アルの狐耳への執念 おおよそ、そんな話
「冒険者ギルドよ、私は帰ってきたー!」
建物の前で、アルは大きな声で宣言した。
「リン、あーいう風にはなるなよ」
「ええ。恥ずかしくないのかしら」
「アルだからな」
「なるほどね。なんか納得できたわ」
俺とリンはヒソヒソと小声で話し合う。アルとの距離をとって。
「他人のふりするのやめて!それイジメだから!」
アルは切実にお願いしてきた。泣きたくなるらしい。
俺達はギルドへと入る。先頭はアルだ。手をブンブンと振り、妙に張り切っている。
そして、アルはカウンターへ突撃しやがった。
「リサさーーーーーーん。助けてくださぁい」
その部屋にいた人達がぎょっとしてアルを注目する。
「ど、どうしたの?アルちゃん」
リサさんは驚きながらアルに応える。態度に呼応するようにリサさんの狐耳はせわしなく動く。パタパタと動く耳は見るだけで癒される。
「うちのアポロが、うちのアポロが文字読めないんです。
クエスト探せないのです!いいのないか選んでください!」
アルが泣きまねをしながらリサさんに切実に訴える。
リンがいるだろと内心ツッコンだが、ギルドの職員にお勧めを教えてもらうのもありがたいと思ったので、黙っとくことにした。リンはため息をついて、自分のクエストを探しにいった。午後は自由行動なのだ。それを止めることはできない。こちらも黙って見送ることにする。
「え、えぇと。別にいいですよ」
クエスト斡旋はギルド業務のひとつだそうだ。リサさんはアルのわがままを了承してくれた。
「アポロさんは、Fランクですよね。FランクではクエストランクのEとFが受けられます」
「この前の説明では自分のランク以下のクエストしか受けないと聞いたような?」
「Fランクの場合だけ、Eランクも受けられるんです」
リサさんは説明を忘れてすいませんと軽く頭を下げた。その丁寧な態度に恐縮してしまう。
「では、説明を続けますね。
Fランクのクエストは町の依頼です。荷物整理やお店の店番、土木作業等があります。Eランクのクエストは簡単な討伐、採取です。どちらになさいますか?」
「今日は天気がいいから外に出たいです。
ということで、Eランクでお願いします」
俺の意見を聞かず、アルは独断で決める。
良いのですかとリサさんは視線で俺に聞くが、こういう奴なんですと俺は嘆息する。
「では、こちらになります」
リサさんは苦笑しながら、数枚の用紙を何処からとも無く取り出して俺に見せてくれた。
が、文字が読めないので、音読してもらう。
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・Eランククエスト
討伐
角ウサギの討伐
討伐アイテム:角、肉、毛皮
1匹辺り 銅貨4枚
生息範囲:ミシェロ周辺
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・Eランククエスト
採取
カラミ草の採取
5本あたり銅貨2枚
生息範囲:ミシェロ西門付近
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・Eランククエスト
採取
毒草の採取
5本あたり銅貨3枚
生息範囲:ミシェロ西門付近
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「複数受けるのは大丈夫ですか?」
Eランクのクエストだから、こんなものだろう。問題は、複数受けられるかどうかだ。角ウサギを討伐しにいったら、カラミ草を発見しましたじゃ、意味が無いし、泣けてくる。
「はい、大丈夫ですよ。Eランクはその制限がありません」
「んじゃ、3つとも受けます。注意点とかありますか?」
「角ウサギは状態によっては報酬額が下がったり、買取ができなくなるので、注意してください。毒草は食べると毒になりますのでご注意を」
「草の見本ってありますか?」
「ありますよ。用意してきますので、お待ちください」
カラミ草と毒草の見本をみしてもらう。両方の特徴を目と肌と臭いで確かめる。うん、多分大丈夫だ。
そして、角ウサギは毛皮や肉に利用価値があるので、損傷が激しい場合は買い取りが低下したり拒否される恐れがあるとのこと。注意していきたい。
「わかりました。では、それでお願いします」
「では貴方の健闘をギルドは祈っています。他になにかありますか?」
「狐耳を!狐耳を触らしてくだ……ぐへぇ」
「失礼しました。もう大丈夫です」
アルを潰してだまらせる。
さてと、初めてのクエストだ。気合入れていこう。
席を立ち上がり、歩いていくと、入り口付近にいた一人の大柄な男が近づいてきた。スキンヘッドでいかつい顔の男だ。なにやら機嫌が悪そうに、肩をいからせながらこちらに向かってくる。
「おい、新入り。てめぇ、なにリサさんに色目使ってんのじゃあ!」
舌打ちしながら、こちらに絡んでくる。どうすればいいのか判断に迷う。
穏便に話し合うべきなのか、先手必勝とばかりに殴って黙らせればいいのか、挑発して攻撃をしかけさせ正当防衛で済ますべきなのか。というか、そもそも俺に勝てるのか。色々な考えが頭によぎる。ギルドという閉鎖空間で何が最善なのか……。
迷っていると、アルが男の前に出てきた。
「なんだと、てめぇ!
