通話を切った。



「これで戦略は無問題モーマンタイだ」
「わざわざそんな読み方にする必要はないだろう。…それよりも、本当に彼に任せて大丈夫なのか?」


冷静に突っ込みながら微妙な表情を浮かべる。
まぁ、あんな奴に頼んだら心配するのは仕方ない。
でも…


「チャラチャラしてて女好きで股かけ上等な最低野郎だけど、俺がマジで信用してる最高のダチだ。心配すんな」

洋の戦略のおかげで、R‐ラグナロクは必要最低限の時間、戦力で邪魔者をぶっ倒してきた。
ヤクザ相手に死者が一人も出てないのがその戦略の凄さを表している。


「…分かった。真慈がそこまで言うなら私も信じよう」

俺を通してじゃなきゃ信用されない洋…可哀相じゃない、自業自得だ。


「んじゃあ、作戦会議終了ってことで先帰らせてもらう」

俺にも色々やることがあるんだ。
特に、小夜が来てから時間が必要になってきたからな。



「ちょっと待ってくれ。この紙を見てくれないか」

俺は麗花の出してきた紙を手に取って見る。
そこに書かれてたのは…









〃〃〃


任命書


一年D組須千家真慈

貴方を戸野高等学校生徒会役員“生徒会会長補佐”に任命する。
尚、任命された者は、特別な理由があっても拒否・放棄を硬く禁ずる。



認証者
生徒会会長・戸野麗花
戸野高等学校校長・桂田源次郎
戸野高等学校理事長・戸野彩華


〃〃〃









…へぇ〜
あの校長って桂田源次郎って名前だったんだ…

「って違うッ!! なんだこの文書はよぉ!?」
「君を生徒会役員に任命するための文書だ」
「いや、そんな筋合いないから! なる気もサラサラないから! つか、俺は認証してないよ!?」

俺は会ちょ…麗花に紙を叩き返す。
そのまま俺は出口に歩き、ドアノブに手をかけ…



「…なんだこれ?」

ふと、俺は自分の右親指が赤いことに気づいた。
これは…血じゃないからインクか?


渡された紙、赤い親指…

このパターンどこかであった気が…















「そんなことを言っても、ここに拇印がしっかりとあるぞ」



やっぱりかぁぁぁぁぁあああああああああ!?

なんで黒ヘルと同じ手(プロローグ参照)使ってんだヲィィィイイ!!












→→→→→→→→→→→→→→→














「マ、マジかこれ…信じられん」

俺、黒ヘルこと安全第二は、あの世…黄泉よみに来ていた。

来た理由は、困ったお客さんにボコボコにされた顔面を直すため、親友のアレキサンドリア・中田に頼むためだ。

…そんなのは一日で終わるから、黄泉パブ『ジュリア』で十分な目の療養したけどな、ウシシ…



…ゲホッン!

そんなことより、俺の持っている書類が問題だッ。
現世に戻る前に、後輩の弥勒みろくからもらった俺のお客…須千家真慈に関する資料だ。



それには、その人間の過去やムフフな噂、基本的情報などが書かれてる。
その書類に書き足されてた項目は二つ…


一つは『因果封滅』をかけられたこと。

そして、もう一つは普通更新されない過去にあった出来事…















死期極滅しききょくめつ過未消滅かみしょうめつだと……どうして今まで気づけなかったんだッ!!」


今から六年前の欄に突如浮かび上がった文字は、鮮血のように深紅に染まっていた。






「禁術が二つも使われてるなんて…ソープに行く暇もねぇな」


俺はお気に入りのアケミちゃんに会えないことに苛立ちながら、急いで現世に戻ることにした。














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