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中古系異世界へようこそ! 作者:高砂和正

2章 黒の猛禽たち

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39 蠢く者達

「ええ、元気ですよ。子猫かと思ってましたが、あれで成体なんですね」
「……ああ。そういう種だからな」
「しかしまあ、気性は少し苛烈ですね。幸い、良い方にですけど」
「……確かにな。それに――」

 冒険者役場のロビーで丘崎はベネットと雑談していた。
 話のネタは、「ベネットの家の近くに居た野良猫を連れた客が宿にやって来た」という、他人には分からない内容だった。

「……普段はどうしてる?」
「主にうちの女性陣と良くじゃれあっていますよ。それはもう、少々荒っぽくね」
「……なるほど、それは随分と逞しく鍛えられるだろうな」

 コミュ障、もとい孤高のソロとして知られるベネットだが、〈変り種〉と付き合いが有るのは割と有名で、そこの新人である丘崎が談笑しているのは最近では珍しく無い光景だった。

 だから、煙幕になる。

(左から3番目、そう、今の列の受付。『針』が刺さってました)

 ベネットと身内でしか分からない隠語混じりの話をしながら、丘崎が思念を発する。 

(あ、その受付職員か。たまに客と何か書いた紙とかこそこそ交換したりしてるって愛美が言ってたぞ)

 ベネットの思念だ。
 平時の一拍置いて話し始める癖は無く、口調もフランクな物になっている。
〈対界侵蝕〉で感応を行って初めて知ったが、こちらの方が素で、前世の話し方そのままなのだとか。

(この支部での〈鷹羽〉の末端でしょうかね)
(怖いよな。役場にまで食いこんでるってのは)
(そいじゃあ、最後の仕上げをして来るよぉ)

 返って来るのはニコラウスの間延びした思念。
 同じ空間に居るニコラウスだが、ベネットと丘崎の2人がいる卓は丁度衝立に仕切られて視界に入らない位置だ。
 部下と友人がいることに気付いていない風を装い、〈対界侵蝕〉で共有した視界を通じて丘崎から指示を受けている。
 丘崎の視線もベネットに向けられたまま動かない。

「――実はですね、名高い〈変り種〉の方々に是非受けて頂きたいという依頼が出ておりまして」
「へえぇ、いやぁ、悪名高い路線のうちがそんなに評価して頂けていたとはねぇ」
「そ、それは……、いえっ、本当です! み、みんなの憧れですよ? 最近は一部の攻略レコードを更新したなんて話も聞いてます!」
「ドゥフフフフッ、まぁじすかぁ?」
「ヒッ! き、きも……」
「オォオン!?」
「ひゃあああっ!?」

 受付嬢が対応しなければいけないことに付け込み、怪しい口調と態度で嫌がらせをするニコラウス。
 しかし、普段の行いが悪いおかげで変な目で見られてはいない。その上、面識の有る相手には故意の演技だとバレていた。
 結果、周囲はせいぜい「またお前か」「お前じゃなかったらどうしようかと」「まあお前だろうな」くらいの認識だった。
 例外的に身内の丘崎が羞恥心に苛まれていた程度だ。

(……ニコさん、何無駄に遊んでんですか)
(うひひぃ、さーせぇん)
(悪名高いのは割と事実だけどって何ぞ……)
(ァアンッ!? 何か文句あるのかなぁっ!?)
(ひぃっ、す、すいませんないですなんもないっす!)
(チンピラみたいなノリの思念でギルド外協力者脅すの止めてくださいよあんたは)

 凄んで見て、それに怯え、そしてキレるという三様の思念の動きを見せる。
 しかし、それらを一切表に出さずにニコラウスは受付から依頼受領の手続きを行い、丘崎とベネットは相変わらず談笑している振りを続けていた。
 とてもリアルタイムで何かを共謀しているとは思えない態度だった。

