一部の国や企業が経済の力任せに、
破綻した国々を買い取った国境無き混沌とした近未来地球。
黒海に造られた都市ウォクトワイスでは、
敵対する民族主義運動ハーレイ・クラファの妨害に悩みながら、
アフリカを始めとする乾燥地帯にG.B.N.(グレートブルーネット)と言う
緑地化計画を進めていた。
安穏とした生活を飛び出し、衝動的に戦いへ身を投じたシャトレイサは、
やがて生々しい人間同士の感情に揉まれて、戦いの理由を見いだす。
その行き先を人は幸せと言うのか、不幸だというのか。
茫洋の感覚の海にあるシャトレイサ(主人公)と、
圧倒的な父権への葛藤にあって戦えずにいるクライン。
周囲は、彼らは出逢ってはいけなかったのだと言う。
しかし、それならば何故、人々はその危険性を排し、
彼らを助けようとしなかったのか――
この物語は、「優しさ」がテーマです。
001 ◆わたしの想い◆
『貴女は人殺しになったの?』
――必要なら、そうもなりますし、
人がそう思うのなら仕方がありません
『…仕方が無い……。貴女が人の命を手にかけるたび、
貴女の心も少しづつ死んでいくのよ。
でもそれは私のせいかもしれない』
――時代を言い訳にしないのですか
『母親とは、そういうもの。何かにつけて理由は、自分のせいか子供のせい』
――歪みを享受すると言うのですか
『痛みがあるなら、これが人なのよ』
The ORPHAN 2
-Double INNOCENCE- (白の功罪)
――私は、朝が嫌いだった。
午前十時の若くて青い光は大好きだったし、
禍々しいほどの朝焼けも美しいと思ってた。
でも、空が白けてから日差しが自己主張を確定するまでの時間帯、
この世のあらゆるものが動き始める、
静寂が破られる瞬間の騒々しさが私には辛かった。
夜、一度太陽は死んで、昇ってくるのは再生の証だと言う。
何故、私は命が甦るその喜びを味わえないのだろう。
夜のような孤独な時間が続くなら、
いつまでも闇が留まればいいのに、
朝は確実に必ずやってくる。
どうせ――
どうせ朝が来ない世界を望むなら、
この煩わしい地球を脱出して、
途切れない低音の響きの中、
さんざめく星達の囁きを肌で聴きながら漂流したい。
私が願うのは、それだけだったと思う。
私は………
そう、この星が―――…
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