三十九匹目! みんなで一緒に
「お、おい!? 朱鷺沢から猫耳が生えてるぞ……!?」
「グ、グッズだよ。……たぶん」
朱鷺沢さんはその場にしゃがんで頭を隠していた。
僕が、僕が告白なんかしたせいで、朱鷺沢さんは……。
「っ!」
僕は駆け出した。
「朱鷺沢さん! こっち!」
手を伸ばして、朱鷺沢さんの手を掴んで、一緒に走り出した。
逃げるしかなかった。
逃げてどうなるものでないことは分かっていても、少しでも人目から離れれば、もしかしたら大丈夫だなんて――思うしかできなかった。
「どうしよう!? 都築クン! 私、みんなに正体見つかっちゃったよぉ!」
「大丈夫! 後でみんなに見なかったことにしてって頼み込むから」
そうだ。旧校舎の裏側だ。あそこに逃げよう。
「駄目なんだよ!」
朱鷺沢さんの手が離れて、僕らは、二つの校舎を跨ぐ形で立っていた。
「朱鷺沢さん……?」
「ここに来る時、鈴を飲まされてきたから」
「す、鈴? それが鳴ると、ま、まずいの?」
「うん……。鈴が鳴ると村長に伝わって……。それが見つかった合図なんだ……」
もう、どうしようもなかった。
「……村長が来たら、もう、私……」
「……とにかく、その村長にも見つからない為にも隠れよう?」
朱鷺沢さんは静かに頷いた。
僕の知っている、元気な朱鷺沢さんはいなかった。
シューズのまま、夜道を歩いて旧校舎の裏側に回った。
懐かしい……高嶺さんと仲良くなれたのも、ここからだ。
「……」
ただ身を寄せ合って、それが無意味なことだと分かっていても、僕らは隠れた。
「……」
朱鷺沢さんが震えていた。
恐いんだ。僕が何とかしてあげないと。
「……さっき言ったこと」
「!」
「あれ、嘘じゃないからね。僕、朱鷺沢さんのことがずっと好きだったんだ」
「……わ、私も!」
「――っ。一緒だね」
「うん!」
朱鷺沢さんの震えが止まった。良かった……。
「――お邪魔だったか」
そこには高嶺さんがいた。
「高嶺さん……!?」
「話はつけておいた。だから安心しろ、朱鷺沢」
――私達がお前を守ってやる。
高嶺さんの後ろには、沢山の――クラスメート全員がずらりと並んでいた。
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