「いぃやぁああ、どぉ、うぅ、もぉ!」
「ご、御武運を……」

 いつもの胡散臭い笑顔に加えて、うっとおしいテンションで言うニコラウスに受付嬢が引きつった顔で返した。

(よし、受領したよぉ。2人ともおつかれぇ)
(了解、時間を置いてこちらも撤収します)
(……あの子ドン引きしてたな。東山さんビビらせすぎじゃないすか?)
(さぁてねぇ。彼女がどういう形での協力者かは知らないけど、「同情の余地が有るかどうか」を決めるのは僕じゃないしぃ?)
(うーむ……)
(積極的な共犯者じゃなかったなら……、まあにドブネズミに噛まれたとでも思って諦めてもらいましょ)
(おいオカ君、ドブネズミ扱いてどういうことかなぁ? そこは慣用句的に犬じゃない? いや僕は犬でもないけどね?)
(ニコさんに噛まれるといかにも調子が悪くなりそうですから)
(〈社畜〉のくせに上司への敬意は無いのかこらぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!)
(俺がそう名乗ってんじゃないぞてめぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!)

 馬鹿馬鹿しいやりとりを思念で行った後、ニコラウスは役場支所から出て行った。
 同じ空間にいながら、顔を合わせて会話することすらしないまま。といっても先程の言い合いが原因というわけではなく、周囲で監視している〈鷹羽〉末端に可能な限り思惑を悟られないためだ。
 丘崎の立ち位置からすれば、ニコラウスに声をかけに行くくらいはしても良いだろうが、幸い顔見知りの職員や冒険者たちは、

――あれは他人のふりしたくなっても仕方ない

 などと、むしろ同情的だった。

 ニコラウスが射程外に出た後、〈対界侵蝕〉の感応を最低限に落とす。
 丘崎の前にいるベネットは、わずかに肩から力の抜けた様子だった。
 戦闘等で臆したところは見たことが無いが、根は気の小さく、そして優しい男だ。一つの役目を果たして一息つけたというところだろう。

「それで猫連れて来た客なんですけど、当人は100歳超えてるって言う五精系でしてね」
「……ほう、肉体で言うと30過ぎか。連中でその歳まで冒険者をやるのは珍しいな」
「へえ、そうなんですか?」
「……長命な人種に顕著だが、この世界は先達が後続を潰すのを嫌う。肉体面では若くとも、社会のバランスを考慮して早期に引退するのが通例だ」
「そういえば、ほとんど見ませんね。長命な人種の30代以上は」
「……〈源世界〉の人類同様の寿命の基人系、さらに短命な獣相系には長くまでやるのも居るが、肉体年齢でせいぜい40までだな」

 口では何事も無かったかのように雑談を続けながら、ベネットの方は丘崎を観察していた。

(まだ、目に火がついたまま)

 平時通りを装ってはいるが、この半年間結構深いを付き合いをして来た仲だ。
 そこらへんの他人ならばともかく、ベネットは丘崎の気が未だ張り詰めたままであることが分かった。
 これから〈変り種〉が計画していることはベネットも大まかには知らされており、自身も協力者として参戦する予定なのだが、彼の教え子である丘崎とイルマはそれに乗じて何らかの動きをしようとしていることを察していた。

(何をしようと考えてるのかは分からんけど、無事に帰って来てくれよ……)

 ひっそりと、ベネットは思った。










「っあ゛あああああああああああああああっ!!」

 怒声と、肉を殴打する音がドア越しに届く。

「くそがっ! くそがっ! くそがああああああああああああっ!!」
「……ゃ、め゛、だずげぇ……」
「ぅるせぇえええっ!!」
「う゛ぁあ゛あ゛あ゛っ……!」

 憂さを晴らしているのだろう。
 痛めつけられているのだろう。
 向こうの光景が一瞬で想像出来てしまい、ウィケロタウロス最強を謳われる男、獣相系トラ人種の〈凶蛇〉ウェイヨン・ドロヴァンディは肩をすくめた。

