戦慄の楽譜~after~
玲子とコナンのカップリング。コ哀、新蘭派の方など、このカップリングが認められる方のみ、お読み下さい。
あの堂本コンサートから1ヶ月。
江戸川コナンの日常は少し、いや、大きく変わった。
ソプラノ歌手である秋庭玲子はことある事に江戸川コナンの元に訪れるようになったのだ。
「ちょっと付き合いなさい、探偵君」
「・・・・・・へ?」
フラッとやってきた休日、いきなり探偵事務所にやってきたと思ったら、蘭や歩美たちの制止の声を無視し、コナンを引き摺ってどこかに連れて行く。
厚顔不遜、唯我独尊、女王様気質だと“思われがち”な彼女らしい行動力。
ある時は自然の中を散歩し、湖の畔で共にお弁当を食べる。
もちろん勝手にやってきて、自分の都合で連れまわしていることに違いはない。しかしコナンは玲子が嫌いではない。むしろ好ましい女性だった。
ある時はコンサート前のリハーサル会場に連れて行ったり、調律作業に付き合せたりと、まるでマネージャーのような扱い。コナンもそれを仕方ねぇなと言いたげな苦笑で、彼女と共にいた。
気付けば、有名人の傍にいるコナンはいつの間にか玲子の『小さな恋人』という関係だと、周囲やマスコミが勘違いしてしまったのだった。
小学生のコナンだから、それは彼女の隠し子とか、そういう認識をされそうだが、それでは説明つかない事情があった。
それは彼女の性格もあるが(嫌味を吐きまくるところとか)、玲子がコナンを見つめる瞳、寄せる信頼、たまにコナンに向ける柔らかな声や表情が、子供説を否定し、恋人説を有力にさせたのだった。
そんなある日、ちょっとした事件が起きた。
コンサート当日、バイオリニストの紫苑や控えていたバイオリニストが食中毒に掛かり倒れてしまったのだ。
玲子はコンサー中止は嫌がった。
その日その時の歌が捧げる祈りは、その時限りのものだというのが彼女の自論だったから。
困る一同だったが、玲子はそんな時もコナンを見つめた。
玲子はコナンの信じられない知識、大人のような冷静さ、対応力、潜在力を知っていたからだ。
こんな時、どうすればいい? そのように玲子はコナンに問うた。
するとコナンは、
「・・・・・・ボクでいいなら、やろうか?」
「え!?」
関係者を凍りつかせたのだった。
「・・・・・・できるのね?」
「今回の演奏メニュー、『アヴェ・マリア』『Amazing Grace』『ベートーベン交響曲第9番』『モーツァルトのクロイツェルソナタ』なら全部弾けるよ」
「ふふ・・・・・・さすがね、コナン君」
「信じるのか、秋庭君!!」
「あんた達より、ずっとこの子の方が信じられるわ」
「だがっ!!」
「失敗したら私が責任もつわよ。それでいいでしょ」
相変わらずの毒舌っぷりで、周囲を黙らせる。
彼女の瞳は、一点の曇りも無かった。
コンサートホール本番。
会場にやってきた蘭・園子・毛利小五郎・歩美・元太・光彦・阿笠、そして灰原哀。
皆は玲子の歌が再び聴けることを楽しみにしていた。
「楽しみだね、玲子先生の歌!」
「ほんとですね。およそ一ヶ月ぶりですからね」
「おい、テメーら! ちょっとは静かにしてろ!!」
小五郎がマナーについて歩美たちに叱咤する。
すると、ホール内放送で驚きの言葉が流れた。
『本日はご来場頂き、誠にありがとうございます。この度、お客様に演奏者の変更についてお知らせいたします。バイオリニストの山根紫苑は食中毒により倒れ、演奏することは厳しくなりました。従いまして、バイオリニストは急遽交代しまして、秋庭玲子の強い推薦から江戸川コナン君が演奏することになりました。ご来場頂いたお客様は平にご理解頂きたい所存であります』
「え、えええええええええ!? コナン君が!?」
「ずりぃーぞ! コナンのやつ!!」
「抜け駆けはコナン君の得意技ですからね!!」
「そんな事言ってる場合じゃねえだろ! あの坊主、失敗したらどうすんだ!! そもそも弾けるのか!?」
「コ、コナン君・・・・・・」
「あ、こりゃ終わったわ。ていうか、秋庭さんてやっぱショタコンなんだ」
歩美がビックリし、元太と光彦が子供故の我儘を言う。小五郎が最もな意見を言えば、蘭は不安そうな顔をし、園子は額に手を当て呆れ果てた。
会場もザワつき、少なからずTVで玲子に付き従っていたコナンの存在が流れていたので、少なからず客席から不満の声が上がっている。
そうしている間に、ステージに玲子が出てきて、コナンもバイオリン『ストラディバリウス』を持って現れた。
真っ白なドレスを着た秋庭玲子とスーツ姿のコナン。
2人の衣装はまるで新郎新婦のソレだった。まあ、身長差がありすぎる為に全員がそう思えるかは微妙だったが。しかし灰原哀にはそう見えていたのだった。
客席の不満と、僅かな下種な視線と言葉。
そんな言葉を封殺するように、玲子とコナンの視線が絡み、フッと笑って。
会場に強烈なストラディバリウスの音が響き渡った。
それだけで十分だった。
客席の声が止み、コナンが奏でるクロイツェルソナタの音が響く。
小さな少年ではとても弾けない、その高度な楽曲であるにも関わらず、コナンは完璧に弾く。
コナンの弾き方は教科書通りとはいえない。我流が強く、下手ではないが、超一流という訳でもない。
ただ、上手いのだ。
上手くて、玲子に捧げるような祈りが乗ったメロディーだった。
そして、そんな演奏に魂を吹き込んだのが、玲子であった。
玲子は歌う。
コナンの傍で。
昔の恋人と同じ安らぎを与えてくれるわけではない、しかしコナンはまた違う質の安寧と自信を、心地よさを与えてくれるから。
だから。
彼女はこの出会いに感謝して、その想いを歌にのせて奏でた。
結果的に、コンサートは上手くいった。
客はコナンの腕の良さにただ驚き、玲子との演奏に純粋に拍手を。
歩美たちはバイオリンを弾けるコナンにただ驚愕し、そして「すごーい!」と何度も称える。
マスコミはこの事態にこぞって嗅ぎ付け、玲子を囲む。
今回の勝手な事にどのように責任をとるのか、なぜコナンにしたのか、コナンとの関係は、などなど。
(あ〜あ、玲子さん・・・・・・怒るだろうな)
コナンはやれやれという表情をして玲子から離れようとして・・・・・・。
玲子に抱きかかえられた。
「観客は私たちの演奏に満足した。この子が信じられたから!」
「え、いや、ちょ」
「この子は私のお気に入りだから! 文句ある!?」
「お〜〜〜〜い・・・・・・」
翌日、秋庭玲子はショタコンの称号を手に入れ、コナンと2人のツーショットの絵が新聞を飾った。
そして、こんな言葉が踊ったのだった。
『KIDキラーの探偵少年、ホームズばりのバイオリニスト。秋庭玲子と20歳以上の年の差カップル』と。
珍しいカップリングかと。でも玲子とコナン、結構良いコンビでした。作者には2人が短時間ながらすごい信頼関係で結ばれていたように見えました。
短い内容ですが、楽しんでいただければ幸いです。
また、このカップリングが好きだという方や話がおもしろかったという方、感想を頂ければ、とても嬉しいです。
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