リサさんとお近づきになりたいと思ったら悪いのか、われぇ!」
アルがチンピラみたいな柄の悪い言葉で男を一喝する。
大きな声量と迫力ある声音。アルの芸風の広さに敬意を覚えた瞬間だった。
「………なっ!」
アルの思わぬ反撃で、スキンヘッドの男はたじろぐ。
後で話を聞くとスキンヘッドの男は俺がアルをだしにして、リサさんに近づいたのだと思ってたのだ。
まさか、妖精のほうから反撃がくるとは思ってもいなかったそうだ。
ちっこい妖精と大柄の男の戦いはサイズの差なんて口喧嘩には関係ないと思わせる戦いだった。
そして、アルの反撃はまだまだ続く。
「てめぇはリサさんの耳を触りたいと思わないのか!?
あのフサフサした耳を!」
「な…………」
欲望駄々漏れな言葉に唖然とするスキンヘッド。
肯定すれば、リサさんの好感度は下がるかもしれない。仲良くない人に触りたいと言われるのは時代が時代ならセクハラで事件ものだ。
しかし、否定すれば触りたくないことになり、リサさんと仲良くなった時の障害に成りうる可能性がある。
答えられない二択を突きつけられ、スキンヘッドの巨体が震える。
「私は触りたい!もふもふしたい!そして、リサさんをペットにしたい」
何言ってるんだこいつ…。
その部屋にいた人はそう思いながらアルを見る。
一部の男達は、すげぇ、ここまで言えるってすげぇとアルを尊敬の目で見てたりする。
「だから私はこれからもリサさんにアプローチします。リサさんを手に入れるま……ぐえぇ」
アルの頬をつかみ黙らせる。これ以上喋らすのは危険だ。
そして、男の方に向く。
「うちのアルが失礼しました。よく言って聞かしておきます」
「お、おう」
スキンヘッドの男もあまりの出来事に毒気を抜かれたようだ。
怒りが溶けている。
ここぞとばかりに畳み掛ける。
「リサさんも失礼しました。あと注意しといてくださいコイツは本気です。こちらも目を光らしてますが、よくわからない存在なので十分対処できないかもしれません。耳を触られたくなかったら強く拒否してください」
リサさんの方を向き謝罪する。ペットの責任は飼い主にあるのだ。リサさんは呆然としながら、やがて、こくんと頷いた。
「さ、いくぞ アル」
そして誰も動けないうちにさっさと逃げるとする。
逃げるが勝ちだ。
「ちょっ、痛い。痛いです」
アルを掴みながらギルドを出て行く。犬の散歩に使うリードみたいなものがあったら便利なんだけどなー。
「さっきはありがとな、アル。助かったよ」
門へと向かう道中、ほとんど力を入れてなかった手を離しアルに礼を言う。
途中暴走したものの、場を平和に収めたのだ。アルのおかげといっていい。
「いえいえ。しかし、流石ですね、アポロさん。わかってるぅ!」
アルの言葉を聞いて、やはりなと思った。
ふざけた発言はわざとだったんだ。あのスキンヘッドの男と一触即発だった雰囲気をアルの話術で霧散させたのだ。
その度胸、場の掌握術は称賛されるものがある。
「リサさんに首輪つけたら、めっちゃ似合うと思いますものね。どっかにリードみたいなものがあればいいのに!散歩させたいです!」
「え?」
「え?」
アルと顔を見合わす。
「…………」
「…………」
会話を思い返しても、俺は間違ってないはず。
コイツ、頭はリサさんをペットにすることで頭がいっぱいだったのか!
