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キャラクターメイキングで異世界転生!  作者: 九重 遥
3章 ミシェロの町でのギルド活動
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うちのアルが武器屋を掌握している!

 俺達は冒険者ギルドを出た。お次は買い物だ。

 商店があるゾーンを歩く。人通りが多く活気がある。


「とりあえず防具を新調したいな」


 武器はいいとしても、防具が布の服では悲しい。防御力云々というよりも見た目的に。

 お金はあと金貨2枚、銀貨数十枚、銅貨数十枚ある。資金は問題ないはずだ。


「んじゃあ、武器屋に行きましょうか。この町には二つ有名なところがあるの、一軒は老舗で、もう一軒は最近有名になってきたところなの。どっちがいい?」


「あそこはどうなんだ?」


 すぐそばにある武器屋っぽい建物を指差しながらリンに尋ねる。剣の看板があるので恐らく武器屋なんだろう。店は全体的に薄暗く、活気がない。入るのにちょっと勇気がいる店だ。


「あそこは、駄目よ。奥さんに逃げられて以来、やる気をなくしてね。品揃えとかが悪くなったの」


「そうか……ってよく知ってるな」

 

 そこまで個人情報を知ってるとちょっと怖くなる。なんでそんな情報知ってるのだろうか。

 疑問に思ってたことが顔に出たのか、リンが答えてくれた。


「まぁ、私もここを拠点としていたし、昨日色々情報を集めたのよ。

 町の人が言ってたわ、離婚回避の秘訣を知りたいならあそこの武器屋に話を聞きに行けって。ためになるぞって」


「町の人ひでぇな」


「武器屋の主人も話好きだから、行ったら喜ばれるらしいわよ」


「コメントに困るな、それは。本人達が納得してるのなら、いいのかな?」

 

 そして、情報ありがとうとリンに礼を言った。

 昨日、武器屋について質問したから、色々と情報を集めてくれたのだろう。 


「べ、別に貴方のためじゃないわよ!私のためよ!」

 

 リンは早口で否定する。

 アルは「ツンデレだ!生のツンデレだ!」と小さな声で笑った。

 ツンデレというなら、いつの日かデレるのだろうか。想像がまったく出来ない。

 そんなどうでもいいことを考えながら、もう一度お店を見る。店の奥には店主らしき人物が頭を抱えながら座っていた。暗い店がさらに雰囲気を悪くしていた。できれば、入りたくないお店だ。

 しかし、なぜか気になった。理由はない。しかし……。


「ほら、アポロ いつまで見ているの?愚痴を聞かされるわよ!」


 リンが服の裾を引く。そのまま流されて、歩こうとした時


「アポロさん、気になったら入ったらいいじゃないですか。なに、これも貴重な体験ですよ。レッツラゴーです」

 

 アルがそう言ってお店に突進していった。

 それもそうだなと思い、アルに続いて店に入ることにする。リンもしぶしぶついてきた。


 店内には、樽が何本もあり、その中に剣や槍等の武器が何本も入っていた。武器は樽ごとで分類されている。武器には埃がかかっており、掃除をした形跡が無いのがうかがえる。そのことが更に店の雰囲気をより暗くしていた。


