24話 最強の武器
「何だって?」
任務の報告にあがったイエロ・ティグレの一人の報告を聞いてイスラーグは驚愕の表情を浮かべた。
「あんなに人員を配置しといて、任務は失敗だって? 馬鹿いうんじゃない。余りが出てもおかしくないはずだよ」
「それがですね……ジェラール大佐」
そういうとイエロ・ティグレの一味はイスラーグに向かってひそひそと耳打ちをくわえた。
最初こそイスラーグはその言葉を冷静に聞いてはいたが話の顛末が進むうちに彼の表情は怒りと驚きでみるみる表情が崩れていった。
──まさか、そんなはずはない。
彼の報告を一生懸命否定しようとする脳が自然と働くのをイスラーグは感じた。
だが、夕闇の中、教会方面で上がったあの真っ黒な火柱──ほんの少しながらあの不気味な姿を窓から見てしまったイスラーグにはそれを事実であると受け入れるほかなかったのだ。
「でも、信じられないね……」
イスラーグは冷静を装いながらゆっくりとした口調で一言呟いた。
「まさかあのレヴィが君たちの部隊を一撃で殲滅するような力が存在したなんて──まあ、あの人の血を受け継いでいるだけはあるね」
「あの人──とは?」
その言葉に反応したイエロ・ティグレの一人をイスラーグは冷たい瞳でキッとにらみつけた。まるで余計なことは言うなと言わんばかりに。
その様子を見てイエロ・ティグレの一人はそれ以上の詮索をするのはやめて黙り込んだ。
「しかし、僕も馬鹿なことをしたものだ……」
そう言うとイスラーグは闇に染まった窓の外を眺めた。
「稀に見る高い魔力を持つ逸材であるレヴィを一度は捨てかけたなんて本当に愚かだった。彼に利用価値はない──? 馬鹿なことを言うな。彼はまだまだ使える暗殺魔法士ではないか」
イスラーグはそうぶつぶつと独り言を呟くと不気味な笑みを窓越しに映して見せた。
主である自分に大損害を与えた後、彼がどう動くかはまだ見えないがどちらにしろ自分と決着をつけに来ることは確かだ。
その時──彼がどの道を選ぶかは彼次第。だけど、僕は彼を放すわけにはいかない。
誰よりも負けない鋭さと誰よりも利用価値のある最強の武器をそうやすやすと手放すわけにはいかないのだ──
久世さくらのはげみになります!
暗殺魔法士に拍手!
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