「……行くか」
「はい!」
アルの真意は読めぬまま、話題に蓋をしておいた。
アルに助けられた。それだけでいいじゃないか。
その後、アルと共に西門を抜け町の外へ。リンに手伝いするかと聞かれたが、断っておいた。さすがにEランクのクエストを手伝わせるのは悪い。それに、リンのほうも気になるクエストを見つけたようだ。借金のこともあるし、邪魔しては悪い。
そのまま西に歩き出す。町の外は草原で、風が吹くとザザッと音がする。不思議と心地よい音色だ。
「いい天気ですねぇ、アポロさん」
「だな」
太陽は真上に昇り、熱光線は俺達に降り注ぐ。しかし、熱いというよりあったかい。散歩にはちょうどいいぐらいだといえる。クエスト途中ということを忘れそうになる。
そのまま気の向くまま20分ほど歩くと、カラミ草の群生地を発見した。
「お宝や、カラミ草のお宝やぁ」
アルの言うとおり、かなりの数のカラミ草が生えている。緑色の草がまぶしく光って見える。
せっせと掘って、袋につめていく。ここまで楽だとお金を掘っているような気がしてくる。
「ん……」
「どうしたんですか、アポロさん」
「なんかカラミ草じゃないっぽい草がある」
ひとつの草に注目する。
一見、カラミ草に似ているが、詳しく見ると違っている。
カラミ草と見比べる。普通のカラミ草に比べ大きく、若干青みがかっている。比べてもあまりよくわからない。個性だといったらそうなんだろうと納得してしまいそうだ。
「私には同じ草に見えますけど」
「ま、いいか」
同じなら同じでもいい。別の袋に分けるだけで大した手間ではない。
カラミ草に似たやつを別の袋に分け、俺達はカラミ草の採取を続けた。
そして、めぼしい物を取り終える。
「取り終えましたね!次行きましょう」
そう言って、アルが音頭をとった。
時間もある。今度はちょっと北側を歩く。20分ほど歩くと、毒草を発見した。カラミ草ほどではないが、依頼を達成するには十分な量だ。せっせと掘る。根っこも傷つけないようにしながら。
「取り終えたし、帰るか」
「角ウサギはどうするんです?」
「帰りに見つかればよし、なかったらまた明日だ」
「あいあいさー」
索敵スキルを駆使しながら周辺の気配を探るが何の気配もないので、角ウサギはいないのだろう。これも鑑定みたいな補助効果だと思うので精度はイマイチだが。
「………お」
「いましたね」
町へ帰宅途中すぐに一匹の兎を発見した。角ウサギだ。
角ウサギは普通のウサギに10cmほどの角が生えたモンスターだ。弱いモンスターだが、主に食用として重宝されているらしい。
「へへっ、わしらにあったのが100年目ですぜ。やっちゃってください、親分」
「やっちゃってといわれてもなぁ」
遠距離で叩くのがベストなんだが、使える魔法が火魔法なので使うに使えない。焼いてしまっては駄目なのだ。とりあえず、アイテムウインドから何本かナイフを取り出す。
狙いをつけて投げる。が、失敗する。角ウサギは驚いて逃げようとする。焦るが、なかなか当たらない。射程から離れようとする。
「っち……風の精霊よ力を」
禁断の精霊魔法を使用し、風を叩きつける。角ウサギは驚いて動きを止める。
そこへ狙い打つ。ナイフは真っ直ぐ飛び、角ウサギの体に当たり、息の根が止まる。
「やりましたね、アポロさん」
アルは手を叩いて喜んだ。
殺した後は、角ウサギをさばく。鮮度が命。やり方はミシェロの町に行く道中に、実地研修をしたので大丈夫。
解体が終わり、精霊魔法を使って手を綺麗にする。そして、外したナイフを回収する。
