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きれいなハート型のなにか。
作:夕焼け


きれいなハート型のなにかを探してる。

ぼくは科学者じゃないから、それがどういった物質で出来てるのかを知らない。

ぼくは考古学者じゃないから、それがどういった成り立ちで生まれたのかを知らない。

でもそれは多分結構昔からこの世界にあって、
顕微鏡で見えないくらい小さい何かで出来てる。

とてもささやかで、とても原初的。

「夕焼けの色が本当の世界の色だったなら、
何よりも先に子供達にそのことを知らせてやらなきゃならない」

そんなことを歌ってたバンドがある。

夕焼けの色が本当の世界の色だなんて、
多分1+1が2になるよりも確かな事実だ。

ぼくたちが子供達に教えてあげなくちゃならないのは、
多分そうゆう事なんだろう。

それは教科書には載ってないし、
偉い学者さんも教えてはくれない。

日中の太陽光の中では見えない何か。
夜の暗闇の中では見えない何か。
そんなものを暴き出す夕焼けの赤。

線路を跨ぐ寂れた歩道橋があって、そこから見渡せる街の影に夕日がゆっくり沈む。
多分ニュータウンだ。
ぼくはその街を知ってる。
とてもよく、知ってる。

近くの家から夕飯のシチューの匂いがして、
木枯らしが冷たく吹いて、
その風にのって子供達のはしゃぐ声が聞こえる。

夕焼け。

ふと、ハートがなにかを感じる。
ちいさななにか。
親指と人差し指の間に挟んでほんの少し力を込めれば容易く潰せちゃうなにか。
でも、きっと核兵器なんかじゃ壊せない何か。

ぼくはそうゆうものを今日も探してる。

今まで何個も見つけたけど、まだまだ足りない。
それをたくさんたくさん集めれば多分奇跡が起きる。
だって、世界はあらゆるものの総和で出来てるから。
たくさんの願いが集まればきっと奇跡は起きる。
ピタゴラスの定理より簡単な理屈だ。
だからぼくはその奇跡が起こるほうにありったけのチップを賭ける。


馬鹿みたいなゲーム。

こんな浅はかな考えで何かが変わるなら、きっと世界なんてとっくに平和になってる。
そうはならない事情と経緯がいくつも折り重なって現状がある。
この賭けはどう考えたって分が悪い。
よく分かってる。

けど、子供じみたこの下らないゲームに人生を賭けて大損こく覚悟ならもう出来てる。



きれいなハート型のなにか。

六本木の高層ビルを買えるくらいのはした金じゃ買えないから、
ぼくは今日も目を凝らしてそれを探す。














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