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プロローグ1
 願わくば、
 君に与えた運命を変える選択が、
 あらゆる宿命の悪意に打ち勝つ事を………

  ★主人公★
 ガタンガタンと揺れる電車。
 窓に薄く映る前髪で目を隠した冴えない男の顔。
 流れる海岸風景。
 周囲から聞こえる雑談。
 俺は窓枠に頬杖を付きながら、深いため息を吐いた。
 緊張とどうしようもない現状から出た溜め息だ。
 小心者である俺が、一人で電車に乗り遠出する緊張。
 両親の急な海外出張で、大して面識もない母親の妹に預けられる事になった現状。
 再びため息が出る。
 叔母がいる町は、星波町と言う山々に囲まれた港町。当然、一度も行ったことがない。
 胃がむかむかしてきた。
 ネットで調べてみると、昔、近くの海に何度か星が落ちた事があり、その度に高波に襲われた為、星波町と言う名前になったとか……そんな由来があって、町の中心には隕石博物館があり、世界中から隕石が集めて展示しているらしい。もっとも、それの知名度はあまりない。星波町で最も有名なのは、十年前に開校した小中高大一貫の学園・星波学園……らしいが……正直、聞いたことがない学校なんだよな………だが、全国から生徒を募り、結構大きな寮もあるらしく、かなりの人数が通っているみたいだし………ん〜どういうことなんだろう?………まあ、そんな事より、最も驚いたのは、その学園が、二十年前に政治家などの汚職発覚で建設途中で放棄された空港跡地である人工島の上にあることだろうか?
 と言うか、人工島に学校って……まるでゲームか漫画みたいな話だな………現実味がない………まあ、これから通う事になる学校なのだから、嫌でも現実になるだろうが………
 などと色々考えていると、窓の外に学園らしき島が見えた。
 学校らしき建物に、何だか分からない建物に、島と星波町を繋ぐ大橋。大橋には車だけではなく、電車が走っているのが見える。
 こんな学校が日本の中にあるなんて思いもしなかったな……。
 そんな素直な感想が心に浮かぶと同時に、電車はトンネルの中に入った。
 黄色い光が流れるトンネルの中。
 一瞬、違和感を全身に感じた。
 何かが全身を駆け抜けたような……気持の悪い感覚。
 周りを見回すが、他の乗客は普通にしている。
 気のせいか?それとも風邪でも引い……た?
 思考を巡らしながら視線を正面に向けると、いつの間にか見知らぬ女性が座って、俺を微笑みながら見ていた。
 かなりの美人で、驚くと共に動揺する俺。
 「結局、こういう運命になったね」
 ……綺麗な声だが……電波か?
 女性の言葉に俺が少し引くと、女性は苦笑した。
 まるで俺の心の声が聞こえたかの様な絶妙なタイミングでだ。
 俺が対応に困っていると、電車がトンネルと抜けた。
 反射的に視線が窓の外に向く。
 「またねヤイト」
 驚愕に近い驚きに、俺は女性のいる方に視線を向けたが、女性の姿はかき消えていた。
 慌てて周りを見回すが、女性の姿はどこにもない。
 それどころか、俺のその行動が周囲の視線を集めてしまい、恥ずかしい思いをする羽目になった。
 いったい、なんなんだ?幽霊?……そんな馬鹿な。
 あまりの出来事に混乱する俺。
 俺の名前は黒樹くろき 夜衣斗やいと
 何の取り柄もなく、マイナス面ばかり目立つ、平均以下の高校生だ。
 そんな俺が、見知らぬ女性に名前を知られる事なんて・・・あり得るか?第一。こういう運命?訳が分からない。
 突然現れ、言葉少なく忽然と消えた女性に、俺は何とも言えない寒気を感じつつ、目的の駅に停車した電車から降りた。


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