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立てこもりには忍耐が必要



『犯人に告ぐ!無駄な抵抗はやめて人質を解放し、校舎から出てこ〜い!』
ドラマなどでよくある台詞を、クレイジーは拡張機を使い校舎に向かって叫ぶ。
「聞こえたかなぁ……?」
「クレイジー!ウチの子供達は大丈夫なの……!?」
「まだ何とも言えねえな……ウイスピーウッズに様子を聞こうにも、俺が校舎に近付いたことが中にいる強盗にバレたら、それこそ人質のあいつらが危ねえ……。」
「そんな……!!」
「くそ!!子供が人質に捕われてるってのに、俺達はただ何もせずここで眺めてろってことか……!?」
ギリ、とファルコンは悔しそうに歯をくいしばる。
「とにかく、中にいる強盗と話がしたいですね……そうだ!」
マスターはパトカーに近付き、『お借りします!』と車に備え付けてある電話を手に取る。
それに気付いた警官はマスターの行動を止めようとした。
「ちょ、ちょっと困りますよ先生―――ぐはぁっ!?」
後ろから『邪魔だ!!』とクッパに撥ね飛ばされ、警官はしばらく宙を舞うとドサッと地面に落ちた。
電話の内容が気になる各ファミリーはゾロゾロとマスターの周りに集まってくる。
「おいマスター、どこにかけるんだよ?」
「職員室の電話です、何とか犯人と連絡をとってみようと思いましてね……。」





「外が騒がしくなってきたね〜。」
マルスはトッ○を口にくわえ、窓から外の様子を覗きこむ。
「僕達が学校に来て人質になってから2時間も経ってるんだね〜。」
ファ○タを飲みながら、ロイは時計を見て言う。
その隣でアイクはじゃ○りこ(焼肉味←あるのかな?)を3本いっぺんに食べている。
「…いい加減、帰りたくなってきたな……。」
「そうだね〜、そろそろ帰りたいかも……。」
「………お前らなあ…自分が人質だってこと忘れてねえか……!?」
彼らのその様子を見ていたプリムは、前回から縛られた状態のまま額に青筋を浮かべ、3人を睨みつけていた。

