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第一章『武霊のある町』5
  ★美羽★
 十年前、私が七歳の時、星波町に突然武霊が現れるようになった。
 何が原因で、どうして現れたのか、十年たった今でも分かって無くって……色々な噂や仮説が出ては消えてる。
 政府の陰謀だとか、悪の秘密結社の実験だとか、何にも証拠らしい証拠がないから、どれもありえなく聞こえるし、ありえる様な気がする。私としては、人の意志が介入しているような感じはしないから、仮説の中で最も有力とされている『隕石付着説』なんじゃないかなぁって思ってる。
 昔落ちてきた隕石に、武霊がくっ付いていて、それが十年前に活動し始めたと言う説。
 勿論、今まで見つかった隕石は調べられているけど、何にも隕石説を証明する証拠は出てない。
 だから、まだ仮説なんだけど……それ以外に原因らしい原因もなくて、一番可能性があるって私は思ってる。
 でも、今は、ほとんどの町の人達は、原因なんて、もうどうでもよくなってるみたい。
 町の人達は、分からないそんな事より、現実的な問題の方が重要なんだと思う。
 だって、星波町には、『星波町にしかない問題』がいくつもあるから……。
 ひとつは、武装守護霊が人の中に現れる様になるのと同時に現れるようになった『はぐれ武装守護霊』。通称、『はぐれ』。
 彼らは、人に寄生せず、単独で具現化し、具現化の維持の為に人を襲う上に、一週間前後のサイクルで必ず出現する。だから、その度に、町の人達は生活を邪魔され、時には命の危機にさらされる。
 でも、確かに、はぐれは、危険な存在だけど、体制も整っている今は、気を付けていれば、滅多な事で危険な目に遭わなくなってる。それに、はぐれは、『無機物に囲まれている人を知覚できない』みたいで、建物の中に入れば、襲われる事はない。だから、星波町の人は、警報が鳴ったら、すぐに近くの建物・民家に避難するようにしている。
 ……そう言えば、昨日のはぐれは異常だったなぁ・・・『連日で出現するなんて今までなかった』んだけどな……そのせいで、町の人や自警団の人に『治療系の武霊使い』が治療しきれないほどの多くの怪我人が出たって……幸い、誰も死んでいないからよかったんだけど……ん〜まあ、許容範囲内なのかな?……とりあえず。
 もう一つは、現在、最も星波町住人を悩ませ、恐れさせている『犯罪武霊使い』。
 犯罪行為を起こす武霊使いは後を絶たなくて、星波町警察や自警団の人達だけでは対応しきれていない。その上に、町の二つの施設が不法占拠されてて、迂闊に近付けなくなってる。
 「だから、町の『山側になる廃校』と、『海側にある廃工場』には、近付いちゃ駄目ですよ。夜衣斗さん?」
 そう説明すると、夜衣斗さんは素直に頷いてくれた。


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