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始まりの場所

作者: ぱくどら

 久しぶりに会った友達らと食事をした時に思ったことです。

 始まりの場所は一緒だった。

 それを確信できるのは、今こうして彼女たちと昔の話をしているからだ。

 どの顔も昔の面影が残り、特別変わった者はいない。話し方や接し方、仕草が昔の私たちを思い出させてくれる。

 なんでもないことで笑い合えるのは、まだ私たちがどこかで繋がっているからこそだと思える。

 あれから何年も立った。久しぶりのはずなのに、ついこの間まではしゃいでいた姿が残像として残っている。


 始まりの場所。私たちが出会って、それぞれが道を進んでいった。

 幼さが残っていたあの時、あれからどう想像できただろう。

 大人びた彼女たちから出てくるのは、昔の話。なんでもなかったことなのに、懐かしく鮮明に思い出せる話。

 とめどない会話。誰かが口を開けば、誰かが話に乗る。そしてそれは輪を広げていき、気づけば当時と変わらない姿へと変化する。

 このなんでもない会話が当たり前だったはずなのに、それが今では貴重な時間へと変化している。


 始まりの場所。夢が大きく、何でも話していた私たち。

 今現在の話に及ぶと、現実を突きつけられたような気分へとなった。

 今でも夢を追いかけている者。無事これからの道を開けた者。ただ一緒にいたはずなのに、それぞれ道を精進している。

 私は、と思う。

 一緒にいた。あれから別れてからの道、一体なにがあった。彼女たちと私との差は一体なんだったのだろう。


 始まりの場所。かけがえのない思い出。

 どれが正解で間違いなのか。楽しい会話の中で、彼女たちは、私の思い出の中にいる彼女たちよりも、今より一層輝いて見えた。

 面影こそ残っていたが、彼女たちは思い出の中の彼女たちではなかった。それぞれ一生懸命で、胸を張り、成長していた。

 そんな彼女たちを見つめる私に、彼女たちは「大丈夫」と一言笑って言った。

 「大丈夫」彼女たちもまた、昔の私を見ていた。

 変わった者はいない、そう思った。だが、一番変わってしまったのは私自身かもしれない。


 「頑張る」私は笑って答えた。

 また始まるとめどない昔の会話。楽しい会話。なんでもない話、些細な話。どれをとっても楽しい会話へと変化する。

 一体何が違っていたのか。

 歩んできた道に後悔はしない。それなりの出会いもあれば、出来事もあった。

 それを話しても彼女たちは聞いてくれる。当時の面影のまま、私を認めてくれる。

 

 同じ場所にいた、始まりの場所。

 一緒の時を過ごした時間はかけがえのない宝物。

 それはこれから一生ない、繰り返すことのない宝物。この楽しい時間、彼女たちの会話さえも宝物と思える。

 彼女たちと私、何があっても揺るがない繋がりで、これからもそれぞれの道を進んでいく。

 先日、中学校の時のクラブ仲間と食事に行きました。7人いました。みんな中学校を卒業してから別れてしまいましたが、お互いのことを忘れてはいません。面影も雰囲気もそのまま。

 ですが、話を聞いているうちにそれぞれ自分の目標を持ち、その目標に向かって懸命に毎日を過ごしていることがわかりました。それを聞いたとき、自分は一体何をしているんだと思ったのです。今私は就活の身です。これからの人生を決める大事な時期です。なのに、自分のしたいことさえ曖昧。

 なのに友達たちはそれに向かって頑張っている。

 内定もらったどうのこうのではありません。

 その目標に向かって頑張っているということがものすごく羨ましいと思ったんです。外見こそ面影が残っているものの、内面は昔とは全然違っていたんです。

 ですが、そんなことは当たり前だと、思われるだろうし私もそう思います。

 あの同じ場所に立っていたのに、同じスタート地点だったはずなのに、と思ってしまう私。

 どうしようもなく、自分を愚かだと思う私。

 私の目から友達が成長したと思えるのなら、友達から見た私はどう映っていたのか。

 気になるのが本音ですが、まだ間に合う。

 友達が今頑張っているなら私も頑張れるはず。視点を変えれば物事も変わった見方へと変化するはずです。

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