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キャラクターメイキングで異世界転生!  作者: 九重 遥
3章 ミシェロの町でのギルド活動
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閑話 トゥトゥ、トゥトゥトゥ~、トゥトゥ、トゥットゥルットゥル~♪

人物紹介だけだと見に来た人がっくりなので、思いつきでつらつらと書いてみました。

 異世界アルハザール。

 ミシェロの町の一角の宿屋。

 ここがアルテミスことアルの住処である。



 何かよくわからない理由でアルハザールに飛ばされたアル。

 彼女の仕事は決して世間に知らされるものではない。

 我々はアルの一日を追った。



 朝食ギリギリの時間、アルは起床する。


 Q.朝遅いですね?


「朝の時間は貴重なんです。その黄金の時間を回復にあてているわけなんです」


 Q.貴女のご主人は朝早く起きて稽古をしていますが?


「アポロさんの日課です。私がいても邪魔ですから。こうやって寝ることがアポロさんの役にたってるのです」


 アルはそう言って、悲しそうに笑った。

 笑顔のあと、一筋の涙が流れ落ちた。

 あくびのせいだ。


「正直、朝食が無かったら昼まで寝ていたいですね」


 そう語るアルの表情は真剣だ。

 まるでダメ人間のようだ。


 朝食を食べて、アルは一人町へと向かう。


 Q.ご主人についていかなくていいんですか?


「今日はオフです。何から何まで私がついてなくちゃならないってことではありませんよ」


 時刻は朝9時。

 アルは冒険者ギルドへ入っていった。


 Q.お仕事ですか?


「いえ、違います」


 アルが向かった先は、ギルドのカウンター。

 カウンター業務をしているきつね耳の女性に突進していった。

 女性は慌てながらも、アルを受け入れた。


 Q.何をしているんです?


「きつね耳を愛でているんです」


 そう言って、アルは丹念にきつね耳を愛でた。

 時にさすり、時に揉み、時にこねる。

 その手つきは熟練の技に見えた。


 冒険者ギルドに来たら必ずやる行為だという。


「一日の活力ですね。これがなければ始まりません」


 都合、30分は揉み続けただろうか。


 Q.そんなに続けたら嫌がりませんか?


「この行為はマッサージ効果も含まれてますから。むしろ、体にいいです」


 朗らかにアルは笑った。

 揉む苦労なんてなんのそのというわけだ。


 Q.冒険者の方々が羨ましそうに見てますが?


「問題ないです。触りたかったら頼めば良い話です」


 話しかける勇気もなく、不満だけを言う冒険者。

 アルは彼らに厳しかった。

 ところが、彼らの不満内容の雲行きが怪しくなった。


「ちょっと行ってきます」


 きつね耳の少女から離れ、冒険者達のもとへ。

 冒険者達は屈強な戦士達だ。

 対してアルは非力な妖精だ。

 戦力的には月とスッポンである。


「ちょっといいですか」


 物怖じせず冒険者に話しかけるアル。

 相手の人数は4人。

 

 Q.怖くないのですか?


「これで怖いって言ってたら生きていけませんよ」


 アルはニヒルな笑みを浮かべた。

 先ほどの言葉は間違いだった。

 ここにいるのは非力な妖精では無い。

 歴戦の戦士だった。


 突然の乱入者に冒険者達は戸惑う。


「さっきアポロさんがどうこうって言ってたのは何ですか?」


 冒険者達はアルのご主人がきつね耳の女性と仲がいいことを不満に思っていた。いずれ、目にもの見せてやるという。そんなことを彼らは言っていたのだ。


 突然の乱入者に驚いた冒険者達だったが、すぐに態勢を整え、アルに文句を言おうとした。

 だが、アルはそれを許さなかった。

 冒険者達が何かを言う前にアルは言った。


「私達を敵にまわしていいのですか?」


 小さな声だが、底冷えする声音だった。


 Q.どういう意味ですか?


「今から説明します。黙っといてください」


 我々クルーを諌めるアル。


「ど、どういうことだ?」


 冒険者達がアルに意味を問いただす。

 アルは冒険者達を一人ひとりゆっくりと見回して言った。


「貴方達より、私の方がリサさんと仲がいいです。その私を敵にまわしていいのですか?」


 まだ意味がわかっていない冒険者達。

 溜息をつきながら、駄目な子を諭すように説明するアル。


「もし、私が貴方達の有ること無いことをリサさんに吹き込んだらどうなります?リサさんは信じるでしょうか?それとも貴方達の言葉を信じるでしょうか?普通、仲がいいほうですよね?」


 うっと顔がこわばる冒険者達。

 すかさず追い打ちをかけるアル。

 速度が決め手だとアルはいう。


「私もこんな卑怯なことをしたくありません。でも、アポロさんを害するつもりなら私は黙ってませんよ」


 目には決意の色がみえた。

 最初悪いことをしようとしたのは冒険者達だ。

 アルに諭されバツが悪そうになった。

 

 Q.大成功ですね?


「まだです」


 冒険者達の肩を叩くアル。

 そこには一転、菩薩のような優しい笑顔が。


「皆さんはリサさんと少しでも仲が良くなりたいのですよね?ならば、私から話しておきましょうか?なに、恋愛は自由競争です。ルールを守って正しく行いましょう」


 まるで神の顕在を見るかのごとくアルを見る冒険者達。


 Q.いいんですか?