 金と黒のまだらの短髪。
 丸いトラの偽耳殻。
 骨張った輪郭に、ぎょろりとした縦割れの虹彩の目が印象的だった。
 爬虫類型の他、ネコ系やキツネ系といった哺乳類の獣相系に見られる目の特徴だが、彼のそれは前者を思わせる物であり、あだ名の由来になっている。
 2メートルを超える長身で、特注サイズの執事服を纏った出で立ちだが、同程度の背丈のベネットに比べると細く見える。
 筋肉も相応についているが、見る者にはマッチョな硬質さよりも獣相系特有のしなやかな攻撃性を感じさせられるシルエットだった。

(既に|供〈・〉|給〈・〉が難しくなっているのだ。せっかく調達したのだから長持ちさせて頂かねば困るのだがな)

 ドアの向こうにいる主人の嫡男、マーティンに対して呆れと諦めを混ぜたような気分になった。
 己の弟子とも言える少年の癇癪の犠牲になっている者への同情も、罪悪感も無い。
 ただ、デヴォニッシュ家に対する目が厳しくなった現状での、壊れた玩具の補充が手間であることだけが彼の懸念であった。

(やれやれ。雌も玩具も、漢たるもの自前で狩れるように戻ってもらわねばいかんな。そのためには……)

 ほんの二ヶ月ほど前はマーティンの自由は保障されていた。
 それが今は害されている。

(馬鹿げた話だ)

 マーティンの人権が侵害されるなど、許される話ではない。
 守られて当然の権利なのだ。
 ふつふつと湧き上がる義憤の情で、ウェイヨンの額に深く皺が寄っていた。
 害したのは〈変り種〉なる零細ギルド。

(哲兄さんや、マー坊の前に立ち塞がる……。何故だ? どうして優れた者の支配を受け入れない?)

 自身の経験からすれば、彼の師にして恩人でもある主人、金子哲久とその伴侶であるエリザベス・デヴォニッシュは常に正しかった。
 豊富な〈源世界〉の知識。この世界の甘ったれた綺麗事を無視できる冷徹で正しい思考力。全てがこの世界を支配するにふさわしいとウェイヨンは思った。

 そして、ふと自身とデヴォニッシュ家との関わりが始まった時のことを思い返す。
 あの2人が、両親を殺され、孤児となった幼い頃のウェイヨンを拾い上げてくれた日の事を今でも覚えている。
 帰宅すると荒らされた我が家、当時は分からなかったが明らかに甚振られて死んだ父、穢され、首を折られた母。
 現場にいたのは、助けを呼ぶ声を聞いて駆けつけたのだという金子とエリザベスだけだった。
 下手人は既に去っており、呆然としていた自身を2人が保護してくれたのだ。
 それ以来、ウェイヨンはデヴォニッシュ夫妻の弟分として冒険者となり、多くの功績を残した後引退。 今では夫妻の護衛や子の教育係といった役目を果たしている。

「ドロヴァンディ殿」

 背後から声をかけられた。
 振り向いた先にいたのは、基人系の見慣れた老執事だった。

「執事長か。何か用か?」
「釣れたそうです」

 主語も目的語も廃して老人は言う。
 しかし、それでウェイヨンには全て伝わった。

「ほう。やはり間抜けだな。世に居る冒険者なんて程度の低い者ばかりだ」
「それは、甘く見すぎではないですか?」
「昔奥様がそう仰っていたのだ。何だ? 奥様の御言葉に間違いが存在するとでも?」
「い、いえ、そうではないのですが」
「執事長は当家の分家筋だと聞いている。なら分かるだろう? 俺は幸いにも旦那様に拾い上げて頂き、結果を出せた。恐れ多いとは思うが、俺にもどこかで〈源世界〉由来の血統が混ざっていたに違いない」
「……」
「所詮この世界は〈源世界〉の力で成り立っているに過ぎない。有象無象の劣等共がどう足掻こうが、正統なる縁を受け継ぐ我々に敵う筈が無いだろうが」
「……そうですな」
「何、化け物共も利用してすり潰すんだ。心配要らんよ」

