十二話 一言の前に
「コナン君!!今日は、コナン君のお別れ会だから楽しんでね!!」
蘭が、俺に明るい声で言った。
「うん!!僕、すっごく嬉しいよ!!」
俺は子供っぽく言葉をかえす。みんな、笑顔だった。俺も自然と笑顔になった。
「え〜と、コナン君のお別れ会を始めるわよ!!まず始めに、コナン君に一言!!私が指名していった人から順番にコナン君に一言、言うのよ!!ほかの人は、食べたり話したり、好きなことをしててOKよ!!」
園子がマイクを使って大声でしゃべった。警察の人たちもいるのに、よくふつうの言葉遣いでしゃべれるよな。
っていうか、俺なんも食えねーじゃん。今日、まだ何も食ってねーのに。こうなりゃ、しょうがねー。あんまりやりたくねーけど。
「園子姉ちゃん!」
俺は園子のワンピースを軽く引っ張った。真さんと話してたから、悪いとは思ったけど、この調子でいくと、俺ずっとなんにも食えなそーだったから。
「何?ガキンチョ!」
園子は顔だけ俺の方に向けた。俺は、ものすごく子供っぽく言った。
「僕ね、起きてからなんにも食べてないんだ・・・・・。だから、何か食べたいんだけど、ダメ?」
園子は納得したような顔をした。
「そうね!じゃあ、コナン君に一言は三十分後からにしましょう!!」
母さんたちがいる前で子供っぽくしゃべったのは恥ずかしかったけど、空腹を我慢するよりはいーか。
俺は好きな料理をとって席に座った。そしたら、服部がニヤニヤしながらやってきた。さっきのこと、言われるな。俺は確信した。
「工藤、さっきあの姉ちゃんに話してた時の口調、高校生とは思えんかったで!」
服部は園子を指差しながら言った。俺は、チキンを食いながら答えた。
「しょーがねーだろ!!腹減ってたんだから!あのままいくと、俺ずっとなんにも食えなそーだったし!!」
「せやけどなー、工藤があんなかわいらしい声出すとはなー!!」
ったくよー。だからやりたくなかったんだ。からかわれるに決まってるからな。
「お前、和葉ちゃんいいのか?」
俺はわざと話をそらした。だけど、服部はまんまと引っかかってくれた。別にたいしたことじゃねーけどな。
「和葉か?和葉は姉ちゃんとこ行ったで!!」
服部は、和葉ちゃんを優しく見つめながら言った。俺は、いいかげん自分の気持ちに気づけよなと思った。ホント、服部って鈍いよな。
「コナン君!」
歩美、光彦、元太が声をそろえて俺を呼んだ。もちろん、歩美のとなりには灰原がいる。
「お前ら、どーしたんだ?」
俺は軽く笑いながらきくと、光彦が恥ずかしそうに答えた。
「コッコナン君と、今日でお別れですから、たくさん話したくて・・・・・。」
服部が俺のとなりにいるから、話しかけにくかったのか。俺は、服部に目であいずした。服部は、探偵やってるだけあって勘が鋭いから理解してくれた。
「そーやったそーやった。あのこと和葉に言わなあかんな!!」
服部がいきなり意味不明な発言をしたから探偵団のみんなは、不思議そうな顔をしてたけど俺は服部に話をあわせた。
「そうだよ、平次兄ちゃん!」
みんな、さらに不思議そうな顔をしていた。でも、俺はそんなの気にしないでいた。だって、不思議に思わない方がおかしいんだから。
「ところでお前ら、何も食わねーの?」
俺はなにくわぬ顔できいた。
「そうだな、食おうぜ!俺、腹ペコペコだぜ!」
元太が言うと、光彦と歩美もつづいた。
「そうですね!僕もおなかすいてきました!!」
「歩美も〜!!哀ちゃんは?」
灰原は軽く笑って答えてた。
「私はいいわ。そんなにおなかすいてないから。」
歩美は、そっかと言って光彦と元太と一緒に料理をとりに言った。
「話は何かしら。探偵さん?」
・・・・・何で俺の考えてることが分かったんだ?コイツ、本当に人間か?
「何で分かった?」
俺は、考えてることをそのまま言った。言ったら殺される、と思ったことは言わなかったけど。
「顔にでてるのよ。」
灰原があまりにも当たり前みたいな顔で言うから、本当に驚いた。マジでコイツは恐ろしい。
「俺に、睡眠薬飲ましただろ?」
俺は、遠まわしにせずはっきり言った。
「あら、ばれちゃった?」
いきなり笑顔になりやがった。俺はニ分間ぐらい一言もしゃべらなかった。正確には、固まってた。でも、歩美が戻ってきはじめてたから話を終わらせようと思って沈黙を破った。
「薬をそんなことに使っていいのかよ?」
灰原は笑顔のままだ。何をたくらんでるんだか。
「いいじゃない。蘭さんに頼まれたんだから。それに、貴方がなかなか飲んでくれないから蘭さんが口移しで飲ましたのよ。」
俺は顔が真っ赤になった。口移しって・・・・・・・・。その瞬間を歩美はみてたらしい。
「コナン君!どうしたの?真っ赤だよ。」
歩美は料理をテーブルに置いて駆け寄ってきた。
「なっ・・んでも・・ないよ!」
変な言い方になってた。自分でもはっきり分かった。
「嘘よ。」
灰原の一言で、俺は我に戻った。
「ふざけんなよ!」
灰原はクスッと笑って言葉をかえした。
「いいじゃない。でも、江戸川君も彼女が相手ならやるんじゃない?」
灰原は、そのあとに口パクで
「(ね、工藤君。)」
と付け足した。俺はさあなと言った。歩美は、彼女という言葉に反応したのか、一瞬悲しそうな顔をした。でも、すぐに開き直った。
「彼女って、コナン君の好きな人?歩美、会ってみたいな!!」
明るい声でそう言った。灰原は、いつか会えるわよと歩美に言っていた。元太と光彦も、料理をとって戻ってきた。俺たちは、色々なことを話した。
「みなさ〜ん!!コナン君に一言、を始めま〜す!最初は、歩美ちゃん!」
俺は、
『コナン君 元気でね』
と書かれたところの下に行った。歩美もあとをついてきてマイクをとった。 |