その時、



 トゥルルル……

 トゥルルル……



突然、電話の呼び出し音が彼らの耳に入った。
「ん?電話?」
「職員室の電話だね……僕出てくる。」
そう言って立ち上がったロイを『ちょっと待て!』とプリムが呼び止めた。
「何だよ?」
「今は俺がお前らを人質にとってんだぞ、人質がピンピンした元気な状態で電話に出たらおかしいだろ!?」
「グルグル巻きにされてる分際で何言ってんのさ。てゆーかそろそろ僕ら帰りたいんだけど?」
「……ぅう〜頼むよ〜ここまで事が大きくなった以上あっさり自首したくねえんだよ〜!!ね!?本当に頼むからもう少しだけ人質になってくれ〜俺に強盗やらせてくれよ〜!!」
号泣しながら懇願するプリムに見かねたマルスは『仕方ないなあ…』と呟くと、隣に座ってビーフジャーキーをかじっているアイクを『ほら立って』と強引に立たせ、自分も立ち上がった。
「じゃあまず電話出ないとね、行くよプリム君。」
「お〜い……行きたいのはやまやまだけどよ、このままだと俺、動けないから……。」
「あ、そっか。二人とも、縄跳びほどくから手伝って〜。」
マルスを始めアイクとロイも3人がかりでプリムを縛っている縄跳びをほどきにかかる。
「…ったく、世話の焼ける…。」
「誰が縛ったと思ってんだコラァ!!」
そうこうしているうちに縄跳びは外れ、ようやくプリムは自由の身になった。
「あ〜座りっぱなしはキツいぜ。」
「変な真似するなよ?」
「しねえよ、またお前らにボコられたらたまんねえからな。」
「さ、早く電話に出なきゃ。」
鳴り続ける呼び出し音の中、4人は急いで職員室へと向かった。
10歩程歩いた所にある職員室の戸を開けると、マスターの机にある電話がけたたましく鳴っていた。
「俺が出るから、お前ら動くんじゃねえぞ?」
「ハイハイ分かったよ。」
プリムは電話に近付き、受話器を取り耳元(傍から見たらどこにあるか分からないが)に当てる。
「おう、誰だ?」
『もしもし、貴方は強盗の方ですか?』
「ああそうだ。」
『私は貴方が今立てこもっている学校の校長のマスターハンドと申します。』
「ほう、校長ねえ……で、何の用だよ?」
『はい、貴方に人質の解放を要求してお電話差し上げました。』
「人質の解放だと?………ちなみに、そっちは今いくら用意してる?」
『ええと……3億円程用意していますが。』
「よし、それを全部よこせ、あと車を一台だ。さっさと準備しねえと………分かってるよな?」
『………分かりました――――あっ!ちょっと!!』
突然マスターの声から切り替わり、焦ったような女性の声に変わった。
『ちょっとアンタ!!ウチの子達に何もしてないでしょうね!?』
「ん?誰だお前?」
『アンタが人質にとってる子供の母親よ!皆無事なんでしょうね!?』
「(さっきはむしろ俺が被害者だったけどよ……)
ああ、何もしてねえよ。」
『そう…良かった……ねえ、子供と話がしたいの。一人だけでもいいから話をさせてちょうだい?』
「……フン、まあいいだろ。代わるぜ。」
プリムは受話器を一旦机の上に置く。
「お前らの母親が話してえって言ってる。誰でもいいから一人だけ代表を決めろ。」
するとマルスが『ハ〜イ』と手を挙げた。
「二人共、いいでしょ?」
「…構わん…。」
「別にいいよ。」
「よし、お前で決定だ。いいか?お前の立場は『人質』なんだからよ、もっとこう、怖がってるような怯えた感じに話せよ?あと、話したいことが終わったらすぐに電話を切ろ!」
小声で言ったプリムの言葉に渋々頷き、マルスは受話器を持つとそれを耳に当てた。
「…もしもし、母さん。」
『マルス!!無事なの!?』
「うん、大丈夫。」
『本当に何もされてない?殴られたとか……。』
「今は大丈夫だって。」
『もう少ししたら、あなた達を助けられるの……それまで頑張れる?』
「うん、頑張ってみる……。」



会話を続けるマルスの脳裏に、ふとあることが浮かんだ。
「(そろそろ帰りたいな……でも絶対プリムの奴自首してくれないみたいだし、このまま黙っててもいつまでも学校から出られないしな〜………そうだ!)」
『マルス、アイクとロイの様子は?あの子達も何もされてない?』
「うん、二人共大丈夫――――





 あ…っ!?や、何……!?」


『!?』
突然、声色と喋り方が一変したマルスにプリムとアイク、ロイは驚いた。もちろん3人で誰もマルスに触れたものはいない。
電話の向こうのサムスと二人の会話を聞いていた各ファミリー達も目を丸くしている。

『マルス!?どうしたの!?』

「母さ―――やだっ!!放してよ……いやぁ!!……抵抗しないから犯さないでください……!!えっ―――そんな……ダメェ!!嫌、イヤアアアァッ!!」



 ガシャン!!



勢いよく受話器を置いて電話を切った後、やりとげた顔をしたマルスは笑顔で一言。
「…これでよし!」
「『よし!』じゃねえよ!!何も良くねえだろ〜が!!」
そんな彼に素早く突っ込んだのは当然プリムだった。
「何だよ今の!?まるで俺がお前に何か変なことしたみてえじゃねえか!!」
「あ〜結構楽しかったよ〜☆」
「ねえマルス、急にどしたの?」
「…何のつもりでやったんだ…?」
さすがに驚いたロイとアイクもマルスに質問をする。
「いやぁ僕的にはね、学校の中で人質の僕らに大変なことが起こったら、ウチのファミリーズや他の村の人達もいてもたってもいられなくなって警察の指示なんか聞かないでここに突っ込んで来るんじゃないかと思ってね。」
「へえ〜成程。そう言えばこの村ってそういう人達多いもんね。」
「それに、早く帰りたいし〜♪」
「…俺も同感だ…飽きてきたしな…。」