「らっしゃい……」


 店主は暗い声で出迎えた。

 歓迎してるというより、闇にいざなってるような声に、やる気が微妙に削げた。

 むしろ、入ったばっかりなのに後悔してきた。が、このまま出るのはアルに申し訳ない。せっかく導いてくれたのに。勇気を奮い、店主に尋ねる。


「店主、樽に入ってる武器は何ですか?」


 気になったので聞いてみた。雑多と置かれた色々な種類の武器の数々。


「あぁ。中古の武器だ。壊れてる奴が多い。どれでも銀貨1枚だ。それより聞いてくれよぉ……あんなぁ」


 やばい、愚痴を聞かされると思った瞬間。


「ここは私にまかせてください!なぁに、すぐ追いつきますから。先行っててください」


 アルはかっこいい表情とポーズを作り、身代わりとなった。

 そこはかとなく自分に酔ってるみたいだった。

 これ幸いとばかりにとリンと武器を物色することにした。

 後ろのほうでは、店主の愚痴が聞こえる。聞こえないように武器探しに集中する。


 剣の樽に近づき、1個1個見ていく。鑑定スキルとってて良かったと思った。剣の価値なぞ見ただけでは、よくわからないのだ。

 手にとって確認してみる。


「何か手触りというか質感で鉄っぽい?」


 ……。


「臭いで銅のような気がする?」


 …………。


「これは錆びた銅? さっきの剣と似てるし?」


 ………………。


「これは鉄の剣っぽいな。だけど欠けてる」


 ……………………。


「自信をもって言おう。多分、曲がりに曲がった鉄の剣!」


 …………………………。


「なにこれ!」


「きゃっ、どうしたのアポロ!?」


 俺の悲鳴に武器を物色していたリンが驚いてこっちを振り向く。


「すまん、ちょっと高ぶっただけだ。気にしないでくれ」


「そ、そうなの?」


「そうだ。たまにあるんだ。そんな時が」


「そ、そうなんだ。たまにあるんだ……」


 納得?してリンが物色に戻った。

 何だろう。誤魔化せたはずなのに、別の意味で誤解されたような気がするのは。


「しかし、マジか……」


 ろくな武器がないこともだが、衝撃的なのは鑑定スキルの効果だ。

 あまり恩恵が無い気がする。判別理由も臭いや質感でだし、前世の知識から判断してるような気がしないでもない。

 鑑定レベルが3だ、初級レベルの範疇だからかだろうか。

 パッと見て、これは鉄の剣だと頭の中にシステムメッセージが流れるとかを期待してただけに残念過ぎる。


「まぁ、補正がかかっていると考えれば。ポジティブに、ポジティブにいこう」


 判断基準に補正があれば、無駄スキルとも言えなくなる。

 そのうちレベルが上がれば有用になるのかもしれないしと、自分を慰めながら

空いてる樽に鑑定し終わった武器を入れていく。その作業を何回もし、そろそろ終えようとしたときだった。


「…………ん?」


 よくわからない武器が出てきた。今までは何となく識別が出来ていたのだが、この武器は全く判別出来ない。

 鞘を開けてみると、刃こぼれが多い武器だった。材質は鉄のようで鉄では無い気がする。直感だが、そんな気がする。

 もしかしたら、この武器は当たりなのかもしれない。

 買ったとしても銀貨1枚。

 なら大して痛くはない。


「買っとくか……」


「あら、なにかいい武器みつけたの?」


 槍の物色を終えたのだろう、リンがこちらに来て尋ねる。

 あぁ、と言って、剣をみせる。


「刃こぼれがひどいわね……。それに傷んでる」


「そだな。直せばいけると思うが」


「そうね。そこそこお金かかりそうだけど。銀貨数枚ではきかないわよ、きっと」

 

「ぐっ……まぁなんとかなるだろ。急いで直すわけではないし」


 最悪高ければ直さなければいい。銀貨一枚の博打と考えればよいのだ。

 アルの方を見てみると、アルが店主を説教していた。奥様方から大人気のお昼の人生相談者の真似をしながら。

 ちょっと関わりたくない雰囲気をかもし出してた。


「もうちょっと見とくか」


「……そうね」


 リンもそう判断したのか、提案にのってきた。

 働いてるかわからない鑑定スキルを使って他によさそうな武器を探すが、いいのは見つからなかった。

 そうこうしてるうちに時間が経った。

 店主の会話が終わったのだろう。アルが戻ってきた。


「アポロさん、任務完了です。ヤンさんは奥さんの下へ謝りにいくことになりました」


 アルはドヤ顔でそう報告した。ヤンとは店主の名前なのだろう。


「お、おう」

 