「いいのです。みんな笑顔のハッピーエンドが大好きですから」


 口々に頼むという声が。


「では、皆さんのことを教えて下さい」


 え?となる冒険者達。


「話をするにしても、貴方達がどういう人物なのかわからなきゃ話せないでしょう」


 なるほどと頷きアルに自分のことを話しかける冒険者達。

 彼らのプロフィールがアルの手の中へ。

 彼らとの話が続くこと10分。

 やっと終わりを迎えた。

 やりとげたという顔をする冒険者達。

 そこで、アルは言った。


「では、必要経費として一人銀貨1枚頂きます」


 石化する冒険者達。


「だってむやみやたらとこの任務を引き受けたら、貴方達もリサさんも困るでしょ。嫌でも、お金というハードルをつけなければなりません。この程度のお金をポンと出せない人をリサさんに勧めるのはどうかと思いますし」


 何も反論が出来ない冒険者達。

 渋る声もあったが、アルは説得を続けた。

 無事、銀貨4枚を手に入れたようだ。 


 Q.いいんですか?


「いいのです。みんな笑顔のハッピーエンドが大好きですから」


 アルは朗らかに笑った。

 冒険者達は一歩でもリサさんに近づけて。

 自分はお金をゲットできて。

 リサさんは自分が防波堤となって口説く人数が減る。

 一石三鳥だとアルはいう。





 時刻は正午。

 きつね耳の女性と近くのカフェへ。


「リサさん、ここは私のおごりですから!」


 先ほどの臨時収入を使うアル。

 こうやってお金を使うことが景気循環のコツらしい。

 食事が来るまでの間、先ほどの男達のことをきつね耳の女性に話す。

 簡潔でわかりやすい説明だ。注文が到着する前に4人分の内容を余すこと無く伝える。


 Q.即実行ですか?


「そうですね。忘れないうちに話しとかなければ」


 お金を貰って任務を遂行する。

 その心意気はプロそのものだった。


「でも、正直リサさんにはおすすめできないですね彼らは。見栄っ張りですから」


 アルは自分の意見を付け加える。

 彼らの話した内容の嘘の部分を指摘したのだ。


 Q.そんなことがわかるのですか?


「昔とった杵柄ってやつですよ」


 その昔という部分は話さなかった。

 いや、話せなかった。自分でも覚えてないらしい。

 


「リサさんは私の大切な人ですからね。適当なことは出来ませんよ。私が感じたことを伝えるのは大事なことだと思います。リサさんが何を知りたいかが大事です」


 そのまま伝えることしか出来ないのが三流

 わかりやすく伝えることが出来て二流。

 相手の欲しい情報を正しく伝えることが出来てやっと一流。


 アルの哲学だ。


 注文が来てから、話題が変わった。

 話題の内容はアルのご主人についてだ。

 彼が何をしたとか何を感じたかを事細かく説明する。

 その熱意、内容、話す時間、どれもが先程と違う。


 Q.熱弁ですね?


「私としてはリサさんを娶るのはアポロさんだと思いますからね。頑張りますよ」


 Q.それなのに冒険者達の依頼を引き受けたのですか?


「それとこれとは話が別です。ガス抜きの意味合いもありますし。一番いい形があれなんです」


 生きるって大変なんです。

 そうアルは呟いた。


「それに、私は無理にくっつける気はないですよ。本人同士の気持ちが一番大事ですから。リサさんに好きな人が出来たら、相手は誰であれ祝福しますよ」

 

 

 昼食からギルドに戻り、カウンター業務へ。

 きつね耳の隣に座り、冒険者たちの人生相談を。



 時刻は3時。

 ギルドから出て、酒場へと向かう。


 Q.こんな時間になぜ酒場に?


「会いたい人がいるのです」


 そう言って、酒場の扉を開ける。

 そこには酔っぱらいが一人。


「おぉ、アルさん!」


 酔っぱらいが話しかけてきた。

 アルの会いたい人物とは彼のことらしい。


「何か変わったことないですか?」


 酔っぱらいから情報を得る。


 Q.情報を得るためにここに?


「ええ。ネットとか無いですからね。足を使って情報を得なければなりません」


 酒を酔っぱらいにおごり、色々話を聞く。

 話を聞いていると、他の酔っぱらいも集まってきた。

 彼らのことも面倒みるアル。

 話を聞き、必要な情報を探り、愚痴を言う酔っぱらいをいなし、時に説教する。


 Q.大変ですね?


「なぁに、慣れたら楽ですよ」


 時間にして2時間。

 アルのことが初見の酔っぱらいもいたが、次々とアルの信徒と化した。

 


 時刻は夕方。

 宿へと戻る。

 夕食後、部屋へ。

 彼のご主人と一緒にリバーシをする。


 Q.遊びの時間ですか?


「違います。戦いです」


 酒場で得た情報をご主人に伝えるアル。

 まったりとした会話ながら、両者の盤面の戦いは熾烈だ。


 Q.どちらが強いのですか?


「盤面見たらわかるでしょう」


 我々クルーをまた諌めるアル。

 簡単な質問に答える気がないようだ。


 勝負が終わり、就寝へ。

 勝負はどうやらご主人の勝ちのようだ。

 ご主人はまだ何か作業をしているようだが、アルはベッドへと向かう。


 Q.先に寝ていいのですか?


「私の仕事は終わりです。邪魔にしかなりませんから」


 睡眠すらアポロさんのために。

 ここに忠臣なれり。

 そうアルは自称する。



 異世界アルハザールに飛ばされたアル。

 そこで一生懸命に生きるアル。

 彼女は明日も朝食の時間ギリギリに起きるという。



 END.  


取材クルーの会話はスキル『オラクル』によって行われてます。


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