春にさよなら
はじめての土地で
最初の店で食べるごはんは
いつも少し悲しい味がする
今日からは見知らぬまち
知らないにおいの風の中
あの日
キミは花の中にうずもれてた
その前日、この膝の上にいて
その前日は庭の緑の風の中
こちらに背中を向けたまま
目元までいつでも涙がたまってる私に話しかけてた
「もうすぐおわかれよ、用意はいい?」
私はこの土地とお別れ
キミは
もうじき
この世界と
夜の闇と親しむように
花韮の白色をかじるように
ティーバッグを枕にまどろむように
そんな風にキミは別れを受け入れてきたのかな
愛し愛されてきた記憶をたどりながら
やせ細った君の背中
暮れていく空
どこを見上げても
涙が止まらなくて
一週間前
キミは花に埋もれてた
別れの瞬間より
ただその記憶しかなくて
最後の時の溜息のような声と美しい瞳
空に昇って行った一筋の煙
愛し愛された7年間
キミはいつも美しかった
いつか行くから
キミの行った場所へ
必ず行くから
今はただこの言葉だけ
ありがとう
愛してる
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