帰り道は行きと違い、合計角ウサギ三羽出会い、その全てを狩ることができた。なかなかの出来である。
自分の出来に自画自賛しながら、ミシェロの町へと帰ってきた。
自分でも気分が高揚するのがわかる。この幸せを誰かに分け与えたいぐらいだ。
露店を抜けて、ギルドへ行こうと思った時だった、露店の中の1軒のお店が目に付く。
そこは女性用の装飾品のお店だった。リボン、指輪、ネックレス、ペンダント等の色々な種類のものがある。品質もよさそうだ。
ふと、思い立ち商品を眺める。どうすべきか迷う。とある女性がその装飾品をつけてるイメージが脳裏に描写されるのだ。
しばらく考え、勇気を出す。
買うか。手土産にちょうどいい。
アルは何も言わず、ウンウンと頷いてる。
その反応はどういう意味なのか問いたいが、やぶ蛇になりそなのでやめておく。
ギルドに行き、カウンターの方へ向かう。担当はまたリサさんだった。
「おかえりなさい。早かったですけど、取れましたか?」
「ただいまです。リサさん。こちらが依頼の品です」
カウンターにとってきたものを並べる。
「こんなに……短時間でこの量とは、すごいですね。鑑定しますので少々おまちください」
「ふふーん。私がついてますから!」
アルがドヤ顔で胸をはる。リサさんはそれを笑いながら聞き、担当の人に依頼の品を渡した。
待っている間、アルの武勇伝が炸裂する。
誇張表現が多いのだが、リサさんは楽しそうに聞いている。
「あ、そだ。リサさん。アルが失礼なこと言ったのでお詫びの品を」
リサさんに向けてペンダントを取り出した。露天で見た時、リサさんに似合うと思ったのだ。ペンダントは中央に紫色の宝石が埋め込まれており、それに巻きつくように銀細工がされている。シンプルながら魅力的な一品だ。男の俺でさえ、綺麗だと見とれてしまったほどに。それが案外安い値段で売っていたので掘り出し物だと思う。
「きれい……」
リサさんは我を忘れたように呟いた……。
「って、駄目です。大丈夫ですから、私気にしてませんから!おわびの品なんて。それに冒険者の方から貰うだなんて」
リサさんは手をパタパタと振りがなら拒絶する。狐耳もせわしなく動いている。
その光景に思わず笑ってしまう。断りながらも、リサさんの目がペンダントに釘付けなのだ。
「プレゼントしたのは俺ではなく、アルですし?」
「え?」
勿論、嘘なのだが。
リサさんの視線がアルに向く。
アルは突然振られた話でも、難なく対応する。
「ギルドを騒がしたのは事実ですからね。私も聖人として罪悪感を覚えたのですよ。だから私のポケットマネーからリサさんに似合うと思って買ったのです!」
どや顔でアルは言う。
そして、一瞬だが、俺をチラッと見て笑った。
貸し一つでも言うかのように。
くそぅ。
「綺麗と思ったのなら、使ってください。道具もリサさんに使ってもらったほうが嬉しいでしょうから。露店で買った物なので高いものではないですし。何より俺ではなくアルの好意ですし」
内心の葛藤は出さずに、畳み掛ける。
「で、でも……」
リサさんは揺れ動く。
もう一押しか。
「それでも申し訳なく思うのでしたら、アルに耳を触らしてやってください。嫌でなければ。触らせないといつまでもうるさそうなので」
「アポロさん、ナイスです!もっと言ってやってください!」
「もし、触らせたくないなら、今度からアルをギルドへ近づけさせません。地面に埋めときますから」
「なに、それ、意味取り違えてるよ!」
「アルもリサさんに似合うとか熱弁奮ってましたし、露天商と値下げ合戦をして勝ち取った品です。俺もペンダントを見た時リサさんに似合うなと思ったので。実は俺が見てみたいというのもあります」
