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キャラクターメイキングで異世界転生!  作者: 九重 遥
1章 キャラクターメイキング
4/98

キャラメイク3 隠し項目

 くそぅ、最初から覚悟していたはずだ。このキャラクターメイキングは楽しいものではないと。しかし、キャラメイクしていく楽しさで忘れていたのだ。まるでゲームのようなのだから。


 わかっていたはずだった。

 このキャラクターメイキングは見方を変えれば、恐ろしいものだと。

 神が言うように慈愛によって施されたものならば、納得できる部分がある。

 パラメーターも平均値より高く、好きなスキルを取り、強化できる。チート能力を与えられ、異世界へ活躍できるように。理不尽な事故にあった者達への救済と言えるだろう。それはまるで小説や漫画、ゲームの主人公のように。



 

 だが、違う。




 神の言動、態度、行動。キャラクターメイキングのつくりから、神の性格、思考。これらのことが慈愛と食い違っているのだ。

 パズルのピースが合わないのように。

 どこか歯車が食い違うように。

 違和感という楔が俺を思考させるのだ。

 なぜと。

 慈愛と考えるとおかしくなるのだ。

 だって、俺がここに来て思ったのだ。

 神は嫌な奴だと。


 奴が無償の慈愛を施す人物なのか?

 人をくったような態度でニヤニヤ俺らを見ている奴が。奴の目はまるで実験動物が何をするかを見ているように感じるのだ。

 だとすれば、納得する。


 スキルや道具は整理されず選びにくい。短い時間制限。自由度に対して、保有ポイントも少ない。思えば、神の態度は終始一貫していた。こちらを見て笑い、戸惑いを心底楽しんでいるようだった。まるであざ笑うかのように。


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 Q.キャラクターメイキングで、どのくらいの人数が失敗すると思いますか?

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 この質問に答えが欲しかった。明確な否定が欲しかった。

 答えは予想していたが、違ってほしかった。

 与えられた答えは肯定だった。


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A. 良い質問だよ、響君。

 答えは、人によっては千差万別。クズスキルと思っても、実は大器晩成スキルだったりするからね。一概には言えないよ。良いスキル選びを!

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 しかし、この答えになってないような答えは、答えになっていた。

 最初の一言『良い質問だよ、響君』と後の答えが連動していないのだ。

 最初の一言が神の感想で、後半が定型文だ。定型文はQ&Aで書かれていた一文だ。

 フェアに反する質問は答えられないと書いてあったので、当たり障りのない定型文が返ってきたのだろう。

 定型文で返事した、答えられない質問なのに神は『良い質問』と言った。

 それの意味することは唯一つ。大半がキャラメイクに選びに失敗するということ。だからこそ、神は褒めたのだ。君は良い読みをしていると。

 もしかしたら、『良い質問だよ、○○君』というのは定型文の可能性もある。回答の際の冒頭に全員に表示されるといった具合に。しかし、俺にはそう思えなかった。勘と言えば、勘なのだが、俺と目が合った時の神の笑顔。それが目に焼き付いて離れないのだ。あの笑みの意味、このキャラクターメイキングの内容。それらを考えるとおかしいのだ。



 息を大きく吸って、吐いた。

 頭を切り替えるためだ。方針は決まった。ならば、後は動くのみだ。後悔は後でいい。

 神は嫌なやつだという前提で俺は動く。

 このキャラクターメイキングは試練だ。

 急いでQ&Aを見直す。おそらくこの質疑応答は正しい。神は何度もフェアだと言った。事実であろう。だが、事実なだけだ。正しくはない。

 ミスリードや書かれてない大切なことが多く存在するはずだ。それを察知して避けなければいけない。神は嫌な奴だという判断材料から選ばなければならない。探さねばならない。 

 何か抜け道があるかもしれないから。 



 トップページに戻り、ページの開いてる部分をクリックして、そのままスクロールする。すると、文章の背景が青く表示される。構わずページ全体を範囲にする。

 種族のページを背景を全て青く染める。それが終わるとパラメーター項目へ同じ動作をする。そこが終わるとスキルへと順番に操作する。

 意味のないことかもしれない。

 だが俺は何かに突き動かされるように自己の内なる欲求に従った。


「見つけた!」



 トップページの一番右下にそれはあった。白い文字、背景と同じ文字で書かれた項目。普通にしていたら見れない文字。

 スクロールすることでそれがあらわになる。


『・隠しスキル』



 息をのみながら、その項目をクリックした。



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・異世界共通言語

・異世界共通文字

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 現れたのは、ふたつのスキルだった。両方ともチェックが入っている。

 異世界共通文字をはずしてみる。保有ポイントが50上昇した。異世界共通言語もはずしてみる。保有ポイントが100上昇した。


「やっぱり、なにかしらの保有ポイント増大はあるのか……」


 おかしいと思っていたのだ。100Pという基本ポイントでは、種族において、どうがんばってもできない組み合わせがある。Q&Aでも触れられていない。普通なら出来ないと考えられる。しかし、これを作ったのは神だ。そんなことをするか?答えは否だ。なにかしらの方法で可能なのだろう。

 そう思い探したのだ。このキャラクターメイキングをやっているのは高校生。難しい隠し場所にはしてないだろう。そして、発見した。


 少し考え、異世界共通言語にチェックを入れた。異世界で一切コミュニケーションが出来ないのはまずいと思ったからだ。つづらの話を思い出す。欲をかきすぎると失敗する。これで、保有ポイントは150になった。 


 ここからだ。ここからどうすべきか……。



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残り時間

18:30

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