 ブチッ



その時、プリムの堪忍袋の緒が切れた。



「………てめえら、人をおちょくりやがって……特にカチューシャのお前!!絶対許さねえ!!」
「え?何?……もしかして、本気で怒っちゃった?」
タラー…とマルスの額を冷や汗が伝う。



「……本当に犯してやろうかああぁっ!!」
プリムはどこからか隠し持っていたナイフを取り出し、3人……特にマルスに向かって襲ってきた。
さすがの彼らもこれはヤバイと感じ、急いで廊下へと出る。
「剣!僕ら剣どこに置いたっけ!?」
「…確か教室だな…!!」
3人が武器を取りにいこうとしたその時、『させるかぁ!』とプリムが教室の入り口に立ちはだかった。
「くっ…道を塞がれたか……!!」
「何でこんな時に限ってコイツ強くなってるのさ〜!?」
「どうしよ…プリムごときに追い詰められるなんて……!!」
言いたい放題に言いまくるマルスとロイに対し、ピキ、ピキとプリムの額にいくつもの青筋が浮かぶ。
「お前ら……自分の立場が分かってねえようだなぁ……今からたっぷりと教えてやるぜぇ!!」
プリムはナイフの刃をこちらに向け、ジリジリと迫ってくる。
アイクは自分の背にマルスとロイを匿い、プリムを睨みつけていた。
「覚悟しなぁ……!!」
アイクの首にナイフの先端が当てられた。


 その時、


「ファルコン・パンチ!!」


 ドオオオンッ!!



「ぐああああっ!?」


不意の横からの強い衝撃に、プリムは勢いよく横にすっ飛んでいった。
驚いたアイク達の前に、煙のたった拳を突き出したファルコンがいた。
「大丈夫かお前達!?父さん達が助けに来たぞ!!」
「…父さん…。」
「あんた達〜!」
ファルコンに続き駆け付けてきたサムスはガバッと3人をまとめて抱き締める。
「良かった、3人共無事で……マルス、変なことされて恐かったでしょう!?」
「いや、あれは――――」
「この野郎!!ウチの子に手を出しやがって!!ただで済むと思うなよ!!」
怒ったファルコンはプリムの胸倉をつかみ、ゴンッ!!と頭突きをお見舞いした。
「んぎゃあああっ!!」
「あの〜…父さ――――」
『お〜い!』
その時、すま家ファミリーの残りがやってきた。
「皆さん、大丈夫でしたか?」
「え…うん、まあ……。」
「このバカ!僕がどれだけ心配したと思ってんだ!」
ピットはポカポカとロイを叩きながら悪態をつく。
「ポヨ〜!皆無事だ〜!」
嬉しさのためピョンッと跳ねたカービィはマルスの腕の中にスポッと収まった。
「アイク様ああぁぁっ!!」
物凄い勢いで廊下を走ってきたプリンはタックルするかの如くアイクに抱きつく。
「ぐはあ……っ!!……痛いぞ……。」
「アイク様〜!!プリン、心配で心配で死にそうだったんでしゅよ〜!!」
泣きわめくプリンの頭を、アイクはよしよしと優しく撫でた。



「……さてと、じゃあこれからこの強盗・プリムを血祭りにあげようか。」
シークの言葉に一家(アイク達除く)は頷き、プリムを取り囲んだ。
「え…マジかよ……?」
ポキポキと笑顔で拳を鳴らし、ある者は武器を構え、プリムの目には彼らが皆鬼に見えた。
「え…ええと……。」



『覚悟しろやああぁっ!!』

「ぎゃああああぁぁ〜……!!」





その日、プリムの断末魔の悲鳴は村中に響き渡りました。



結論:すま家の人は怒ると皆恐い。



おまけ。

「マルス君、私が職員室に置いてあったお菓子と飲み物知りませんか?」

「ああ、それならプリムが全部食べて飲んでたよ。」
「そうですか……。(黒い微笑み)」


その後、マスターは拳を鳴らしながらどこかへ行ってしまいました。





→終わり。
3兄弟の暴走(特にマルス)が書いてて楽しかったです。そして、プリムが可哀想な扱いになってしまいました……(汗)プリム嫌いじゃないんですけどね、もっと悪どそうな奴を使えばよかったかな……(-_-;)


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