 ウェイヨンは嗤った。
 自身と自身が認めるもの以外の全てを嘲笑う表情だった。

「旦那様と奥様が御戻りになられる日が決行日だ。〈変り種〉の雑魚共には良い報告をするための贄となってもらう」










「はあっ!」

 テノールの美声と共に黒い指先が矢羽から離れ、コンマ1秒のラグも無くターゲットである巨大ガエルの頭部が弾け飛んだ。
 為したのは黒い肌に銀髪の美青年。ウノ・イェーガー。
 ここが薄暗い洞窟型魔窟の中で有る事を忘れるほどに余裕有る弓道風の残心だった。
 矢を放った弓は、主である青年に似て芸術品のような装飾がされていた。金と銀に光る武装型PA、〈烈光弓〉だ。
 放つ矢を全て亜光速で飛翔させる効果が有り、何故かその速度で威力は向上しないが、大気の状況等を無視して完全な直線軌道で矢を放てるようになるのだ。
 それと黒精人種ダークエルフの人種特性も合わさって、常人では困難な正確無比な射撃を実現させていた。

(嗚呼……、素敵……)

 その様子を見て、ウノの幼馴染で恋人の一人であるデリア・リリーホワイトは頬を染めていた。
 何時見ても、何時まで見ていても飽きない。 
 そんなことを彼女が思っていると、

「よしっ! ……ちょっとデリア。治癒っ!」

 前衛で魔物を掃討していたホンファ・セミナーティが戻ってくる。
 大きなものは無いようだが、所々に小傷を受けていた。

「……ええ、まかせて。〈キュア〉」

 要望に応えて治癒神令(コマンド)を唱える。
 双方、少々つっけんどんな声色だった。互いを見る眼も笑っていない。

「よし、少し休もうか」
「はぁい!」
「ウノ兄さん、すぐ済ませるからちょっと待ってね」

 満面の笑みでデリアとホンファが応えた。
 ちなみに、デリアはウノを兄と呼ぶが血が繋がっている訳ではない。幼い頃にしつこくそう呼んで欲しいと言われたことが元だった。
 ウノは2人の険悪な雰囲気には気付かず、治癒の時間を取るべく近くに座って待つ。
 目は閉じ、口元に不敵な笑みを浮かべながら〈烈光弓〉を抱きかかえるようなポーズで休むウノの姿は、当人の美貌も有って中々様になる物だった。
 デリアとホンファは数秒の間、その絵画のような光景を見ていたが、ウノの視線が無くなったことも有ってお互いにキツイ表情と視線を交し合った。
 3人は皆幼馴染でありパーティメンバーだ。その中では特に集団戦に長けた素質を持つ者は居なかったが、しっかりした役割分担が出来ており付き合いの長さによる慣れと経験から中々悪くない連携をするパーティは見られている。
 表向き深く関わる者が少ないので、周囲は幼馴染だと聞くとウノを巡る緩い三角関係だろうかと生暖かい眼で見る程度の認識である。
 裏の顔である〈鷹羽〉首脳部だということが知られれば、そのままの評価では無くなるだろうが。

「……治癒の速度おっそ。とっとと治しなさいよ。役立たず貧乳」
「ふん、この程度の場所で力不足で被弾しといて偉そうにしないで。脳筋デブの分際で」

 悪意に塗れた凄絶な表情でひっそりと罵り合った。
 ウノには決して見せない表情と聞かせない声、万一眼を開けられても見づらい角度でだ。
 2人はウノに気づかれないようにお互いを攻撃し合えるタイミングの把握に長けていた。
 デリアとホンファの2人はウノを巡って揺るいとは言えないレベルで争う恋敵の関係だった。

 ウノは2人とも既に「自分の女」だという認識でいるのに加え、2人が自分が出会う前は親友同士だったことを知る先入観も有るだろう。
 が、この世界でも〈源世界〉でも、男の大多数が女の大多数より相対的に鈍い傾向が有ることは変わらない。
 2人の態度も気安さ故の物だろうと軽視している裏で、女同士の争いが静かに激化していることを理解していなかった。
 幼少期から彼らを観察していたトゥレスからすれば、一時期は十数人はハーレム要員を確保していたのが年月と共に脱落していった、もといデリアとホンファに蹴落とされていったことに気付かないのが不思議だったが。

