最近不調なので、気分転換のため書いた物語です。悪魔と同じく不定期更新になるかと。
あ、ちなみにいきなり15Rなのでお気をつけを。ちょっと自分で書いててかなりヤバいですo(T□T)oまあ、キャラなのでどうか目を瞑って下さいませm(__)m
第一項 結婚すべしっ!!
――4月7日。
新学期が始まった。始業式も無事に終わり、高校生活最後の年をどうやってエンジョイしてやろうか友達と語り合う平凡な日々。
そんな日常を繰り返すなか、この日は俺にとって記念日とも言える日付だ。いや、俺と同じ状況なら、世界中の人間がちょっとだけ成長した気分になれるだろう。
4月7日、この日は俺が生まれてから18回目の誕生日。この歳になって祝ってくれるほどの親ばかは居ず、もちろん彼女なんて居ない歴18年だ。
周りから少し変わってると言われている俺も例外ではなく、朝起きたら「はあ、もう18か……」なんて思うだろう。否! 思うはずだった。
――なのに、なんだコレは? 夢オチか? 新手のドッキリだろうか? それとも寝てる間に宇宙人に拐われて、変な実験でもされてるんだろうか……。
「……」
プニッと自分のほっぺたをつねってみるが、ヒリリと痛むだけ。これで夢オチの可能性は無くなった。宇宙人の実験なら――まあ、生きてはいないだろう。
寝起きのせいか、頭が混乱してる。幻覚に幻聴がその証拠だ。
「どうかなさいました?」
「いや、別に。お構いなく……」
ニコニコと幸せ一杯の笑顔を見せてくれる、美少女の名に相応しい女の子が、俺の部屋にあるちゃぶ台越しに座っている。もちろん、幻覚だ。幻覚のはずだ。
だって、こんなに可愛い子がこの世に居るとは思えない。つーか俺の部屋に居て、俺に微笑みかけてるのが信じられれない。シンジラレナイヨー。
くせっ毛のある金髪のロングヘアー。吸い込まれそうなほど深みのある蒼い瞳。髪や目は西洋人なのに、顔立ちは幼く日本人形のように儚い。
包まれるようなソプラノが、全神経を癒してくれる。まさに男子垂涎モノの少女だろう。
一方の俺は適当におろしてるだけの黒髪、目付きが悪い、仕草がなんか不良っぽい、微妙に変な人、カッコいいと普通の間くらい、バカになりきれてないバカ。などなど、どれもこれも微妙な男子学生。
名前は、えっと……ダメだ、脳が上手く働いてない。
あ〜、穂村悠とか言う名前だったような気がする。おおう、今18にして自らの名前を忘れるほどの混乱を強いられているっ。
現実から目を逸らし続けていた事実だが、今をもって向き合う事にしよう。なんか知らんがロープでミノムシみたいにされている。手首から先と首のみが自由、つーかそれしか動かせないなら自由じゃないか。
「早く判を押して下さいな?」
「……なあ、俺にはこれが婚姻届に見えるんだが幻覚か? 幻覚だよな? 精神科行ってくるから縄ほどいてくんない?」
「ええ、お好きなように。でも――」
少女は言葉を一旦飲み込んで、再び微笑む。
「はやく判を押してほしいな?」
こくん、と小首をかしげて世界中の野郎どもが泣いて喜ぶ魔の上目遣いで、甘えるようにおねだりをしてくる。
「お、おう……」
ま、悪い気はしないし逆らう気なんて微塵もなく、しかも幻覚である為軽い気持ちでサインした。何故他の項目が全て埋まってるのかは置いておこう。
それより早く、病院に行かなくては――。
「ふふ、ふふふっ。えへへ〜」
少女は薄っぺらな紙を宝物のように胸に抱き締めた。
な、なんだ……?
婚姻届の裏に、小さな紙がくっついていた。アレはそう、上から書くと下に敷いた紙にも同じ文字が写るってやつだ。
ではなんの為に――?
そんなの考えたって無駄って事はわかりきってるから、速攻で中断して、縄をほどいてもらうべく少女に声を掛けた。
「なあ、そろそろ――」
間違えた、かけようとしたんだ。
「愛しています、悠さま……」
「な――っ」
あろうことか、少女はちゃぶ台に身を乗り出して高校生らしからぬ熱烈なキッスをしてきたのだ。
「んっ、ちゅ――」
「……」
されるがままとはこの事だ。もし身体が自由に動けたとしても、口内をうごめく艷めかしい存在にピクリとも出来なかっただろう。
「んん、あふ、ちゅぶ――」
パチパチと秒速30回くらいのスピードで瞬きしても、鼻先って言うか口が完全に密着……どころか合体して、しかも目を閉じて頬を紅潮させ、必死にねぶる少女の姿は消えない。
「――んちゅ、ふあ、んん〜」
――つーかさ。
「――んふう、ちゅる、んちゅ」
長いんだよねー。いつまでやってんだよこいつは? そりゃいくら幻覚とは言えど、こんな可愛い奴にキスされたら嬉しいけどよ。
幻覚のクセに発情してんじゃねえぞ、可愛いくせにっ。
あ、自分で言ってて意味わかんないや。
「ふあっ、んんっ、ぢちゅ――」
なんかもう。
「んくっ、ちゅ、んちゅ――」
いい加減にしてほしいんだが。まだ終わんないのか? そろそろ顎疲れてきたし、いやまあ必死な姿はスッゴく可愛いだけど。
「んっ、あふ、ちゅっ――」
動けないからどうしようもないし、彼女からやめてくれるまで舌を噛むという野蛮窮まりない方法しかない。故に、悪に染まるかこのまま幻覚少女の暴走を受け止めるか。
どっちも無理そうなんですが……。
「ちゅぶっ、はんっ、んあ――」
舌の感覚無いっつーのに、お相手は悩ましい吐息が漏れてるし。どーしたもんかなあ。
早く消えてくんねェかなこの幻覚。いや、しかし少し惜しい気も。こんな状況俺みたいのには一生無いだろうし。悩む、悩むな。遠足に持っていくお菓子を買うとき、最後の30円がどうしても決まらない時くらいに悩むな。
「ちちゅ、んちゃ……ぷはっ」
お、やっと終わったか?
つつーっと唾液が糸をはり、ぷつっと切れるのと同時に少女が目を開ける。荒く、熱い息を吐きながら潤んだ瞳で俺を見上げた。
「もういっはいいいへふか?」
呂律が回ってなくても、意味がわかったからぶんぶんと首を横に振る。
「らめに決まってんらろうがっ」
ちくしょう、俺まで変な喋り方になってんじゃねえかよっ。
「……けち」
もう意味がわかんなかった……。
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