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第三章『奪われたオウキ』86
  ★???★
 ガチャポンマンから撃ち出された光線がキバに当たる直前、両肩両腰の簡易格納庫からシールドアームを出し、多重にシールドを展開する。
 無数の光線に当たり、吹き飛ばされるキバ。
 しかし、シールドにより光線は防ぐ事は出来たが、飛行手段がないキバはそのまま一気に武霊活動限界域まで押し出され、消えてしまった。
 キバが消えた事を確認したガチャポンマンは、ゆっくりと町の方へと身体を向ける。
 そして、ガチャポンマン体内の頂喜武蔵の消滅は、胴体までに及び始めていた。

  ★夜衣斗★
 「ああああぁぁぁああああぁああ!!!」
 ガチャポンマンが叫びながら俺に飛び掛かってくる。
 俺はウィングブースターを展開し、飛び上がって避けたが、瞬間、周囲の光景が変わり、空が地面になり、頭から地面にぶつかってしまった。
 PSサーバントのおかげで痛みは無いが、空を飛ぶ勢いのままぶつかった為、地面に頭がめり込み視界が奪われる。
 大慌てで頭を引き抜くと、頭上からガチャポンマンが落下してくるのを見て、更に大慌てで転がり、避けた。
 そしてそのままウィングブースターを点火し、低空飛行でその場から離れる。
 逃げる俺を追ってくるガチャポンマンだが、何故かそのままの姿で追ってくるので、あっさり引き離せた。
 ?…………ああ!そうか、考えて見れば、今、ガチャポンマンが借りている武霊は全て現実世界で使っている。だからこっちでは使えない………って事だよな?…………まあ、何にせよ。これでどうするか考える時間が稼げる。
 そう思った時、キバがガチャポンマンが発した光線により武霊活動限界域まで押し出され、消滅してしまった。
 ヤバい!だが!これで!
 飛行から浮遊に変え、追ってくるガチャポンマンと向き合った。
 「キバ!」
 俺の呼び掛けに、背後にキバが現れる。
 ここは精神世界なので具現化する必要がない様で、そのまま俺の意識応えてガチャポンマンに飛び掛かり、踏み潰す様にガチャポンマンを押え込んだ。

  ★???★
 ウィングブースターを展開し、町に向けて飛び出すガチャポンマン。
 その様子を鏡越しに見ていた呼衣は冷笑を浮かべる。
 あまりにも予想通りの展開であり、十分過ぎるぐらいのデータが取れたからだ。
 だが、二つ懸念があった。
 一つは、今のままガチャポンマンを放置すると、星波町がお父様にとってよくない状態になりかねない事。
 そして、もう一つは、夜衣斗が使った能力が、明らかに星波町土着の化け猫・美魅の力だった事。
 美魅は、華衣がお父様から捕まえる様に言われていた化け猫だったが、予想外の存在により逃げられてしまっていた。
 それがいつの間にか夜衣斗の中に逃げ込み、あまつさえ力を貸してさえいる。
 「このままでじゃ、華衣お姉様が………」
 冷笑から若干焦り憎しみに近い感情を浮かべた呼衣は、
 「………そうだ………このままあいつごと消してしまおう」
 呼衣の背後に無限万華鏡が具現化する。
 「そうすれば、全て」
 巨大な万華鏡の覗き込み口が、飛行するガチャポンマンへと向けられ、その中に光が溜められる。
 「うまくいく」
 無限万華鏡の中に溜められた光が撃ち出されようとした瞬間、
 「止めなさい呼衣」
 不意に背後から制止の声が現れた。
 呼衣はその声に効き覚えがあった。
 それは、
 「お母様!?」

  ★夜衣斗★
 キバがこっちに来れたおかげで俺は命拾いした、だが、このままだと………。
 まだ現実世界に残っているスカウトサーバントから送られてくる映像では、現実世界のごちゃまぜガチャポンマンが町の方へ飛ぼうとしている所だった。
 やっぱりこっちを抑えているだけじゃ向こうを抑えられないか………くそ!残ったサーバントを総動員したとしても………いつまで持たせられる?
 現実世界のキバのサーバント達にごちゃまぜガチャポンマンの進行を邪魔するように命令しつつ、キバに抑え込ませているこっちのガチャポンマンを見る。
 ………やっぱり………頂喜武蔵を殺すしか……………ん?
 ガチャポンマンに何か違和感を感じた。
 その違和感が何か、よくガチャポンマンを見ると………ある事に気が付いた。
 全身のひび割れから漏れ出ている魔力の水だが、その複数ある漏れ落ちている水の流れの一つが、逆流している事に………考えて見れば、魔力孔から魔力は供給されている。だとすると、武霊に魔力が流れ込む流れがなくちゃ不自然だ。武霊が武霊使いとは個別の存在であるならなおさら………よし!とにかく、今のガチャポンマンのデタラメな強さの大本は、この魔力のはずだ。だったら、その魔力孔を何とかすれば!
 そう思った俺は、暴れるガチャポンマンを押え込んでいるキバの背に飛び乗り、ガチャポンマンへと流れ込んでいる魔力の小川を指差した。
 「キバ!こいつを追って、魔力孔へ!」


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