四匹目! 光と闇のダブルヒロイン!
教室に着き、ひとまず真白さんを布団の上に横にした。
僕がしたのは布団を用意するところまで。後は全て栗色の髪の女子がやってくれた。
僕は真白さんに寄り添うその子の背を、上から見ていた。
名前、何て言うんだろう?
その子は僕と同じで背が小さかった。
だからってわけじゃないけど、何となく親近感が湧いていた。
仲良くなりたいなあ。
僕とその子が真白さんの介護をしている間にも、山中先生が女子の人達に教室の説明をしていた。
僕らは事前に聞いているので知っているけど、ここと同じ空っぽの教室が他に九つある。
その九つの教室を寝室とし、同時にグループの部屋になる。
グループは男女を合わせるようだ。……何故だろう。女子の非難の声が聞こえてくる。
案の定、やっぱり女子の人達は揃って非難の声を上げていた。対照的に男子は歓喜の声を上げている。
「ありがとうね−」
背後から明るい声が届いた。
僕は後ろを振り返った。
「えっ、ああ……うん」
おお−!
今、話した!
女子の話せたぞ−!
僕は心の中で涙を流しながら渾身のガッツポーズを繰り返していた。
なんと、僕に話しかけてくれたのは、密かに気になっていた栗色の髪の女子だった。
僕は嬉しさのあまり良い返事をできなかった。
せっかく仲良くなれるチャンスだったのに。
「名前何て言うの?」
またもや向こうから話をかけてきてくれた。しかも話題まで振ってくれた。ありがたい。
たぶん、教室でグループ決めの話をしていたからだと思う。
グループは出席番号順だから、名字の行によって決まる。
僕の場合、名字が都築なので、た行の人とグループになる。
こういった感じにグループが決まるので、きっと名前が気になったんだと思う。
「都築裕二だよ」
「すずき?」
「あっ、つづき……」
ちゃんと言ったつもりなんだけど……どうやら声が聞き取りづらかったようだ。女子と会話するなんて慣れていないからなあ。
「都築クンか−、ゴメンね。私は朱鷺沢るる。同じグループだね」
彼女は朱鷺沢さんというようだ。るるなんて珍しい名前してるなあ。
「あ、うん。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね」
朱鷺沢さんが笑顔で返してくれた。こういう積極的に話しかけてくれる人がいると本当に助かる。
調子に乗って別の話題を振ろうとしたけど、
「よし、じゃあ早速、班に分かれて畑に行ってください。夕御飯の材料を採ります」
どうやらまた後になりそうだ。
僕らは基本的に自給自足で生活を送っている。
農業はそのための必要な作業だ。
「高嶺さんもグループ同じだね」
ぞろぞろとみんなが移動をし始める中、朱鷺沢さんが別の女子と話していた。
あの子は……僕が最初に目に入った。
高嶺さんって言うんだ……。
「畑仕事頑張ろうね−」
「…………」
高嶺さんは何も答えなかった。
というより、凄んだ目で朱鷺沢さんを睨み付けていた。コ、コワい……。
「センセー、私、柊さんの付き添いしま−す」
高嶺さんが町中先生にそう言うと、扉の手前で町中先生が後ろを振り返り、
「そうか。そうだな。じゃあ、高嶺に頼む」
高嶺さんが笑顔でみんなを見送っていた。僕にはそれが愛想笑いのように見えた。
「と、いうわけだから−」
高嶺さんは朱鷺沢さんの肩を軽く叩き、
「畑仕事、頑張ってね」
真白さんから遠く離れた、教室の隅っこに腰を下ろした。
「わかった! 行こう! 都築クン!」
「えっ、うん……」
明らかに高嶺さんが真白さんの介護をする気には見えなかった。大丈夫なのかな。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。