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キャラクターメイキングで異世界転生!  作者: 九重 遥
1章 キャラクターメイキング
7/98

キャラメイク終了 アルとの出会い

 そして、時間が来た。


「しゅーりょーーー。んじゃ、終わってる人は飛ばすよー」


 金髪の中学生に見える男、つまり神はそう言って指をパチリと鳴らした。


「荒野…?」


 神が指を鳴らした瞬間、景色が激変した。室内から、赤色の土しかない場所へと。荒野は直径30mほど円形で、荒野の先は崖だった。荒野の端にいるので嫌でも崖の先が目に映る。そして、地面が遠くに存在していた。

 落ちたら即死だな。

 そして、荒野には10名弱の生徒がいた。

 そこには、幼馴染もいた。


「おーい!」


 幼馴染に声をかけた。しかし、反応はない。幼馴染は誰かを探しているらしく、きょろきょろして、お目当ての人物がいなかったのだろう、がっくりと肩を落としていた。


「おいってば!」

 

 再度声をかける。だが、反応はない。

 どうなってるんだと思い。ふと自分の手を見た。


「すけてる……」


 混乱した。キャラクターメイキングしたと思ったら、幽霊になっていたとか何のいじめだ。そこに救いの神が現れた。個人的にはチェンジと言いたいが。


「響くん!驚いたのかな?透けてるのは理由があるのさ!」


 金髪のガキが現れたのだ。説明はいいから、帰って別の人を寄越してほしかったが。


「ま、説明はあとでいいや。ほら、あれを見てご覧!」


 説明もしないとは、本当に帰ってほしかった。

 指された方向を見た。そこにはゲームに出てくるような戦乙女といってもおかしくない姿をした人物が現れた。類稀な美貌、純白の翼、見るものを魅了するような美しい蒼色の鎧。

 うん、戦乙女としか言いようがない人物だ。

 

「キャラクターメイキングお疲れ様でした。説明を始めますので、お聞きください」


 美しい声色だった。何で横にいるのは神なのだろうか、

 世の中の不条理をかみ締めた。


「さて、説明を始めます。皆様、まずステータスと唱えてください」


 俺も、小さくステータスと唱えた。

 するとキャラクターメイキングで決めた内容が目の前に表示された。


============================

名前:新城響


種族:吸血鬼とのハーフ


HP100

MP50

STR:60

DEF:60

INT:35

AGL:45

DEX:45


スキル

鑑定 レベル3 熟練度0/150

隠蔽 レベル4 熟練度0/200

索敵 レベル3 熟練度0/100

火魔法 レベル4 熟練度0/300

精霊魔法 レベル1 熟練度0/50

直感 レベル5 熟練度 ---------


アイテム

鉄の剣

布の服

皮のズボン

アイテムボックス

旅セット

異世界お金セット(小)

=============================


 神がほーほー言いながら覗き込んでくる。にやけ顔で。

 ここで殴ってたらゲームオーバーだろうなぁ。

 考えるだけで実行はしないが。


「ご覧になられたでしょうか。キャラクターメイキングで決定した内容になっていると思います。基本自分のステータスしか見られないのでご安心ください」


 神にめっちゃ見られてますが……。

 喉から言葉が出かかったが、押し留めて説明を聞く。


「さて、時間内に決定された皆様はボーナスとして、一つランダムにスキルを贈呈させていただきます。贈呈は異世界転生後なので、いいのが当たるよう祈りましょう。そして、地球で特筆すべき技能があれば異世界で継承される場合もあります。これも運です。祈りましょう。あとは、種族スキルがある場合それも追加されます。祈りましょう」


 何度祈ればいいのか……。

 だが、語る戦乙女さんは至極真面目で冗談を言っている雰囲気ではない。


「5分後に異世界に転生されますのでご準備を。その際、手を握っている人はパーティーとして一緒に移送されますので、ご利用ください。種族は異世界転生後、変更になります。では、何か質問がある方はいますか?」


 戦乙女はそう言って、周りをみわたした。

 ある女性がおずおずと手を上げた。


「あ、あの……ほかの人は?」


「キャラクターメイキング中です。残念ですが、今回はご縁がなかったということで。恨むなら神様へどうぞ」


 学友たちの中には頭を抱えるものや悲鳴をあげる人がいた。

 恨むべき神はというと、それらを見ながらケタケタ笑っていた。本当に性格が悪いな。

 他の人は質問がないみたいだ。グループに分かれて談笑する人もいれば、ぼっちになっている人もいる。なんか自分を見ているようだった。どちらのグループかは秘するが。


「さて、響くん。説明に移ろうか。なんだっけ?ああ、そうそう体が透ける理由だね。理由は簡単さ。隠しスキルを使っただろう、そのせいさ。異世界の文字がわからなくなっても、周りに仲間がいたら意味ないだろ?興ざめだよ。だから、君一人だけぶっ飛ばすのさ!そのために、認識されないように透明にしたのさ!しかし、良かったね。ぼっちになる理由が出来た!2組つくってーとか、嫌だろ、響くん!」


 何をどこまで知っているのか神は言った。反論したかった。

 幼馴染にお願いしたら、パーティーくらい組んでくれるわ!