「ウノ兄さん、終わったわ」

 デリアが満開の華のような笑顔を向けて言うと、ウノは眼を開いて緩く頷き立ち上がる。

「よし、進もう」

 探索の再開を宣言し、3人は歩き始める。
 出会う魔物をその都度殲滅し、雑談を交えながら。
 話すネタを考えていたデリアは、ふとあることを思い出す。

「所で、この間裏切り者を追ってたら〈とんび〉が居たとか言ってたっけ」

 聞くと、ウノとホンファの顔が少し強張る。
 ウノがわざとらしく見える溜息を吐いた。

「……ああ、反撃して来るかと思ったけど、相変わらず逃げ脚だけは達者でね。逃してしまった。いや、情けない弟で恥ずかしいよ」
「というか、本当にまだウィケロに居たんだって思いますよ。あの男のみすぼらしさならウノ兄さんとの関係に気付く人が出て来ないのも仕方ないですし、大人しくしてるならどうでも良いと思いますけど」
「ああ、潔く消えてくれないなら、仕方ないね」

 痛ましいことだ、とでも言いた気にウノがぼやいて見せると、それを冗談だと直ぐに分かってデリアとホンファは微笑んだ。

「裏切ったっていうのは?」
「……何だったか、黄精人種(ノーミィ)なのは覚えてるんだけど」
「3番隊にいたスロット2のイルマよ。名字は調べないと思い出せないわね。2人でアレが情報を流してた〈変り種〉のところに隠れたみたいよ。まあ、何時までも引き篭もっちゃいられないだろうし、出てきたら即潰すのが無難よね」
「そうだね。ここの所邪魔してくれた〈変り種〉の方はデヴォニッシュの〈凶蛇〉が潰しにかかってるらしい」
「! 〈凶蛇〉ってウェイヨン・ドロヴァンディ!? うわぁ、連中皆ミンチにされるわよ。かっわいそぉ♪」
「だろうね。そう遠い話でもないだろうし、丁度良い機会だ。〈とんび〉とイルマは俺達できっちりやろう」
「私たちの邪魔をした者への見せしめにも出来わね。ウノ兄さん」

 デリアが言うと、3人は笑った。
 内容の禍々しさに似合わない、とても楽しげで朗らかな声で。

「俺は、俺達は、この世界で自由に生きて見せる。そのためには俺を目立たせたりしようとする邪魔者は、潰す」

 ウノが宙を見ながらぽつぽつと言う。
 デリアとホンファはそれを眩しい物でも見るかのような眼で見つめていた。
 幼い頃からウノが言い続けていた事だ。
 異世界のルールに縛られず、力を付け、しかし注目を受けることは避けて、幸せに生きる、ということ。
 諜報ギルド〈鷹羽〉とその活動は、それを実現するための物。
 彼の恋人であるデリアとホンファはずっとその夢を聞かされて育ち、ウノと2人でそうやって生きていくことを自らも夢としていた。

「ギルドを作って以来、使い捨てれる兵隊は結構手に入ったけど、本当の仲間は俺には2人だけだ。2人とも、頼りにしてるよ」

 爽やかに微笑んでウノが言うと、デリアとホンファは感極まってかウノに抱きついた。

(さあ、トゥレス……。今まではこの世界における兄弟の情けで見逃してやってたけど、今回の事でほとほと愛想が尽きたよ。ストレスの原因は、主人公の邪魔をし過ぎる胸糞キャラは、息の根まで止めてスッキリさせてもらう。〈源世界〉で読んだ数々の良作のようにね……!〉

 身体を押し付けるようにして来る2人の感触で幸福感に満たされながらウノは思った。 
 しかし、ウノに見えない角度で互いを拳と杖でぐりぐり痛めつけようとする2人には、やはり気が付く事は無かった。
+注意+
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