実際アルは何も言ってなかったが、リサさんが受け取りやすくするため方便でアルを使い続ける。特にリサさんをどうこうしたいという下心はないためアルをダシにしても許されるだろう。
「卑怯です、アポロさん。そこまで言われたら断れないじゃないですか」
白い頬を朱色に染めながら、肯定の言葉が出てきた。
「有難く受け取らせていただきます。あと、アルちゃん、耳触りたかったら、ど、どうぞ」
おずおずとリサさんは申し出た。アルは一目散にリサさんの耳へ飛んでいった。そして狐耳を愛ではじめた。
そうこうしてるうちに職員が戻ってきて、用紙をリサさんに渡す。
「結果が出ました。角ウサギ3羽、綺麗な状態なので銅貨12枚。カラミ草 25本で銅貨10枚、毒草 10本で銅貨6枚になります。あとカラミ草のほかに、ミカラ草がまじっていました。これは6級ポーションの原料になる素材ですが換金されますか?」
カラミ草に似た草はミカラ草というのか。使い道は特にないので、換金をお願いする。アルはリサの耳を折って遊んでいる。恥ずかしいのでやめろと言いたい。手を出せば届くが、リサさんにあたる可能性がある。ぐぐぐ……。
「では、ミカラ草は銀貨5枚ですので、合計銀貨7枚、銅貨8枚になりますがよろしいですか?」
了承する。結構な額になった。特にミカラ草すごい。探すのは大変だが、狙っていきたいものである。
ギルドを出て、宿屋に向かう。外は夕焼けで、町を橙色に染めていた。暗くなる前に帰ろう。今日もパーティーだ!
宿屋に戻り、女将に夕食を豪勢にするよう追加のお金を渡す。
夕食は、ポトフとパン、そして、角ウサギのステーキだった。パンは日本式のふわふわパンと違い硬かったが、ポトフにつけて食べるとおいしい。そして、角ウサギもおいしい。なに、これ、ファンタジー凄すぎる。弱いモンスターでこれだから、強いモンスターならどんな味になるのだろう。ちょっと楽しみだ。
夕食を取りながらリンと会話する。
「依頼は無事終えたの?」
「ああ。ミカラ草も取れたので、合計銀貨8枚ほどの成果だ。ミカラ草なかったら銀貨3枚だけど」
「それでも凄いわよ。普通そんなに稼げないわよ」
「そうなのか?」
初めての経験なので、基準がわからない。
「ええ。カラミ草と毒草は基本的に至るところに生えてるけど、まばらに生えてることがほとんどで探すのが大変なの」
「なるほどなぁ。次回からはもっと厳しくなるのか」
単に運が良かっただけなのか。
「ええ。覚悟しといたほうがいいわ。あとちょっと相談があるのだけど」
「相談?」
「ええ。明日、ギルドのクエストで護衛任務があるの。往復で4日ほど抜けるけどいい?」
「ん……別にいいぞ。俺のランク低いから討伐クエストも安全だし。手を貸してもらう必要は今のところないし。なんならアル連れて行くか?銀貨1枚渡すぞ?」
「人身売買!?……って、なんでアポロさんのほうがお金渡すのですか!?」
「…………聞きたいか?」
「あえて聞かない勇気!アルは自分を褒めたいと思います」
リンは俺とアルの会話にぷっと吹き出した。
「ありがと。それじゃあ、4日ほど留守にするわね」
そうして夕食が終わり。部屋に戻った。
MPの回復が終わっているので、再度訓練する。
MPが半分ほど無くなったあたりだろうか、トントンとドアがノックされた。
「アポロ ちょっといい?」
リンの声だ。どうぞと部屋に招き入れる。
「ちょっと聞きたいことがあるの」
リンの顔色は真剣だった。
リサはヒロインにするつもりはないのですが……。
キャラが動くってこういうことなのか……。