14話 イスラーグの制裁
「本当に──すいませんでしたッ!」
ちりちりに焦げてしまった頭を床にひれ伏せながらディアスは大きな部屋中に響き渡る大声で許しを乞うた。
しかし彼の土下座を遥か高いところから見下ろすように眺めていたイスラーグの表情はまったく持って変わらない。
憤慨もなく落胆もなく──ただ冷たく彼を眺めているだけだった。
「まさか──まさか、あの娘があんな強い魔血だなんて……思いもしませんでした。それに関しては俺にも落ち度があったと思います」
「つまり、君たちは油断していたって事だろう?」
「───」
イスラーグの適切なその指摘にディアスは思わず絶句した。
彼の目の前にはもはや絶望の闇がちらついている。だけど、どうにかしてそこから逃げ出そうとディアスは当てつけに近い言い訳を喚き始めた。
「でも、もし相手が凄い魔法使いだってわかっていたら俺たちにももっと選択の余地があったかもしれない。あなたのご希望通り無傷に連れてくることは無理かもしれないけど、一矢報えたかもしれない。それに──」
「それに?」
その一言にディアスは一瞬言うのをためらいそうになったが、すぐにイスラーグをまっすぐ見据えて言った。
「レヴィが助けてくれなかったんですよ! アイツさえ本気になればあんな小娘だって簡単に制圧できただろうに」
「へえ……レヴィがねえ」
その一言にイスラーグは興味深そうに頷いた。
「なあ、大佐。俺だけじゃなくてアイツにもなにか罰をやってもいいんじゃないのか!? あいつ俺の任務を邪魔したんだぜ? 魔法で俺を眠らせたんだぜ? あんたのギルドの不利益になる行動を起こしたんだぜ? そんなアイツがお咎め無しで俺だけこんな責められるなんておかしくありませんかい──!?」
「そうだなあ」
そういうとイスラーグはディアスに背を向けてひとつ考え込んだ。
「君の言ってることが正しければ、レヴィにも何かしらのペナルティがあってもしかたがないかもね」
「ね、ね! そうでしょう!」
「でも、残念だったね」
イスラーグのその冷たい一言を言った瞬間、ディアスの身体は冷たい何かに一瞬で貫かれた。
それはどんな残酷な言葉よりも身を切り裂く痛恨の一撃。青く輝く氷の刃がディアスの身体を一閃に貫通していたのだ。
「──なんで?」
ディアスは体力を奪う冷たい激痛に耐えながらイスラーグの顔を見上げた。
だがイスラーグは彼に氷の魔剣を突きつけながらも、全くの無表情でかれを見下ろして言った。
「だって僕は彼に何の指令も出してない無関係な人間だよ。彼がその場に居てどんな行動を起こそうとも僕にとっては不感知だよ」
イスラーグのその冷たい言葉と体温を奪う氷の刃にディアスの顔はどんどん蒼白になっていく。
それを見てイスラーグは面白がるようにニヤニヤと冷たい笑みを浮かべた。
「それに仲間が全員親で君一人彼女から逃げ延びて生き残るなんて──どう考えたっておかしと思うだろう?」
そう言い放つとイスラーグはディアスに突きつけていた氷の刃を抜き去った。
もうディアスには息はなく魔剣が抜けると同時に彼の躯はごろりと床に転がった。
「さてと──」
そういうとイスラーグは魔剣の氷の刃を瞬時に水に変えてすばやく格納した。
「問題はレヴィの処遇だね……彼の言うとおりこのまま放置するわけにもいかないようだし」
そういうと彼はしばらくその場に残り考え込んだが、すぐに顔を上げ口元につめたい笑みを浮かべて見せた。
久世さくらのはげみになります!
暗殺魔法士に拍手!
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。