 反応に困った。何を言えばいいのかわからない。とりあえず礼を言っておく。

 次に、店主に尋ねることにする。悩みを解決したのだから、もう絡まれることも無いだろう。


「店主、この剣が欲しいのですが……」


 先ほど見つけた剣を見せながら店主に言った。


「おう!代金はいらねぇから持っていきな。世の中金だけじゃねぇと俺はアルさんに教えてもらったんだ。他にもいるもんがあれば格安で譲るぜ!」


「いいのですか?」


「あぁ。こんなはればれとした気分久しぶりだからな。アルさんのおかげだ。恩返しだ。欲しいもんとっとけ」

 

 アルは一体何を話したのだ。聞くのが若干怖い。


「防具が欲しいのですが、上下で。予算は金貨2枚で」


「ちょっと待ってな」


 店主は店の奥に入っていった。かえってきたとき、両手には黒いレザージャケットと黒のズボンがあった。


「この品でどうだ?

 素材はブラックウルフで熱や刃物に強い。金貨1枚と銀貨7枚でいいぜ」


 店主から「さっそく装備してみるかい?」との言葉を貰う。お言葉に甘えて、試着スペースで着てみる。軽くて丈夫な素材のようだ。それに手触りもいい。


「気に入った。買います」


「毎度あり!嬢ちゃんは、これなんかどうだ?槍使いなんだろ?」


 腐っても店主なのか、リンの使用武器を理解して商品を薦めてくる。

 店主がすすめたのは手袋だった。防具なのか、それ……。


「こいつぁ、筋力を上昇させる効果もある。表面は少しでこぼこしてるから、滑り止めにもなるぜ。金貨1枚でどうだ?C級でこの価格は破格だろ?」


「いいものだけど……ちょっと予算がね」


 お金が足りないみたいだ。

 袋の中のお金を探ると銀貨が数枚しか出てこなかった。


「なら俺が出すよ」


「で、でも…」

 

「俺らは一応パーティーだろ。戦力強化は大事だ。それでも気になるなら貸しってことにするし」


 着々とリンの借金が増えてる気がしないでもない。

まぁいいかと考えを放棄する。

 アルはその光景を見ながら、ウンウンと頷きながらボソボソと小さな声で何かを呟いた。


「プレゼントをしないことが、アポロさんの凄いところなんですよねぇ。無意識でやってるところが特にと思います」


 声が小さくて聞き取れないが、大した内容ではないだろう。

 リンは顎に手を当てながら熟考する。

 そして、判断をした。


「わかったわ。ここを逃すと惜しいものだし」


 代金を払い、リンは手袋を受け取った。

 俺達は武器屋で買い物を終え、次は雑貨屋で必要なものを買っていく。

 お金が凄い勢いでなくなっていく。残りは、銀貨9枚と銅貨十数枚。あとは鉄貨だけだ。

 買い物が終わり、荷物を置きに宿へと戻る。ついでに昼食を食べるとする。昼は別料金だが、外で食べるよりいくらか安い。

 さて、次はお金を稼ぐため冒険者ギルドだ。



2016年4月6日鑑定スキルの効果を修正しました。

○○の剣ってゲームみたいにわかる仕様ではなくなりました。

見直し作業で次話以降の話も順次修正していきます。

(見直し作業前の話だと設定に齟齬が出てると思います。混乱させる要因になってごめんなさい)

============================

名前:アポロ(新城響)

種族:吸血鬼とのハーフ

残りポイント3


レベル3

HP118/118

MP38/62

STR:60

DEF:60

INT:35

AGL:45

DEX:45


スキル

剣術 レベル1 

調教 レベル1 

鑑定 レベル3 

分析 レベル1 

隠蔽 レベル4 

索敵 レベル3 

詠唱破棄 レベル1 

火魔法 レベル4 

精霊魔法 レベル1 

精神異常耐性 レベル2 

直感 レベル7 

吸血 レベル1 


装備

鉄の剣

ブラックウルフレザージャケット

ブラックウルフのズボン

アイテムボックス

仲間

アルテミス(契約)

リン・エスタード

=============================

  


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