 きっと……多分。

 

「しかし、響くんよく見つけたねぇ。今の人は隠しページとか知らないだろう。ネット黎明期では色んな隠しページがあったものさ。中には、画像の一部分をクリックすると、違うページに飛んだりね。いま思えば、あれは楽しかったねぇ」


 神はくくっと笑った。


「まぁ、ヒントがあったからな」


「ヒント?」


 タメ口だが、神は気にした様子はない。

 だから俺は言葉を戻さずに続けることにした。

 我ながら、安っぽい反抗心だ。


「あぁ、キャラクターメイキングの作りと質疑応答でな」


 そして、タメ口にしたのはもう一つ理由がある。

 その口利きで怒る人物ではないと判断したからだ。人物の目利きには自信がある。そしてそれは当たっていたようだ。


「へー詳しく聞いていいかい?」


「心を読まないのか?」


 心を読まれたら、隠し事ができないので事実をありのまま伝えられるはずだ。


「ちっちっち。響くん、会話はなんのためにあると思っているのさ!心を読むなんて、無粋なことなんて興ざめだよ。キャッチボールだよ、会話は。楽しもうよ!」


 や、最初心を読んでただろう。

 そうツッコミたかったがやめた。

 代わりに大きく嘆息して、それから説明した。


「………てなわけで、俺は判断した。キャラクターメイキングは神の恩寵ではなく、試練だと。ならば、抜け道は存在すると。あとは適当に探して、見つけただけだ」


 どこぞのゲームみたいにコマンド入力とかも考えたが、使わなかった。なんか自爆しそうで、怖いし。あれで十分だ。

 神はその説明を聞き、1秒ほど呆然とした後、にこっと笑った。


「素晴らしいよ、響くん!」


 それまでのニヤニヤ笑いではなく、純粋な笑みだった。


「よくそこまで見抜いたね。嬉しいよ!さて、試練を突破した響くんには何か褒美をやらないといけ……」


「お断りします」


 神の説明を途中でさえぎって断りの言葉をいれた。

 直感が警告を促したのだ。


「いやいや、遠慮しなくていいよ!なーにーがいいかなー。そうだ。あれにしよっと!」


 神はニヤニヤ笑いながら、指をパチリと鳴らした。

 その瞬間、かわいらしい少女が現れた。体長20cmくらいしかないが、美少女が。背中にトンボみたいな羽を宿している。漫画とかで見たことがある。そう、それは……。


妖精フェアリー…?」


「そう。その通り。ぼっちの響くんは異世界でも友達ができないとか嫌でしょう。そんな貴方に妖精フェアリーをプレゼント。これで寂しい生活とおさらばさ」


「え、なんですか?これ。体ちっさくなってるし!飛んでるし?

 え、神様?なんで?神様の仕業?え?え?」


「おい、妖精フェアリーが困ってるぞ…」


 呼ばれた妖精フェアリーは何が起こってるか理解してないようだった。必死に周りと神様を見ている。


「アル。君の罰は決まってなかったね。そこの響くんと一緒に旅に出るんだ。妖精フェアリーとしてね。それが君の罰さ。がんばってくれ!」


「い、一緒だなんて!お、犯される!」


「するか! コイツ失礼だぞ!」


 一体なにを言い放つのか、この妖精フェアリーは。そんな変な性的嗜好を持った覚えなぞない。


「はぁー……とりあえず一緒に旅をすることになった新城響という。よろしくな」


 だが、いつまでもこのままではいけない。

 色々な物を飲み込み、妖精フェアリーに自己紹介する。 


「えぇと、多分、アルテミスといいます。アルって呼んでください」


 おずおずとアルは返事した。


「多分?」


 その言葉の意味を聞き返そうとしたが、それより先に神が口を開いた。

 

「あぁ、何のスキルもないのに妖精フェアリーがいたら不審に思われるかもしれないね。ちょうどいい。調教のスキルをあげよう!」


「チェンジで」

 

 聞こうとしたことを忘れる勢いで、即言い返した。

 いくらスキルでも、調教という言葉のひびきが嫌だ。


「それを捨てるなんてとんでもない!人の親切は受けとらないといけないさ。それがあるとアルがいる理由にもなるしね。

 あ、そろそろ時間だね。何か言い残すことはないかい?」


「……伝言を頼めるか?」


 神の目をしっかりと見つめ、俺は言う。

 おちゃらけた雰囲気はなしだ。


「伝言?」


 神は小首をかしげた。

 俺は荒野にいる幼馴染を指差す。


「あそこにいる幼馴染に伝えてくれ。

 俺は大丈夫だ。お前は無茶するからなぁ。生き残ることだけを考えろ。あとは俺がなんとかするさって」


「了解、了解。伝えととくさ!」


 神はにんまり笑いながら答えた。なんか不安に感じる返答だが、大丈夫と思いたい。きっと大丈夫なはずだ。そこまで性格がねじ曲がってわけではないはずだ。半分以上自分に言い聞かせるように思った。


「さぁ、時間だ。異世界アルハザールで良い旅路を!アルもがんばってね」


 そうして、俺の異世界への旅路がはじまった。


10月11日修正。

幼なじみへの伝言を書籍版に合わせました。


次回から妖精フェアリーのフェアリーのルビは省略して書きます。



アル「さぁ、異世界へとレッツゴーですよ!」


響「はぁ、地球に戻りたい」


アル「まだ、始まってもないのに!」


神「あ、コマンド入力で自爆というスキル覚えるよ」


響「しなくて良かった…」

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