11.溢れ出す想い
「・・・そんなこと言わんといて」
静まり返ってしまった場所に、和葉の小さな声が響き渡る。
「和葉ちゃん?」
突然の和葉の声に驚いた蘭。
和葉は違う方向を見ている。
視線を追うと、その声は涼子に向けられていた。
涼子も、初めて見る少女が自分に話しかけていることに気づく。
「・・・・・もう、やめて。・・・それ以上、涼子さんのほんとの気持ちじゃないことなんて・・・言わんといて・・・」
「・・・・・お母ちゃんの顔、見たくないなんて・・言わんといて・・・・」
段々震える声に、皆、和葉に何も言えず見ている。
土井さえも何も言えず、涼子を捕らえたまま和葉から目が離せない。
「・・・もし・・お母ちゃんが・・・ほんまに・・・おらんくなったら・・・・どないするの?・・・・」
「お母ちゃんが・・・死んでしもうたら・・・もう・・もう二度と・・・会えんのやで・・・」
「・・・・和葉ちゃん。」
蘭はついに涙を零した和葉の右手を握る。
そして、自分も涙が溢れてくる。
「・・・二度と・・あたしに話しかけてくれへん・・・・」
「・・・二度と・・・あたしの髪を結うてくれへん・・」
「・・二度と・・・・触れられんのやで・・」
「・・・ずっと・・・ずっと・・・傍におってほしかったのに・・・」
「・・・和葉姉ちゃん。」
コナンも傍にやって来る。
そして、蘭の握っていない方の手を握る。
「・・・ずっと・・・思ってた・・・さみしい・・・お母ちゃん・・・おかあちゃん!!」
「・・・会いたい!!・・会いたいんや・・・お母ちゃんに『かずは』って・・・呼んでほしいんや!!!」
「・・・・もう・・・いちど・・・・会いたいのに!!!お母ちゃんは・・・おかあちゃ」
「和葉。」
平次は蘭とコナンのように傍に来ず、その場で立ち尽くしてじっと和葉の言葉を聞いていた。
涼子へ伝えていた言葉が、いつしか和葉が隠し続けていた想いへと変わっていく。
叫ぶように話し続ける和葉を、平次は傍へ行き、ただ抱きしめる。
「和葉・・・和葉。」
蘭とコナンも手は離さないまま、握る力を強める。
「和葉・・・和葉・・・・和葉。」
呪文のように、ただ和葉の名を呼び続ける。
「・・・へ・・・い・・じ。」
大丈夫や。
俺がおるやろ。
和葉。
落ち着け。
俺、言うたやろ。
名前しか呼ばれてないのに、平次から伝わってくる想い。
「・・・・和葉。」
俺、言うたやろ?
俺が絶対に和葉を救い出したるから。
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